先に結論:FOPE(傍骨端線部限局性骨髄浮腫)
- FOPEは、思春期(15歳前後)に、膝などの骨端線(成長板)が中心部から閉じ始める時期に、閉じた部分に負担が集まって起こる限局した骨髄のむくみで、膝の痛みの原因になることがあります
- MRIでは骨端線の中心部をはさんで、脂肪抑制T2・STIRで高信号の領域として見えます。骨髄炎・腫瘍・疲労骨折と間違えないことが大切で、年齢と部位・発熱や炎症反応がないことが手がかりです
- 多くは経過観察(運動量の調整)で自然に改善します
傍骨端線部限局性骨髄浮腫(focal periphyseal edema:FOPE)
- 主にMRIで認められる、骨端線が閉じ始める時期に生じる生理的な変化と考えられている所見。痛みの原因となることがあり、他の病気と間違えないことが大切。
- 文字通り、骨端線のすぐ隣(periphyseal)に認められる限局性(focal)の骨髄浮腫(edema)。
- 大腿骨遠位の骨端線の閉鎖は思春期、特に15歳前後くらいで中心部(大腿骨の正中部)からはじまる。中心部のみが閉鎖した状態だと、荷重負荷が非閉鎖部と比較して強靱な閉鎖部によりかかるため、同部に骨髄浮腫を認めることがある。
- MRIでは脂肪抑制T2強調画像やSTIRで帯状の高信号として認め、造影すると造影効果も見られる。原著では11〜15歳の12例・15病変(大腿骨8、脛骨6、腓骨1)が報告され、全例が骨端線の中央部に位置し、骨端線はまだ開存(狭小化)していた。女児はより若い骨年齢でみられた。典型像であれば異常と誤認せず、侵襲的な検査や画像での経過観察は不要と提案されている。
- 骨髄炎(中でも急性化膿性骨髄炎)との鑑別点としては、年齢と部位(FOPEは骨端線が閉じ始める思春期に、骨端線の中央部にみられる)、発熱や炎症反応を骨髄炎では認める点。
症例 15歳男児 進行する膝痛

引用:Radiopaedia
大腿骨遠位骨端線の中心部を中心に両側に広がる帯状のT1WI低信号、STIR高信号域を認めています。
傍骨端線部限局性骨髄浮腫(focal periphyseal edema:FOPE)を疑う所見です。
骨髄浮腫(骨浮腫)とは
- 骨髄浮腫は、MRIで骨の中(骨髄)がT1強調像で低信号、STIR・脂肪抑制T2強調像で境界の不明瞭な高信号に見える所見の呼び名です。膝などのMRIでよくみられ、それ自体が病気の場合と、さまざまな骨・関節の病気に伴う二次的な変化の場合があります(Wörtler 2024)。
- 名前は「浮腫(むくみ)」ですが、中身は水分だけではありません。変形性膝関節症で手術前のMRIと組織を比べた検討では、この領域の大部分は正常な脂肪髄や骨梁で、骨髄の壊死・線維化・出血などが混じり、浮腫そのものは一部でした(Zanetti 2000)。このため「骨髄浮腫様変化(bone marrow edema pattern)」とも呼ばれます。
- 症状のない人でもみられ、無症状の足・足関節では36%に浮腫様の変化がありましたが、多くは1cm未満の小さなものでした(Zubler 2007)。
膝の痛みが続く、腫れや発熱を伴うといったときは、整形外科などの医療機関を受診してください。
FOPEはどのくらい見られる?
FOPEは珍しい所見ではありません。10〜16歳の膝MRI 1,201件を見直した検討では、FOPEは10.8%(97病変)にみられ、女子に多く、半数あまり(53.6%)ではFOPEが主な所見でした。軽症が最も多く(53.6%)、重症のものはFOPEが主な所見のときにだけみられ、74.2%は保存的に治療されていました(Petry 2026)。
外傷歴やほかの異常がなく、運動に関連した膝の痛みがある思春期のFOPE 4例では、支えとなる治療だけで全員が希望する運動に戻れていました(Giles 2018)。
- 思春期の膝MRIで骨端線の中央部をはさむ限局性の骨髄浮腫を見たら、まずFOPEを考え、発熱や炎症反応がないこと、ほかに異常がないことを確かめます。
- 膝の痛みのある思春期の約1割にみられる所見なので、骨髄炎や腫瘍と考えて過剰な検査・治療に進まないことが大切です。
参考文献:
- 安藤 久美, 宮坂 実木, 小山 雅司, 赤坂 好宣. 画像診断2019年12月号特集「知っていると役立つ小児画像診断における正常と異常の境界」. 画像診断 40(6):612-616, 2020(本記事の参照: P614-5)
- 画像診断に絶対強くなるツボをおさえる!P118-20
- Zbojniewicz AM, Laor T. Focal Periphyseal Edema (FOPE) zone on MRI of the adolescent knee: a potentially painful manifestation of physiologic physeal fusion? AJR Am J Roentgenol. 2011;197(4):998-1004. PubMed
- Augusto ACL, Goes PCK, Flores DV, et al. Imaging Review of Normal and Abnormal Skeletal Maturation. Radiographics. 2022;42(3):861-879. PubMed
- Petry B, Khosravi I, Wansch J, et al. Epidemiology, clinical correlates, and management of focal periphyseal oedema (FOPE) in adolescent knees: retrospective analysis of one thousand, two hundred and one knees. Int Orthop. 2026;50(6):1467-1473. PubMed
- Giles E, Nicholson A, Sharkey MS, et al. Focal Periphyseal Edema: Are We Overtreating Physiologic Adolescent Knee Pain? J Am Acad Orthop Surg Glob Res Rev. 2018;2(4):e047. PubMed
- Wörtler K. Bone marrow edema syndromes of the knee. Radiologie (Heidelb). 2024;64(4):287-294. PubMed
- Zanetti M, Bruder E, Romero J, et al. Bone marrow edema pattern in osteoarthritic knees: correlation between MR imaging and histologic findings. Radiology. 2000;215(3):835-40. PubMed
- Zubler V, Mengiardi B, Pfirrmann CW, et al. Bone marrow changes on STIR MR images of asymptomatic feet and ankles. Eur Radiol. 2007;17(12):3066-72. PubMed
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