先に結論:NSIP(非特異性間質性肺炎)のCT
- NSIPは間質性肺炎の一つで、特発性(原因不明)のほか、膠原病(強皮症・皮膚筋炎など)・薬剤・過敏性肺炎に伴うことが多いのが特徴です。炎症が主体の細胞性NSIPと、線維化が主体の線維性NSIPがあります
- CTでは両側下葉優位の、均一な(時期のそろった)すりガラス影と網状影、牽引性気管支拡張、下葉の容積減少が見られ、胸膜直下がわずかに保たれる(subpleural sparing)のがUIPとの違いの手がかりです。蜂巣肺は乏しいです
- UIP(特発性肺線維症)より治療(ステロイド・免疫抑制薬)が効きやすく予後も良いことが多いため、区別が重要です。診断は呼吸器内科・放射線科・病理の合議(MDD)で行います
非特異性間質性肺炎(NSIP)とは?
もともと2002年の定義ではNSIPは暫定的な疾患でいわゆる“ゴミ箱”的な範疇に入れられていました。
ところが2008年のATS reportからは、NSIPは確立された1つの疾患として定義されています。名前はあまり気にしなくていいでしょう。
- 原因不明の線維性もしくは炎症性間質性肺炎。
- 慢性、ときに亜急性。
- 中年(40〜50歳代)の非喫煙女性に多い。
- 主症状は、IPF/UIPと同様に乾性咳嗽、息切れ。
- 治療反応性、時に抵抗性。
- 予後は比較的良好だが、時に不良。ATSプロジェクトで特発性NSIPと確定した67例では、5年生存率は82.3%であった。
NSIPには2種類ある!
Cellular NSIP
炎症細胞が主体。CTでは、すりガラス影(網状影や牽引性気管支拡張は乏しい)が主体。
Fibrotic NSIP
線維成分が主体。CTではすりガラス影に加えて網状影・牽引性気管支拡張・容積減少が特徴。
※ただし、炎症細胞のみのcellular NSIPは少ない。オーバーラップがあり、画像による鑑別はしばしば困難。
・そしてこれら2種類は予後が全く異なる。Fibrotic NSIPはUIPよりは良いものの、cellular NSIPより明らかに予後が悪いのに対し、Cellular NSIPの予後は非常に良好(報告では10年生存率ほぼ100%)。
NSIPの画像所見
- CT画像からNSIPパターンと言えればよい。ただし、NSIPパターンを呈するものは特発性だけではなくて、膠原病や過敏性肺臓炎、薬剤性肺炎などでも見られる。
- そこで、最終的な診断はIPF同様、呼吸器内科医、放射線科医、病理医の3者の合議が重要となる。
関連記事)通常型間質性肺炎(UIP/IPF)のCT画像診断のポイントは?ガイドラインは?
NSIPパターンとは?
- 牽引性気管支拡張像を伴う広範なすりガラス影。
- 小葉内網状影。
- volume loss。
- 分布は下葉優位(92%)。下葉内では、様々な分布を示す。
- つまり、胸膜直下優位、気管支血管周囲優位、もしくはびまん性。
- 胸膜下が保たれる(Subpleural spared area)ことがある。
※UIPのような陰影の多彩さはなく、同質の陰影が全体に(気管支血管に沿った分布が多い)認められる。つまり、病変部には正常肺は入り込んでこない。一方、結節・嚢胞・低吸収域はNSIPでは少ない所見であり、これらが目立つ場合は過敏性肺炎など他の疾患を考える。また多くのNSIPは膠原病に伴うため、膠原病を示唆する随伴所見がないかもあわせて確認する。
▶さらに細かく。
cellular NSIP
気管支血管周囲にGGOとconsolidationが主体。内部にairbronchogramを認めることが多い。
Fibrosing NSIP
不正な網状構造が重積するnetwork pattern様のGGO(ときにconsolidation)が主体。fibrosingの方が牽引性気管支拡張、肺構造の収縮、歪みが見られる。
関連記事)通常型間質性肺炎(UIP/IPF)のCT画像診断のポイントは?ガイドラインは?
NSIPの病理とCTの対応:肺胞壁が一様に厚くなる
- 病理:肺生検では肺胞壁が一様に厚くなり、炎症が主体の細胞性から線維化が主体の線維性までの幅があります(Travis 2008)。UIPのように正常部と線維化部が入り混じる「時相の不均一性」が目立たない点が特徴です。
- CTとの対応:特発性NSIP 67例のHRCTでは、下肺野優位が92%、網状影が87%、牽引性気管支拡張が82%、容積減少が77%で、分布は末梢性が46%、びまん性が47%でした(Travis 2008)。
- NSIPを疑う代表的なCT所見は、下葉の末梢優位のすりガラス影に網状影・牽引性気管支拡張・下葉の容積減少が加わったものです。結節・嚢胞・低吸収域はNSIPでは少ない所見で、目立つときは過敏性肺炎など他の疾患を考えます(Kligerman 2009)。
- NSIPの多くは膠原病に伴うため、レポートでは膠原病を示唆する随伴所見がないかも確認します(Kligerman 2009)。
牽引性気管支拡張はNSIPでどう読む?
- 牽引性気管支拡張は、周りの線維化が縮んで気管支が引っぱられて広がった所見です。細胞性NSIPではすりガラス影が主体で牽引性気管支拡張は乏しく、線維性NSIPでは牽引性気管支拡張と容積減少が目立ちます。
- すりガラス影の中に牽引性気管支拡張があれば、炎症だけでなく線維化も混ざっていると考えます。ただし画像だけで細胞性と線維性をはっきり分けることは難しく、重なりがあります。

NSIPと進行性肺線維症(PPF)
- 2013年の分類改訂でも、IPFとNSIPの臨床経過は一様ではないと認識されており、混合した病変で分類が難しい例も少なくありません(Travis 2013)。
- 線維化を伴うNSIPなど、IPF以外の間質性肺疾患で、過去1年以内に「症状の悪化」「呼吸機能の悪化」「画像上の進行」のうち2つ以上を満たし、ほかに説明がつかないものは進行性肺線維症(PPF)と定義されます(Raghu 2022)。前回CTと比べて牽引性気管支拡張や網状影の範囲が増えていないかを見ます(詳しくはUIP/IPFの記事)。
NSIPパターンとUIPパターンの違い
| NSIP | UIP | |
|---|---|---|
| 主な陰影 | すりガラス影+網状影、牽引性気管支拡張 | 網状影と蜂巣肺 |
| 蜂巣肺 | 少ない(28.9%) | 多い(73.4%) |
| 胸膜直下優位の分布 | 41.8% | 83.3% |
| 胸膜直下が保たれる(subpleural sparing) | 40.7% | 4.3% |
| 患者の傾向 | やや若く(年齢中央値54.8歳)、女性・非喫煙者が多め | 高齢(59.7歳)の男性・喫煙者が多い |
(各項目の割合は12研究・NSIP 338人とUIP 447人を統合した解析の中央値;Ebner 2020)
- ただし重なりも大きく、CTだけで区別しきれないことがある。初回CTでNSIPらしかった18人のうち5人(28%)が、経過のCTではIPF(UIP)らしい所見に変わったという報告もある(Silva 2008)。
NSIPでよくある疑問(Q&A)
Q1. NSIPとはどんな病気ですか?
A. 間質性肺炎の一つで、肺の壁(肺胞の壁)が全体に同じような程度で厚くなるのが特徴です。原因不明の特発性のほか、膠原病などに伴うことがあり、乾いた咳や息切れで見つかります。
Q2. NSIPはUIP(特発性肺線維症)より予後が良いのですか?
A. 一般に良いとされます。特発性NSIPの5年生存率は、線維性で90%、細胞性で100%、UIPで43%と報告されています(Travis 2000)。ただし線維性NSIPは10年では35%で、経過中にUIPに近い所見へ変わる例もあるため、定期的な評価が必要です。
Q3. NSIPとUIPはCTでどこが違いますか?
A. UIPは胸膜直下・下肺野優位の網状影と蜂巣肺が特徴で、NSIPは均一なすりガラス影と網状影が主体で蜂巣肺は少なく、胸膜直下が保たれることがあります。メタ解析では、蜂巣肺はUIPで73.4%、NSIPで28.9%でした(Ebner 2020)。ただし重なりがあり、CTだけで決めきれないことも少なくありません。
Q4. 細胞性NSIPと線維性NSIPで、予後はどのくらい違いますか?
A. 特発性NSIPの病理分類の検討では、細胞性パターンの方が線維性パターンより5年・10年生存率ともに良好でした(5年で100%対90%、10年で100%対35%:Travis 2000)。
※咳や息切れが続くときは、呼吸器内科を受診してください。
症例 50歳代女性 全身性強皮症(進行性全身性硬化症)

引用:Radiopaedia(Non-specific interstitial pneumonia)
両肺の下葉に、左右ほぼ対称にすりガラス影と網状影が広がっています。その中に、引っ張られて拡張した気管支(牽引性気管支拡張)が見られます。下葉優位・左右対称の分布がNSIPらしい所見です。
参考文献
- Travis WD, Hunninghake G, King TE Jr, et al. Idiopathic nonspecific interstitial pneumonia: report of an American Thoracic Society project. Am J Respir Crit Care Med. 2008;177(12):1338-47. PubMed
- Travis WD, Matsui K, Moss J, et al. Idiopathic nonspecific interstitial pneumonia: prognostic significance of cellular and fibrosing patterns: survival comparison with usual interstitial pneumonia and desquamative interstitial pneumonia. Am J Surg Pathol. 2000;24(1):19-33. PubMed
- Travis WD, Costabel U, Hansell DM, et al. An official American Thoracic Society/European Respiratory Society statement: Update of the international multidisciplinary classification of the idiopathic interstitial pneumonias. Am J Respir Crit Care Med. 2013;188(6):733-48. PubMed
- Kligerman SJ, Groshong S, Brown KK, et al. Nonspecific interstitial pneumonia: radiologic, clinical, and pathologic considerations. Radiographics. 2009;29(1):73-87. PubMed
-
Ebner L, Christodoulidis S, Stathopoulou T, et al. Meta-analysis of the radiological and clinical features of Usual Interstitial Pneumonia (UIP) and Nonspecific Interstitial Pneumonia (NSIP). PLoS One. 2020;15(1):e0226084. PubMed
-
Silva CI, Müller NL, Hansell DM, et al. Nonspecific interstitial pneumonia and idiopathic pulmonary fibrosis: changes in pattern and distribution of disease over time. Radiology. 2008;247(1):251-9. PubMed
- Raghu G, Remy-Jardin M, Richeldi L, et al. Idiopathic Pulmonary Fibrosis (an Update) and Progressive Pulmonary Fibrosis in Adults: An Official ATS/ERS/JRS/ALAT Clinical Practice Guideline. Am J Respir Crit Care Med. 2022;205(9):e18-e47. PubMed
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