ワクチン後のリンパ節 腫大の見方と転移との見分け方

COVID-19ワクチンのあと、乳がん検診や検査で「腋のリンパ節が腫れている」と言われました。がんの転移ではないでしょうか?また、COVID後の息切れは画像でわかりますか?
ワクチン接種側の腋窩や鎖骨上にリンパ節の腫れが出ることはよく知られていて、数週間から数か月続くことがあります。検診やPETでがんの転移に見えて紛らわしいため、接種側・接種日・位置・数が手がかりになります。COVID後の肺の変化についても、研究でわかっていることを整理します。

先に結論:ワクチン後のリンパ節腫大は接種側に多い。接種歴の確認が最初の一歩

項目 ポイント
ワクチン後のリンパ節腫大 接種した腕と同じ側の腋窩・鎖骨上に多い。接種後2〜18日(平均6.9日)で出ると報告されている
持続期間 数週間から数か月。エコーで追った研究では平均100日前後かかった
がんとの見分け 接種歴・接種側・位置(腋の深い部分も腫れるか)・リンパ節の数。MRIでは深い側の腫大が手がかりになる報告がある
PET/CT 軽い集積(反応性リンパ節)は多く、悪性腫瘍と紛らわしい。接種側と時期を確認する
COVID後の肺 1年後のCTで肺に異常が残る頻度は研究により7〜97%と大きくばらつく

ワクチン後のリンパ節腫大とは

COVID-19ワクチンは腕の筋肉(三角筋)に注射します。その近くの腋窩リンパ節が、免疫反応で一時的に腫れることがあります。これは反応性リンパ節腫大と呼ばれ、ワクチンの有害事象として報告されています。

10の報告をまとめた系統的レビューでは、触ってわかるほどの腫大は22,532人中91人(0.4%)でした。腫大したリンパ節の平均の大きさは18.2mm(16〜21mm)、接種から出るまでの平均は6.9日(2〜18日)でした(Co 2022)。画像検査ではこれよりずっと多くの人で見つかるため、触れない段階の腫大が、検診や別の目的の検査で偶然見つかることが問題になります。

腫れる場所は腋窩だけではありません。エコーで調べた24人(66個のリンパ節)では、腋窩が11人(45.8%)、鎖骨上が13人(54.2%)でした(Cocco 2021)。接種した腕と同じ側の首の根元や鎖骨の上にも出ることを知っておくと、見落としや過剰な心配を避けられます。

エコー・マンモグラフィでの見え方

エコーで見たワクチン後のリンパ節の特徴は、「気になる」所見が混ざっていることです(Cocco 2021)。

所見 頻度・内容
個数 3個以下が83.3%(20人)
形 楕円形が75%(18人)
皮質とリンパ門 皮質が非対称でリンパ門が見えるものが37.5%(9人)。リンパ門が見えないものもある
血流(SMI) 中心と辺縁の両方に血流シグナルが50%(12人)
硬さ(エラストグラフィ) 周囲の組織と似たパターンが71.4%(15人)

(Cocco 2021)

著者らは、ワクチン後のリンパ節は大きさ・形・皮質とリンパ門・血流の点で「心配に見える」特徴を示すことがあり、接種歴と画像所見を合わせて、短期のエコー経過観察につなげるのがよいとしています(Cocco 2021)。乳腺のマンモグラフィや超音波の基本はマンモグラフィの読み方の基本も参考になります。

症例 49歳女性 ワクチン接種後の腋窩リンパ節腫大のエコー

COVID-19ワクチン接種後の左腋窩リンパ節腫大 超音波Bモード・SMI・エラストグラフィ・1か月後
引用:Cocco G, et al. Biology (Basel). 2021;10(7):652(Figure 4)、CC BY 4.0(図は加工していません)

接種後6日で左腋窩に出たリンパ節で、(a)は楕円形でリンパ門が見えない低エコーの結節、(b)は中心と辺縁に血流があり、(c)のエラストグラフィでは周囲の組織と似たパターンです。(d)は1か月後で、皮質の肥厚が均一になり、リンパ門が見えるようになっています。

いつ消えるか:思ったより長い

以前は数週間で消えるとされましたが、実際はもっと長いことがあります。系統的レビューに含まれた119人の研究では4〜5週で消失しました(Co 2022)。一方、接種後8週以内に乳腺エコーで同側の腋窩リンパ節腫大が見つかった111人を追った研究では、初回エコーから平均97日、初回接種から平均127日で消えました。皮質の厚さが初回に大きいほど消えるまでの期間が長く、年齢・乳癌の既往・腋窩の症状は関連しませんでした(Lane 2022)。

この研究は、消えるまでの期間が長いことから、最近のワクチン接種を理由にスクリーニングのマンモグラフィを遅らせることは勧めないとしています(Lane 2022)。

ワクチン関連が疑われる腋窩リンパ節腫大を乳房画像で認めた94人の研究では、2回目接種から12週以内に生検が勧められた症例はすべて良性でした。一方、悪性と診断された3例は2回目接種から12.0〜13.1週で生検が勧められていました。著者らは、画像の経過観察を2回目接種後12〜16週に延ばすと、不要な生検の勧めを減らせるかもしれないとしています(Nguyen 2022)。

転移との見分け方

乳癌の手術前MRIで、ワクチン後の腋窩リンパ節腫大と乳癌の転移リンパ節を比べた研究があります。両側乳癌などを除いた80腋窩(ワクチン群41、転移群39)で、次のような違いがみられました(Mukai 2023)。

項目 ワクチン後 転移
見えるリンパ節の数(中央値) 15個 7個
背側(深い側)にリンパ節腫大 16腋窩(39.0%) 2腋窩(5.1%)
最後の接種からMRIまで(中央値) 19日 ―

腋窩を腹側と背側に分けたとき、腹側と背側の両方に腫大があればワクチン反応を示唆するとすると、感度34.1%、特異度97.4%、陽性的中率93.3%、陰性的中率58.5%でした(Mukai 2023)。背側に腫大がないからといって転移とは言えない(感度が低い)一方、背側にも腫大があればワクチン反応の可能性が高いという意味です。1施設の小さな検討なので、参考として扱ってください。

実際の読影では、次の点を順に確認します。

順番 確認すること
1 ワクチン接種の有無・日付・接種した腕(左右)
2 腫大が接種側と同じ側か。反対側にもあるか
3 腋窩だけか、鎖骨上・頸部にもあるか
4 リンパ節の数・大きさ・皮質の厚さ・リンパ門の有無
5 乳房や上肢に原発となる病変がないか。乳癌の既往はないか
6 前回画像との比較と、再検査のタイミング(後述)

他の原因によるリンパ節腫大の鑑別はリンパ節が腫れていると言われたら、両側腋窩リンパ節が目立つ場合を参照してください。

FDG-PET/CTでの集積

FDG-PET/CTは、がんの病期診断でリンパ節を評価する検査ですが、ワクチンの反応性リンパ節にも集積し、転移に似て見えることがあります。25の研究・5,010人のメタ解析では、反応性リンパ節の頻度は平均38.6%で、女性と若い人で多く、SUVmaxの平均は2.8でした。血液プールを基準にした厳しい基準で読むと頻度は20%未満に下がり、時間とともに減るものの、1か月後にも見られました(Adin 2025)。

著者らは、軽い集積は多い一方、血液プールより高い集積(臨床的な判断ミスにつながるもの)は少ないと結論しています(Adin 2025)。PETでの偽陽性の全体像はFDG-PETの偽陽性に整理しています。ワクチンを接種した側・時期を、検査の申込書や問診で確認しておくことが重要です。

COVID後遺症(post-COVID condition)の画像

COVID後も息切れや咳が続く状態は、後遺症(post-COVID condition、long COVID)と呼ばれます。肺のCTに異常が残るかどうかを、研究を横断してまとめた報告があります。

報告 内容
1年後のCTのメタ解析(21研究・Bocchino 2023) 肺に後遺症の所見がある頻度は7.1〜96.7%とばらつきが大きく、統合した頻度は43.5%。牽引性気管支拡張・細気管支拡張は1.6〜25.7%、蜂巣肺は0〜1.1%
総説(Cha 2024) 入院した患者では1年以上たっても24〜54%にすりガラス影・網状影・気管支拡張・エアトラッピングなどの異常がある。病理では線維化、器質化肺炎、血管異常が混在

Bocchinoらは、研究ごとの差の理由がまだ分からないため、結果の解釈には注意が必要で、確かな結論には至っていないとしています(Bocchino 2023)。つまり、「COVID後に肺が線維化する人がたくさんいる」と断定する根拠も、「ほとんど残らない」と言える根拠も、まだ十分ではありません。

また、息切れが続くのにCTでは異常がない人もいます。そのような人で、二重エネルギー造影CTや低磁場MRIなどを使うと、換気や血流の異常が見えたという報告があり、標準的なCTでは見えない肺の障害がある可能性が示唆されています(Cha 2024)。

急性期のCOVID肺炎の画像はコロナ肺炎のCT画像所見と経時的変化にまとめています。

後遺症の画像を読むときのポイント

見るもの 考えること
すりガラス影・網状影 急性期の名残か、線維化の初期かを、前回との変化で判断する
牽引性気管支拡張・蜂巣肺 線維化を示唆する所見。蜂巣肺はまれ(0〜1.1%)
エアトラッピング 呼気CTで確認する。気道病変の可能性
画像が正常 症状があっても画像が正常のことがある。呼吸機能検査など他の評価につなげる

(Bocchino 2023、Cha 2024)

息切れが続く、咳が長引くといった症状がある場合は、画像だけで判断せず、医療機関で相談してください。

よくある疑問(Q&A)

Q. ワクチンのあとのリンパ節の腫れは、がんの心配はありませんか?
A. ワクチン接種側のリンパ節腫大は反応性のことが多く、接種後12週以内に生検が勧められた例はすべて良性だった報告があります。ただし悪性の例も12週ごろには出ているため、長く続く場合や他に所見がある場合は専門医の判断を受けてください(Nguyen 2022)。

Q. 乳がん検診はワクチン接種のあとしばらく空けたほうがいいですか?
A. リンパ節腫大が数か月続くことがあり、検診を遅らせても防げない場合があるため、最近の接種を理由に遅らせることは勧めないとした研究があります(Lane 2022)。検診の際は、接種の日と左右を忘れずに伝えてください。

Q. 後遺症の息切れは、胸のCTで診断できますか?
A. CTで異常が見つかる人もいますが、頻度は研究でばらつきが大きく、症状があってもCTが正常のことがあります(Bocchino 2023、Cha 2024)。症状が続くときは医療機関に相談してください。

あわせて読みたい:リンパ腫様肉芽腫症(LYG)の画像診断

参考文献

  1. Co M, Wong PCP, Kwong A. COVID-19 vaccine associated axillary lymphadenopathy – A systematic review. Cancer Treat Res Commun. 2022;31:100546. PubMed
  2. Lane EG, Eisen CS, Drotman MB, et al. Time for Resolution of COVID-19 Vaccine-Related Axillary Lymphadenopathy and Associated Factors. AJR Am J Roentgenol. 2022;219(4):559-568. PubMed
  3. Nguyen DL, Ambinder EB, Myers KS, et al. COVID-19 Vaccine-Related Axillary Adenopathy on Breast Imaging: Follow-Up Recommendations and Histopathologic Findings. AJR Am J Roentgenol. 2022;218(6):997-998. PubMed
  4. Mukai K, Tsunoda H, Imai R, et al. The location of unilateral axillary lymphadenopathy after COVID-19 vaccination compared with that of metastasis from breast cancer without vaccination. Jpn J Radiol. 2023;41(6):617-624. PubMed
  5. Adin ME, Nguyen D, Shin C, et al. COVID-19 vaccine-associated reactive axillary lymph nodes on FDG PET/CT: a systematic review and meta-analysis. Nucl Med Commun. 2025;46(12):1232-1239. PubMed
  6. Cocco G, Delli Pizzi A, Fabiani S, et al. Lymphadenopathy after the Anti-COVID-19 Vaccine: Multiparametric Ultrasound Findings. Biology (Basel). 2021;10(7). PubMed
  7. Bocchino M, Rea G, Capitelli L, et al. Chest CT Lung Abnormalities 1 Year after COVID-19: A Systematic Review and Meta-Analysis. Radiology. 2023;308(1):e230535. PubMed
  8. Cha MJ, Solomon JJ, Lee JE, et al. Chronic Lung Injury after COVID-19 Pneumonia: Clinical, Radiologic, and Histopathologic Perspectives. Radiology. 2024;310(1):e231643. PubMed

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