肩峰下インピンジメント(subacromial impingement syndrome)とは
- impingementとは衝突のこと。関節内impingementと肩峰下impingementがある。
- 上肢を挙上する際に腱板や滑液包などが烏口肩峰アーチと上腕骨大結節の間ではさまれ、肩関節の痛みと挙上制限が見られる。(烏口肩峰アーチは、烏口突起、肩峰、烏口肩峰靱帯で構成され、第2の肩関節とも呼ばれる。)
- 烏口肩峰靱帯の肥厚や肩峰の先端の下向きに突出する骨棘が原因となる。そのため、この骨棘が目立つ場合は、滑液包側に腱板断裂を認めることがある。
- 上肢を挙上することが多い運動も原因となる。
- Neerはインピンジメント症候群に見られる腱板の病理学的変化として、次の3段階を考えている。stageⅠ:出血と浮腫、 stageⅡ:炎症および線維化の進行、 stageⅢ:腱板断裂。
- 治療は肩峰下滑液包へのステロイドやキシロカイン注入、肩峰前方切除など。
- 臨床症状に基づく診断であり、画像では器質的病変を確認する。
impingementを示唆する所見
- 肩峰下-三角筋下滑液包炎
- 肩峰下骨棘
- さまざまな段階の腱板損傷
- 肩鎖関節の過形成
※MRIで断裂を認めないとき、とりあえず肩関節周囲炎(五十肩)もしくはimpingementの診断がなされる。