先に結論:神経周囲進展
- 病理で顕微鏡的にみる神経周囲浸潤に対し、画像で見える太い神経に沿った肉眼的な広がりを神経周囲進展と呼びます
- 神経周囲進展は、癌が神経に沿って離れた場所まで広がる現象で、腺様嚢胞癌で起こりやすく、数としては扁平上皮癌が最多です
- 頭頸部では三叉神経(特に上顎神経V2・下顎神経V3)と顔面神経に沿うことが多く、MRIで神経の腫大・造影効果、神経が通る孔の拡大、孔の入口の脂肪の消失を探します
- 飛び石状に離れて進むこともあるため、頭蓋底・海綿静脈洞・脳幹まで撮像範囲に入れて確認します
神経周囲進展(perineural spread/extension)
- 神経の外膜に沿った腫瘍浸潤。
- 中枢側、末梢側いずれもあり得る。
- 割合として多いのは腺様嚢胞癌。ただし、母集団が多いため扁平上皮癌が最多。その他悪性リンパ腫、悪性黒色腫など
- 三叉神経領域ではV2>V3>V1。神経周囲進展は生存率の低下や局所再発・転移の増加と関連し、顔面中央部の腫瘍、男性、腫瘍径が大きいこと、治療後の再発、低分化な組織型でリスクが高まる。FDG PET/CTでは、V2に沿った線状の集積、下顎内側面に沿った集積、咀嚼筋間隙・卵円孔・Meckel腔の左右差のある集積が手がかりとなり、疑えばMRIで確認する。
- 画像所見:神経の肥厚。造影効果。神経の通過する孔の拡大。骨皮質破壊。孔に進入する直前部分での脂肪組織消失。神経周囲進展は臨床的に無症状のことも多く、画像で見落とされやすいため、頭頸部癌では読影医が最初に指摘する役割が大きい。
- 画像的に離れた部位への進展(skip lesion) →脳幹までのscanが必要。断端陰性でも再発の可能性あり。
神経周囲浸潤(perineural invasion)とは|神経周囲進展との違い
神経周囲浸潤は、がん細胞が神経に入り込んだり取り囲んだりしている状態を、病理標本で顕微鏡的にとらえたものです。よく使われるLiebigの定義では、腫瘍細胞が神経鞘の中(神経上膜・神経周膜・神経内膜)にあるもの、または腫瘍が神経の周囲の33%以上を取り囲むものとされ、生存率の低下と関連します(Goswami 2023)。神経周囲進展はその「肉眼版」で、太い神経に沿って画像で見える広がりを指し、評価の標準はMRIです(Lee 2019)。
症例 30歳代男性 呼吸苦・右中耳炎の反復・右頸部腫瘤

引用:Radiopaedia(Nasopharyngeal carcinoma with perineural spread)
赤丸の部分で、右上咽頭(画像の向かって左)の腫瘍が頭蓋底の卵円孔に向かって上方へ連続しています。この症例では、やや拡大した右卵円孔を通って薄い造影される軟部組織が伸びており、三叉神経第3枝(下顎神経V3)に沿った神経周囲進展と報告されています。
関連記事:鼻腔、副鼻腔領域でのCT,MRIのメリット、神経周囲進展、真菌症、治療効果判定、副鼻腔炎
参考文献
- Chahine R, Parmar H, Ibrahim M, et al. Imaging Insights into Perineural Tumor Spread. Radiol Clin North Am. 2026;64(1):107-122. PubMed
- Musha A, Kubo N, Kawamura H, et al. Impact of perineural tumor spread in head and neck adenoid cystic carcinoma for carbon-ion radiotherapy. Clin Transl Radiat Oncol. 2025;52:100928. PubMed
- Ong CK, Chong VF. Imaging of perineural spread in head and neck tumours. Cancer Imaging. 2010;10 Spec no A(1A):S92-8. PubMed
- Paes FM, Singer AD, Checkver AN, et al. Perineural spread in head and neck malignancies: clinical significance and evaluation with 18F-FDG PET/CT. Radiographics. 2013;33(6):1717-36. PubMed
- Goswami PR, Singh G. Perineural Invasion (PNI) Definition, Histopathological Parameters of PNI in Oral Squamous Cell Carcinoma With Molecular Insight and Prognostic Significance. Cureus. 2023;15(6):e40165. PubMed
- Lee H, Lazor JW, Assadsangabi R, et al. An Imager’s Guide to Perineural Tumor Spread in Head and Neck Cancers: Radiologic Footprints on (18)F-FDG PET, with CT and MRI Correlates. J Nucl Med. 2019;60(3):304-311. PubMed
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