変形性股関節症(oarthritis of the hip)
・変形性股関節症は関節軟骨の変性に始まり、股関節に種々の退行性変化を来す。
・発症の原因により1次性と2次性に分類される。
・先天性股関節脱臼と臼蓋形成不全による2次性のものがその多くを占める。他には、Perthes病、大体骨頭壊死などがあり若年者にも見られる。
・その他の原因として、感染症、先端巨大症(acromegaly)やアルカプトン尿症(alkaptonuria)などの代謝性疾患、骨端異形成(epiphyseal dysplasia)などの先天性骨系統疾患など関節に異常を来すさまざまな疾患がある。
・女性に多い。
・関節軟骨の加齢変性に加え、臼蓋形成不全の合併により、応力が臼蓋荷重部に集中し、関節軟骨の変性や摩耗が進行する。
・初期は、運動開始時・荷重時に強い痛みを覚えるが、やがて疼痛は持続性となる。疼痛や股関節の可動域制限があるため、跛行がみられる。
・大腿骨頭は主に上外側、内側、軸方向の3通りの偏位を示す。
・最も多いパターンは上外側への偏位で、大腿骨頭が外側に偏位することにより、荷重部は内側に移行するため、内側の皮質の肥厚が生じる。
・骨頭上面には骨硬化や嚢胞形成を認める。
・骨頭内側下方には骨疎形成を生じる。
・内側偏位は骨折に続発したものを除けば稀である。
・保存的治療では、まず減量指導。疼痛増強時は入院安静、鎮痛薬投与、下肢牽引を行なう。
・手術では、骨切り術、股関節固定術、人工股関節置換術が行なわれる。
画像所見
・単純写真上は関節裂隙の狭小化、軟骨下骨硬化像(subchondral sclerosis)、軟骨下嚢胞(subchondral cyst)、骨疎形成(osteophyte)など変形性関節症の一般的所見の他、股関節では大腿骨頚部内側の骨皮質肥厚(buttressing)も見られる。
・関節裂隙の狭小化が上方または内方に偏ることが多い。
・臼蓋にも骨棘形成、軟骨下骨の硬化軟骨下の嚢胞形成が見られ、臼蓋の軟骨下嚢胞をEggers cystと言う。
・診断は単純写真で十分なことが多く、MRIの役割は単純写真で明確でない骨病変(特に骨壊死)の描出、関節唇や関節軟骨の評価などに限られる。
症例 50歳代女性
主な股関節疾患
・新生児期:先天性股関節脱臼
・乳児期:化膿性股関節炎
・3歳前後:単純性股関節炎
・3-10歳前後:Perthes病、股関節結核
・成長期:大体骨頭すべり症
・20-40歳:特発性大体骨頭壊死症
・40歳〜高齢者:変形性股関節症