
インターナルインピンジメント(内的インピンジメント)とは、投球のように肩を外転・外旋した位置で、腱板の関節側の面と後上方の関節唇が、上腕骨頭と関節窩のあいだにはさまれる関節の中のインピンジメントです。研修医のハジメくんと一緒に、肩峰下インピンジメントとの違いと、MRIで探す3つの所見の組み合わせ、撮り方の工夫を整理します。
先に結論
- インターナルインピンジメントとは、外転外旋位で腱板の関節側の面と後上方の関節唇が、大結節と後上方の関節窩のあいだにはさまれる、関節の中のインピンジメント。
- MRIは1つの所見でなく、腱板の関節面の部分断裂(棘上筋の後ろ側〜棘下筋の前側)・後上方関節唇の損傷・上腕骨頭後方の嚢胞性変化の組み合わせで考える。
- 小さな関節面の断裂は通常のMRIに写らないことがある。MR関節造影・ABER位が助けになり、接触そのものは正常でも起こるので症状と合わせて判断する。
目的から読む: インターナルインピンジメントとは / 肩峰下インピンジメントとの違い / 原因・症状 / MRI所見 / MR関節造影・ABER位 / 診察テストとの関係
インターナルインピンジメントとは? 関節の中で「はさまる」
腱板や関節包が、関節窩と上腕骨のあいだにはさまれる状態の総称です。代表は、投球の外転外旋位で起こる後上方インピンジメントです。
「関節の中」で起こるインピンジメント
インピンジメントは「ぶつかる・はさまる」という意味です。肩でよく知られているのは、腕を挙げたときに腱板の上の面(滑液包側)が肩峰や烏口肩峰靱帯の下でこすれる肩峰下インピンジメントです。関節の外で起こるため、外的インピンジメントとも呼ばれます。
インターナルインピンジメント(内的インピンジメント・関節内インピンジメント)は、腱板や関節包の軟部組織が、関節窩や関節窩と上腕骨のあいだにはさまれる状態の総称です。烏口肩峰アーチの下で起こる外的インピンジメントとは区別されます。
後上方インピンジメント(posterosuperior impingement)
インターナルインピンジメントの代表が、後上方のインピンジメントです。腕を外転・外旋すると、上腕骨頭の大結節と関節窩の後上方の縁が近づき、そのあいだに腱板の関節面と後上方の関節唇がはさまります(Heyworth 2009)。はさまるのは、棘上筋の後ろ側の線維、棘下筋の前側の線維、またはその両方です(Giaroli 2005)。
肩峰下インピンジメントとの違い
違いは「当たる場所」です。肩峰下インピンジメントは腱板の上の面と肩峰、インターナルインピンジメントは腱板の関節側の面と後上方の関節窩・関節唇が当たります。
肩峰下インピンジメントの画像所見は肩峰下インピンジメント症候群とは?で、肩峰の形や腱板の上の面の変化と合わせて見られます。
| 比べる点 | 肩峰下(外的)インピンジメント | インターナル(後上方)インピンジメント |
|---|---|---|
| 当たる場所 | 腱板の滑液包側の面と肩峰・烏口肩峰靱帯 | 腱板の関節側の面と後上方の関節窩・関節唇 |
| 痛みが出る肢位 | 腕を前や横に挙げる途中 | 外転外旋位(投球の最大外旋の時期) |
| 痛む場所 | 肩の前外側 | 肩の後上方(Fessa 2015) |
| 腱板の断裂 | 滑液包側の部分断裂や全層断裂 | 関節側の部分断裂(棘上筋後方・棘下筋前方) |
インターナルインピンジメントの原因・症状
接触そのものは正常な肩でも起こります。投球のくり返しに、肩の不安定性・後方関節包の拘縮・肩甲骨の動きの異常などが重なると接触が強まり、痛みのある病態になると考えられています。
この接触は、正常な肩でもある程度起こります(Heyworth 2009、Fessa 2015)。投球のくり返しや、肩の不安定性・後方関節包の拘縮・肩甲骨の動きの異常などが重なると、接触が強まり、症状のある病態になると考えられています(Heyworth 2009)。原因の説はいくつかあり、まだ定まっていません。
どんな人に多いか・症状
後上方のインピンジメントは、投球の選手や頭より上で腕を振る選手に多くみられます(Fessa 2015)。症状は投球のパフォーマンスの低下と、肩の後上方の痛みです。投球で起こる肩の障害の全体は投球障害肩の分類と画像診断で、ほかの障害との見分け方と合わせて確認できます。
主な病変は関節面の腱板断裂と後上方の関節唇の病変で、肩の内旋制限(GIRD: glenohumeral internal rotation deficit)や肩甲骨の位置異常(SICK scapula)とともにみられることが報告されています(Kirchhoff 2010)。上腕骨頭の後方の病変、関節窩後方の骨の損傷、まれにバンカート損傷や下関節上腕靱帯の損傷も合併します。
インターナルインピンジメントのMRI所見: 3つの組み合わせ
MRIでは、腱板の関節面の部分断裂、後上方関節唇の損傷、上腕骨頭後方の嚢胞性変化の3つがそろうかを見ます。3つの組み合わせが、インターナルインピンジメントに一貫した所見と報告されています(Giaroli 2005)。
| 所見 | MRIでの見え方 |
|---|---|
| 腱板の関節面の部分断裂 | 棘上筋の後ろ側から棘下筋の前側にかけて、腱の関節側の面に液体に近い高信号の欠損(Giaroli 2005、Fessa 2015) |
| 後上方関節唇の損傷 | 後上方の関節唇の断裂・ほつれ・信号上昇。上方関節唇損傷(SLAP損傷のⅡ型の変形)を含む(Fessa 2015) |
| 上腕骨頭後方の骨の変化 | 大結節の後ろ側、腱板の付着部付近の軟骨下の嚢胞性変化と骨髄浮腫(Giaroli 2005、Kaplan 2004) |
| 関節窩の変化 | 後上方の関節窩の硬化(Kaplan 2004) |
腱板の関節面の部分断裂
斜冠状断の脂肪抑制T2強調像やプロトン密度強調像で、腱の関節側の面に液体と同じような高信号が入り込みます。場所は棘上筋の後ろ側から棘下筋の前側です。
部分断裂と全層断裂の見分け方は腱板断裂のMRI画像診断のポイントで解説しています。
ただし、関節面の小さな部分断裂はMRIで写らないことがあります。手術を受けた投球選手の検討では、関節鏡で、MRIに写っていなかった関節面の腱板部分断裂が追加で見つかりました(Kaplan 2004)。
後上方の関節唇の損傷
後上方の関節唇の断裂・ほつれ・信号上昇を見ます。上方の関節唇の損傷(SLAP損傷)とつながることがあります。
重いインターナルインピンジメントで手術を受けた投球選手9人では、MRIでも関節鏡でも全員に後上方の関節唇の病変がありました(Kaplan 2004)。後上方の関節唇の損傷は、上方関節唇の前後にわたる損傷(SLAP損傷)と連続することがあり、Ⅱ型SLAP損傷の一つの形として報告されています(Fessa 2015)。SLAP損傷の分類と正常変異との区別はSLAP損傷(SLAP lesion)のMRI画像所見で、正常変異の画像と並べて確認できます。
大結節付近の嚢胞性変化
上腕骨頭の後方、大結節の後ろ側の軟骨下に、小さな嚢胞と骨髄浮腫が出ます。関節窩の後上方とくり返し当たる場所です。
この骨の変化が腱板や関節唇の所見と同時にあると、インターナルインピンジメントを考える手がかりになります(Giaroli 2005)。初期の報告では、骨髄の異常以外の通常のMRIの所見は、後上方インピンジメントの検出に信頼性が低いとされていました(Tirman 1994)。
撮像の工夫: MR関節造影と外転外旋(ABER)位
通常のMRIで分かりにくいとき、MR関節造影と外転外旋位(ABER位)での撮像が所見を見つける助けになったと報告されています(Tirman 1994)。
ABER位では、症状が出る肢位に近い状態で、腱板の関節面と関節唇の関係を見ることができます。関節内に造影剤が入ることで、関節面の小さな断裂や関節唇の裂け目に造影剤が入り込み、輪郭がはっきりします。撮像の方法は施設によって異なります。
| 撮像 | 役割 |
|---|---|
| 通常のMRI(斜冠状断・斜矢状断・横断) | 腱板・関節唇・骨髄の変化を見る基本の撮像 |
| MR関節造影 | 関節面の部分断裂や関節唇の病変の輪郭が出やすい(Tirman 1994) |
| ABER位 | 症状の出る肢位に近い状態で、腱板の関節面と関節唇の関係を見る(Tirman 1994) |
「肩峰下インピンジメントのテスト」が陽性でも
Neerテストなど肩峰下インピンジメントを調べる診察のテストの肢位でも、関節の中の接触が起こることがMRIで示されています。テストが陽性でも、関節内の接触による痛みのことがあります。
引用元の図 挙上位のMRIで見る大結節と関節窩の距離

引用:Leschinger T, et al. Internal Impingement of the Shoulder: A Risk of False Positive Test Outcomes in External Impingement Tests? Biomed Res Int. 2017 (Figure 2)。PMC5585665(CC BY 4.0)
開放型MRIで、Neerテストの肢位をとった被験者の肩です(Leschinger 2017 Figure 2)。左が冠状断で、大結節と関節窩の縁の距離がもっとも小さい位置(7.4mm)を示しています。右上が矢状断、右下が横断です。この研究では37人中30人で、Neerテストの肢位で棘上筋と後上方の関節窩が接していました。
同じ研究のHawkinsテストの肢位では、33人で肩甲下筋が、18人で棘上筋が前上方の関節窩に接していました(Leschinger 2017)。著者らは、これらのテストが陽性でも、関節内の接触による痛みのことがあると述べています。
上腕二頭筋長頭腱が外転外旋位で棘上筋の関節面に当たり、関節面の部分断裂の原因になった症例が報告されています(Rosinski 2021)。
引用元の図 外転外旋位で腱板の関節面に当たる上腕二頭筋長頭腱

引用:Rosinski A, et al. A partial articular-sided supraspinatus tear caused by the biceps tendon: A novel etiology of internal impingement. Clin Case Rep. 2021 (Figure 4)。PMC8223686(CC BY 4.0)
関節鏡の写真です(Rosinski 2021 Figure 4)。Aは中間位、Bは肩を外転・外旋した位置(ABER)で、上腕二頭筋長頭腱(LHB)が棘上筋腱(SS)の関節面に直接当たっています。この肢位ではLHBがより垂直で後ろ寄りの角度になります。
よくある勘違い
Q. インターナルインピンジメントは、肩峰下インピンジメントの別の呼び方?
いいえ。当たる場所が違います。肩峰下は腱板の上の面と肩峰の下、インターナルは腱板の関節側の面と関節窩の後上方の縁・関節唇が当たります(Heyworth 2009)。
Q. 投手の肩で関節面の部分断裂があれば、インターナルインピンジメント?
1つの所見だけでは決められません。関節面の部分断裂、後上方の関節唇の損傷、上腕骨頭後方の嚢胞性変化がそろうことが手がかりです(Giaroli 2005)。症状の出る肢位や診察と合わせて判断します。
Q. MRIで異常がなければ、インターナルインピンジメントは否定できる?
できません。関節鏡で見つかった関節面の部分断裂が、手術前のMRIに写っていなかった報告があります(Kaplan 2004)。MR関節造影やABER位の撮像が役立つことがあります(Tirman 1994)。
今日のまとめ
- インターナルインピンジメントは関節の中のインピンジメント。傷むのは腱板の関節側の面と後上方の関節唇。
- MRIは関節面の部分断裂+後上方関節唇の損傷+骨頭後方の嚢胞性変化の組み合わせで考える。
- MRIで異常なしでも否定しない。MR関節造影・ABER位を考え、接触は正常でも起こるので症状と合わせて判断する。
要点の表
| 項目 | ポイント |
|---|---|
| 何が当たるか | 外転外旋位で、大結節と後上方の関節窩のあいだに腱板の関節面と関節唇がはさまる(Heyworth 2009) |
| MRIの組み合わせ | 棘上筋・棘下筋の関節面断裂+上腕骨頭後方の嚢胞性変化+後上方関節唇の損傷(Giaroli 2005) |
| MR関節造影・ABER位 | 通常のMRIで分かりにくいとき、関節造影と外転外旋位の撮像が役立った報告(Tirman 1994) |
| 注意点 | 接触自体は正常でも起こる。関節鏡で見つかる関節面の部分断裂がMRIで写らないことがある(Kaplan 2004) |
根拠(もう少し詳しく)
- 3つの組み合わせ(Giaroli 2005):臨床的・手術でインターナルインピンジメントと診断された6人と、腱板・関節唇・上腕骨頭のどれか1か所だけに病変のある対照を比べた研究です。棘上筋または棘下筋の関節面の断裂、上腕骨頭後方の嚢胞性変化、後上方の関節唇の病変がそろうことが、インターナルインピンジメントに一貫した所見でした。
- MRIと関節鏡(Kaplan 2004):重いインターナルインピンジメントで手術を受けた投球選手9人の検討です。MRIでは上腕骨頭の浮腫、軟骨下の嚢胞性変化、後上方関節窩の硬化、主に棘下筋の腱症が見られました。関節鏡では、MRIに写っていなかった関節面の腱板部分断裂が追加で見つかりました。
- MR関節造影・ABER位(Tirman 1994):関節鏡で後上方インピンジメントが確かめられた8人のMRIを見直した研究です。MR関節造影を行った4人全員で通常のMRIより所見がよく分かり、そのうち3人ではABER位での撮像が役立ちました。8人中6人に前方の不安定性がありました。
- 診察テストの肢位(Leschinger 2017):37人の肩を開放型MRIで、診察のテストの肢位のまま撮像した研究です。
参考文献
- Heyworth BE, Williams RJ 3rd. Internal impingement of the shoulder. Am J Sports Med. 2009;37(5):1024-37. PubMed
- Giaroli EL, Major NM, Higgins LD. MRI of internal impingement of the shoulder. AJR Am J Roentgenol. 2005;185(4):925-9. PubMed
- Kaplan LD, McMahon PJ, Towers J, et al. Internal impingement: findings on magnetic resonance imaging and arthroscopic evaluation. Arthroscopy. 2004;20(7):701-4. PubMed
- Tirman PF, Bost FW, Garvin GJ, et al. Posterosuperior glenoid impingement of the shoulder: findings at MR imaging and MR arthrography with arthroscopic correlation. Radiology. 1994;193(2):431-6. PubMed
- Fessa CK, Peduto A, Linklater J, et al. Posterosuperior glenoid internal impingement of the shoulder in the overhead athlete: pathogenesis, clinical features and MR imaging findings. J Med Imaging Radiat Oncol. 2015;59(2):182-7. PubMed
- Kirchhoff C, Imhoff AB. Posterosuperior and anterosuperior impingement of the shoulder in overhead athletes-evolving concepts. Int Orthop. 2010;34(7):1049-58. PubMed
- Leschinger T, Wallraff C, Müller D, et al. Internal Impingement of the Shoulder: A Risk of False Positive Test Outcomes in External Impingement Tests? Biomed Res Int. 2017;2017:2941238. PubMed
- Rosinski A, Chen JL, McGahan PJ. A partial articular-sided supraspinatus tear caused by the biceps tendon: A novel etiology of internal impingement. Clin Case Rep. 2021;9(6). PubMed
症例画像は各図の引用元のとおりです。
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