敗血症性肺塞栓症(septic pulmonary embolization:SPE、SE)とは?
- 感染性心内膜炎や敗血症により細菌などが血行性に散布され、肺に病原体を含む血栓を生じる。
- 原因は感染性心内膜炎、静脈血栓症(深在性血栓性静脈炎)、静脈留置カテーテル、歯科治療など。
- Lemierre 症候群はSEの主な発生源の1つで1936年にはじめて発表され、転移性感染を伴った内頚静脈の嫌気性静脈炎と記載されている。
- Lemierre症候群の肺疾患は97%とされ、肺膿瘍、胸水、肺気腫、気胸を伴ったSEを引き起こす。
- 結節は胸膜と接し、サイズは直径1~3cmで、辺縁は不明瞭で、経過中に空洞を伴うことが多い。短期間でこのような病変が多発、増大した場合は疑う。
- 抜歯後であるとか、心臓疾患を合併してないかなどが鑑別のポイントとなる。
敗血症性肺塞栓症の画像所見
▶CT所見:
- 両側びまん性の結節影や実質の浸潤影(83%)である。
- 胸膜に接する末梢の楔形陰影(50%)。
- 周囲に出血を反映したすりガラス影(halo sign)を伴う。
- 早期に空洞化する。空洞は約85%にみられる。
- 空洞の壁は厚く、辺縁は不整。
- 多くの症例で上葉が侵されるとしているが、上葉と同様に下葉を侵すという報告もある。「栄養血管(feeding vessel sign)」(末梢の病変に導かれている血管)が特徴的な所見であるとされているが、これについては議論の分かれるところ。(Kuhlman JE.et al. Radiology 1990:174:211-213)
症例 60歳代男性 発熱・呼吸困難
右上下葉末梢に結節影を2箇所認めています。
上葉のものは空洞形成あり。
敗血症性肺塞栓症と診断され、加療されました。
動画で学ぶ敗血症性塞栓症
Lemierre症候群
- 健常若年成人が急性扁桃炎、扁桃膿瘍あるいは扁桃周囲膿瘍発症後4〜5日で急激に増悪し、頚静脈の化膿性血栓性静脈炎から、敗血症、多発性転移性感染(肺胸膜、肝、腎、関節)を呈する病態。
- 本症候群の病原体は嫌気性菌でFusobacterium necrophorumが最多である。
- 若年者で咽頭痛や開口障害が先行し、激しい炎症所見を認め、汎発性播種性管内凝固(DIC)、敗敗血症、敗血症性肺塞栓などの多彩な臨床経過をたどる。
関連:Lemierre’s syndrome(レミエル症候群)とは?画像診断のポイントは?
参考:
画像診断 Vol.31 No.1,2011 P28
画像診断 Vol.38 No.8,2018 P810