症例11
【症例】50歳代 男性
【主訴】腹膜透析後の臍の痛み
【身体所見】臍部にやや膨隆触れる。
【データ】WBC 9600、CRP 0.26
画像はこちら
小腸の拡張およびニボー像を認めています。
小腸腸閉塞を疑う所見です。
閉塞機転はどこでしょうか?
今回は簡単に見つけられますね。
臍部で腸管の逸脱があり、同部が閉塞機転となっていることがわかります。
腸管虚血や壊死を疑う明らかな所見は認めません。
診断:臍ヘルニア嵌頓による小腸腸閉塞
※用手的に嵌頓が解除されました。
臍ヘルニアとは?
臍ヘルニアは腹腔外へ腹部臓器が出て行く「外ヘルニア」の一つです。
外ヘルニアには上のように、
- 鼠径部
- 腹壁
から出て行く2種類がありました。
臍ヘルニアは中でも正中腹壁ヘルニアに分類されます。
その他:
- 腹膜透析用チューブあり。
- 腎嚢胞あり。
- 胆嚢は収縮。
症例11の動画解説
※動画内で用いている「イレウス」という用語は、すべて「腸閉塞」と呼ぶのが正しいのでご注意ください。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
追記
「透析後の臍の痛み」でしたが、
透析を契機に臍ヘルニアを発症するということはありますか?(;’∀’) それとも、
透析後のタイミングで偶然発見された、
という理解の方が自然でしょうか?
何卒よろしくお願い申し上げますm(__)m
「追記」
↑
元コメントがまだ(?)反映されていないようです。
少したって反映されていなければ元コメント書き直します。
元コメントは反映されていないようですね(;゚ロ゚)
透析後のタイミングで偶然はまり込んだんだと思います。
おはようございます。
今までに、比べると割合簡単なように思えました。
胆嚢壁肥厚しているように見えるのは胆嚢が収縮しているからでしょうか?
それとも慢性胆嚢炎?などがある方なのか…?
その他
肝外胆管拡張。
両方腎臓脂肪織の濃度上昇などはいかがでしょうか?
よろしくお願いします。
アウトプットありがとうございます。
>胆嚢壁肥厚しているように見えるのは胆嚢が収縮しているからでしょうか?
それとも慢性胆嚢炎?などがある方なのか…?
両方の可能性があると思います。
>その他
肝外胆管拡張。
両方腎臓脂肪織の濃度上昇などはいかがでしょうか?
肝外胆管の拡張はなさそうですね。
両方腎臓脂肪織の濃度上昇は認めますが、今回は非特異的所見ですね。
所見として拾うのは良いと思います。
(「追記」の前に書いたつもりのもの、2回目書くとなんとなく恥ずかしいですがw)
たまに発症する、
「勉強した病気(尿膜管洞)を診断したい病」
をまた発症してしまいました(;’∀’)
心の目(尿膜管遺残)もしっかり使いました(;’∀’)
でも、鑑別が上がることは重要ですものね(;’∀’)w
真面目に言うと、
今後臍の異常を見たときにこれまでに勉強した疾患を複数上げることができれば
今回間違えたことを活かすことができそうです(^▽^)/
胆嚢壁は収縮するとこれくらいの厚さになるんですね。
意識してみるといろいろ学ぶことがあって面白いです(^▽^)/
透析中の割には腎臓が元気そうに見えますが、こんなものですか?
(透析腎って、もっとペラペラな印象でした・・・)
また、両腎周囲の脂肪織が少し毛羽立っているように見えますが、
透析するとこうなる、とかありますか?
下行結腸の内容物が高吸収ですが、
炭酸ランタン水和物の影響でしょうか?
それとも、食事内容によってはこのくらいになりますか?
何卒よろしくお願い申し上げますm(__)m
アウトプットありがとうございます。
>心の目(尿膜管遺残)もしっかり使いました(;’∀’)
そっちへ行きましたか(;゚ロ゚)
>透析中の割には腎臓が元気そうに見えますが、こんなものですか?
(透析腎って、もっとペラペラな印象でした・・・)
また、両腎周囲の脂肪織が少し毛羽立っているように見えますが、
透析するとこうなる、とかありますか?
透析中の腎臓はおっしゃるように萎縮していることが多いですが、
今回のようなケースもあります。
両腎周囲の脂肪織は腎障害による変化でしょうか。
非特異的所見でこれがあるから腎障害があるなどとは言えません。
>下行結腸の内容物が高吸収ですが、
炭酸ランタン水和物の影響でしょうか?
それとも、食事内容によってはこのくらいになりますか?
下行結腸のみですので、今回は炭酸ランタン水和物の影響ではなさそうです。
食事内容や便が硬くなることでこれくらいはよくあります。
質問連投します。
リンク先の
関連:外ヘルニアとは?分類・症状は?内ヘルニアとの違いは?
を、見さしていただいたのですが、
ヘルニア水とは
ヘルニアした腸管の、周りに溜まる腹水
と、いう感じでよろしいでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
腸管が外ヘルニアとして嵌頓する
→静脈閉塞のためにうっ血がおこる
→血管壁の透過性が高まり浮腫となる
→腸管外へ液体が漏出する
→ヘルニア嚢に液体が貯留する。
この液体をヘルニア水といいます。
ですので、嵌頓が起こって静脈閉塞が起こっている事を示唆する所見とされます。
若干腸管壁が高吸収なのかなと思ってしまいましたが・・・
イレウスを見たときには腸管虚血を疑って少しオーバーにとってしまうようになってしまいますね・・・
アウトプットありがとうございます。
>若干腸管壁が高吸収なのかなと思ってしまいましたが・・
今回は造影CTですので、むしろ造影不良をさがしましょう。
嵌頓している腸管壁に明らかな造影不良は認めません。
勉強したこと診断したい病で、そこにあると尿膜管洞(→膿瘍)が浮かびましたが、尿膜管遺残がないことをしっかり確認し、腸管の脱出であると判断できました。
しかし、腸管の連続性を追うのもそれほど容易ではないですね。まぁ、追うのが難しいほどぐいって絞められる入っちゃったから陥頓してるんでしょうけど( ̄▽ ̄;)
今回、「イレウス」を記載することができませんでした(;’∀’)
イレウス所見としては少し軽度ですか?
アウトプットありがとうございます。
>腸管の連続性を追うのもそれほど容易ではないですね。まぁ、追うのが難しいほどぐいって絞められる入っちゃったから陥頓してるんでしょうけど( ̄▽ ̄;)
そうですね。
派手ではないとはいえ、まずは小腸の拡張像およびニボー像に気付きたいところですね。
おっしゃるように現状少し軽度ですが、嵌頓が解除されなければ、今後さらに進行すると考えられます。
連続してあらぬ方を妄想してしまい、間違えてしまいました。
尿膜管洞の膿瘍にしては炎症反応が経度だな、と違和感は感じていたのですが、小腸の拡張も痛みによる麻痺性かな?と考えてしまい、連続性を追うのを怠ってしまいました。
お恥ずかしい限りですが、同じ過ちは繰り返さないと思います。勉強になりました。
同じように考えた方がおられたのが、ごくわずかな救いです(汗)。
アウトプットありがとうございます。
>小腸の拡張も痛みによる麻痺性かな?と考えてしまい、連続性を追うのを怠ってしまいました。
麻痺性となると原因となる腹膜炎などがあります。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/training/archives/2518
こちらを復習しておいてください。passはkeitouです。
こんにちは。毎日お世話になっております。
①造影CTであるのに、腹部大動脈の血管の染まりを見て単純CTだと思い込んでしまい、「ヘルニア内容の腸管壁が高吸収になっているから出血性の壊死をきたしている可能性がある」と記載してしまいました…
②腎周囲の脂肪織濃度が上昇していて、隔壁を形成しているように見えたので、被嚢性腹膜硬化症をきたしつつあると思ってしまいました。被嚢性腹膜硬化症のCT所見を一度も見たことがない中で回答したので全然見当違いであったことがわかりました…
③尿膜管洞を鑑別の念頭に入れて読影できませんでした。復習しておきます!
明日もよろしくお願いします!
アウトプットありがとうございます。
>「ヘルニア内容の腸管壁が高吸収になっているから出血性の壊死をきたしている可能性がある」と
この状態ですともう少し逸脱腸管に浮腫性変化があってもいいのかなと思います。
>腎周囲の脂肪織濃度が上昇していて
これは腎不全もありますので、非特異的所見ですね。もちろん過去画像との比較が重要となります。
被嚢性腹膜硬化症については硬化性腹膜炎とも呼ばれ、今回のように腹膜透析中に見られるものですが、CTでは
・腹膜肥厚
・腸間膜脂肪織濃度上昇
・被包化腹水
・腸閉塞
・腹膜石灰化
などが見られます。
腎周囲の脂肪織濃度上昇はありますが、ちょっと今回の所見からはなかなか疑えないですね。
>尿膜管洞を鑑別の念頭に入れて読影できませんでした。
今回については臍ヘルニアがわかれば、尿膜管洞については念頭に置かなくてもいいかもしれません(^_^;
腹膜透析とヘルニアについては、「腹膜透析液貯留により腹圧が上昇し臍ヘルニアやそけいヘルニアを起こすことがあり、手術が必要になる場合もあります。」という記載がありました。https://www.kitano-hp.or.jp/wp-content/themes/kitano-hospotal/data/section/jinzo/manseijin_siori_51.pdf
全く無関係というわけではなさそうですね。
アウトプットありがとうございます。
>「腹膜透析液貯留により腹圧が上昇し臍ヘルニアやそけいヘルニアを起こすことがあり、手術が必要になる場合もあります。」
補足ありがとうございます。関係がありそうですね。