先に結論:鼻・副鼻腔のCTとMRIの使い分け
- CTは骨の形・骨破壊・石灰化がよく分かり、外傷や副鼻腔炎の手術前評価に向いています
- MRIは腫瘍の広がり(特に神経周囲進展・頭蓋内・眼窩内への進展)、腫瘍と、それに伴ってたまった分泌物や炎症の区別に優れています
- 真菌症はT2強調像で著明な低信号になるのが手がかりで、DWIは腫瘍の性質や治療効果の判定に役立ちます
鼻腔、副鼻腔領域でのCTの特徴
・空間分解能に優れる。
・骨構造や石灰化の描出・観察。
・多方向のMPR像や3D画像を作成できるため、骨折や脱臼といった外傷に有用。また患者説明に用いて理解してもらいやすい。
・副鼻腔炎の術前評価。
・造影剤は、腫瘍と炎症の鑑別、頭蓋内合併症の評価、血管病変の評価。などで使用。
鼻腔、副鼻腔領域でのMRIの特徴
・組織コントラストに優れる。
・球後視神経損傷の描出に優れる。
・腫瘍浸潤範囲の評価(神経周囲進展)頭頸部腫瘍の神経周囲進展に対するMRIの診断能は、病理・手術所見を基準とした11研究のメタ解析で感度0.85、特異度0.85と報告されている。
・腫瘍と二次性炎症性変化の区別。
・炎症性病変の頭蓋内進展、合併症。
・真菌症・血瘤腫:T2WI
・腫瘍の鑑別(細胞密度)や治療効果判定:DWI
真菌性副鼻腔炎のCT・MRI所見
浸潤性と非浸潤性(真菌塊・アレルギー性)に分けられ、CTは骨破壊と高吸収の真菌成分、MRIは軟部組織の評価に優れます(Dagher 2025)。
- 真菌塊(fungus ball):1つの副鼻腔内の高吸収の塊で、CTで67.2%に石灰化があり、MRIでは真菌塊がT2強調像で著明な低信号、周りの粘膜が高信号になります(Seo 2011)
- 急性浸潤性:片側の陰影に周囲脂肪織への浸潤や骨破壊を伴い(Ilica 2012)、造影で鼻甲介が染まらない「black turbinate sign」も手がかりになります(Dagher 2025)
症例 30歳代男性(蝶形骨洞の真菌塊)


引用:Radiopaedia(Sphenoid sinus mycetoma)
強い右側の頭痛で受診した症例です。CT(上)では右の蝶形骨洞を中心に、内部に小さな石灰化を多数含む高吸収の膨張性病変があり、周囲の骨はなめらかにびらんしています。MRIのT2強調像(下)では病変が著明な低信号を示しています。内視鏡手術でアスペルギルスによる真菌塊と診断され、悪性所見はありませんでした。このように非浸潤性の真菌塊でも、周囲の骨がなめらかに圧排・びらんすることがあり、骨の変化だけで浸潤型と決めることはできません。
Q. 副鼻腔炎(蓄膿症)はMRIでわかりますか?
粘膜の肥厚などは写りますが、頭部MRIを受けた成人の58.1%に副鼻腔の偶然の異常があり、症状との関連は乏しいと報告されています(del Rio 2012)。診断は症状と診察が基本です。鼻づまりや色のついた鼻水、顔の痛みが続くときは耳鼻咽喉科を受診してください。
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参考文献
- Dagher R, Calle S, Learned KO. Imaging approach for fungal sinusitis. Curr Opin Otolaryngol Head Neck Surg. 2025;33(1):56-63. PubMed
- Abdullaeva U, Pape B, Hirvonen J. Diagnostic Accuracy of MRI in Detecting the Perineural Spread of Head and Neck Tumors: A Systematic Review and Meta-Analysis. Diagnostics (Basel). 2024;14(1). PubMed
- Avey GD, Koszewski IJ, Agarwal M, et al. Sinonasal Tumors: What the Multidisciplinary Cancer Care Board Wants to Know. Radiographics. 2024;44(10):e240035. PubMed
- Famuyide A, Juliano A, Moonis G. MRI of Sinonasal Malignancies. Top Magn Reson Imaging. 2021;30(3):139-149. PubMed
- Seo YJ, Kim J, Kim K, et al. Radiologic characteristics of sinonasal fungus ball: an analysis of 119 cases. Acta Radiol. 2011;52(7):790-5. PubMed
- Ilica AT, Mossa-Basha M, Maluf F, et al. Clinical and radiologic features of fungal diseases of the paranasal sinuses. J Comput Assist Tomogr. 2012;36(5):570-6. PubMed
- del Rio A, Trost N, Tartaglia C, et al. Seasonality and incidental sinus abnormality reporting on MRI in an Australian climate. Rhinology. 2012;50(3):319-24. PubMed
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中枢性の嗅覚障害を疑う場合、嗅神経などを見たい場合は副鼻腔CTがいいのか、頭部MRIで嗅裂含め撮影するのではどちらがいいのでしょうか?
コメントありがとうございます。MRIですね。FLAIRの冠状断像などで評価します。