先に結論:キャッスルマン病とは
- キャッスルマン病(Castleman病)は、リンパ節が腫れる、原因のはっきりしないまれな病気です。がん(悪性リンパ腫)とは別の病気ですが、見た目や症状が似ることがあり、診断にはリンパ節の生検が必要です
- 単中心性(限局型):1か所(胸部・腹部・頸部など)だけのリンパ節が腫れ、多くは無症状。手術で取りきれば治ることが多いです
- 多中心性(全身型):全身の多くのリンパ節が腫れ、IL-6という物質が過剰につくられて発熱・だるさ・体重減少・貧血・CRP上昇などが起こります。日本では特発性多中心性キャッスルマン病が指定難病で、抗IL-6受容体抗体(トシリズマブ)などで治療します
- CTでは、限局型は境界のはっきりした、よく造影されるリンパ節腫大、全身型は多数のリンパ節腫大や肺の影として見えます
Castleman病(キャッスルマン病)とは?

- まれな原因不明のリンパ増殖性疾患。
- 病理組織学的に、硝子血管型(ヒアリン血管型)(hyaline vascular type)と形質細胞型(plasma cell type)に分類され、さらに両方の組織学的特徴をもつ混合型(mixed type)とがある。
- 一方で、臨床像により、単発の病変を形成する限局型(単中心性)Castleman病(unicentric Castleman disease:UCD)と、全身性にリンパ節腫大に全身症状を伴う全身型(多中心性)Castleman病(multicentric Castleman disease:MCD)に分類される。
- 限局型(単中心性)Castleman病のほとんどが硝子血管型(hyaline vascular type)(組織型がわかった例の88.3%、Hoffmann 2024)。
- 全身型(多中心性)Castleman病の多くが形質細胞型(plasma cell type)(特発性の全身型で66.2%、Hoffmann 2024)。
- 全身型は、腫大リンパ節からIL-6が過剰に産生されることが原因の免疫組織反応と考えられている。現在、多中心性はHHV-8関連MCDと、HHV-8陰性の特発性MCD(iMCD;TAFRO型を含む)に分けて扱われます。iMCDには2017年に国際的な診断基準が作られ、特徴的なリンパ節病理と多部位のリンパ節腫大を必須とし、感染症・悪性腫瘍・自己免疫疾患を除外して診断します。2018年の国際治療ガイドラインでは、iMCDの第一選択は抗IL-6抗体のシルツキシマブとされ、使えない場合は抗IL-6受容体抗体のトシリズマブが代替とされています。
- 限局型は全身型より若い傾向があり(診断時年齢の中央値の平均35.4歳)、女性がやや多い(53.7%)(Hoffmann 2024)。
- 特発性の全身型(iMCD)は年齢の中央値の平均が47.5歳とやや高く、男性が59.1%と多い(Hoffmann 2024)。
- 限局型の大部分は無症状。ただし約20%には症状や検査値異常がある(Hoffmann 2024)。
- 全身型では発熱、全身倦怠感、食欲不振、体重減少、発疹、間質性肺疾患、肝脾腫、腹水などの全身症状や、貧血、CRP高値、低アルブミン血症、高γグロブリン血症といった検査値異常を伴うことが多い。
- 限局型の部位(記載のあった316例)は、腹部34.4%、胸部33.6%、頭頸部22.0%、腋窩4.3%、鼠径・骨盤3.5%であった(Hoffmann 2024)。肺、副腎などの報告もある。
Castleman病の画像所見
限局型(単中心性)Castleman病
- 限局型(単中心性)Castleman病の多くは硝子血管型で、境界明瞭な単発のリンパ節腫大で発症することが多い。
- 変性や壊死を伴うことが少ないため、単純CTで内部均一で、豊富な血流を反映して造影CTでは中等度〜高度の造影効果を示す。ダイナミックでは動脈相では不均一、静脈相で均一となる傾向がある。
- CT・MRIで評価した74例の検討では、石灰化が18例(24.3%)にみられ、すべて単中心性であった(点状・枝分かれ状・粗大など)。腫瘤に出入りする太い栄養動脈・流出静脈も38例にみられ、診断の手がかりになる(Zhao 2019)。
全身型(多中心性)Castleman病
- 全身型(多中心性)Castleman病の多くは形質細胞型で、多数のリンパ節腫大を認める。
- 肺内病変(多発すりガラス影や浸潤影、小葉間隔壁肥厚、小葉中心性結節、気管支血管束肥厚など)を認めることがある。
- 特発性の全身型(iMCD-NOS)162例では58例(35.8%)に肺病変があり、結節96.6%、嚢胞65.5%、すりガラス影55.2%、浸潤影22.4%であった。治療後は嚢胞以外の病変の多くが改善した(Zhou 2023)。
- 造影効果は一般に 硝子血管型に比して低い。
単中心性と多中心性の違い(比較表)
| 単中心性(限局型) | 多中心性(全身型) | |
|---|---|---|
| 広がり | 1つのリンパ節領域 | 複数のリンパ節領域 |
| 主な病理 | 硝子血管型 | 形質細胞型 |
| 症状 | 多くは無症状 | 発熱・倦怠感・浮腫など、検査値異常 |
| CT | 境界明瞭で強く造影される単発の腫瘤、石灰化・栄養血管 | 多数のリンパ節腫大、肝脾腫、胸腹水、肺病変 |
| 治療 | 手術での切除 | 抗IL-6療法など(手術では治らない) |
文献から集めた404例の検討では、手術で切除された割合は単中心性94.2%、多中心性38.9%で、5年無病生存率は単中心性81.2%、多中心性34.4%と差がありました(Talat 2012)。
特発性多中心性キャッスルマン病(iMCD)の診断基準
2017年の国際基準では、大基準2つ(特徴的なリンパ節病理、複数領域のリンパ節腫大)をともに満たし、11項目の小基準のうち検査値異常1つを含む2つ以上を満たし、感染症・悪性腫瘍・自己免疫疾患を除外して診断します(Fajgenbaum 2017)。小基準には、CRP(または赤沈)上昇、貧血、血小板の減少または増加、低アルブミン血症、腎機能障害・蛋白尿、多クローン性高γグロブリン血症、全身症状、肝脾腫、胸腹水・浮腫、皮膚の血管腫様の発疹、リンパ球性間質性肺炎が含まれます。
Castleman病のFDG-PET所見
- FDG集積は平均的には高悪性度リンパ腫よりは低いが高いこともある。
- 全身型(多中心性)の方が限局型(単中心性)よりも高く、有症状の方が無症状よりも高い傾向にあり、病勢を反映していると考えられる。
関連記事:リンパ節腫脹をきたす疾患の鑑別診断まとめ
参考文献:
- 頭頸部の画像診断 改訂第2版 P482-483
- 新 腹部画像診断の勘ドコロ P264
- 大鐘 健一朗, 高橋 美和子, 古山 桂太郎, 大友 邦, 百瀬 敏光. 悪性リンパ腫の”appearances”(最終回) 悪性リンパ腫のFDG-PET. 臨床画像 34(10):1236-1241, 2018(本記事の参照: P1239)
- Fajgenbaum DC, Uldrick TS, Bagg A, et al. International, evidence-based consensus diagnostic criteria for HHV-8-negative/idiopathic multicentric Castleman disease. Blood. 2017;129(12):1646-1657. PubMed
- Bonekamp D, Horton KM, Hruban RH, et al. Castleman disease: the great mimic. Radiographics. 2011;31(6):1793-1807. PubMed
- van Rhee F, Voorhees P, Dispenzieri A, et al. International, evidence-based consensus treatment guidelines for idiopathic multicentric Castleman disease. Blood. 2018;132(20):2115-2124. PubMed
- Hoffmann C, Oksenhendler E, Littler S, et al. The clinical picture of Castleman disease: a systematic review and meta-analysis. Blood Adv. 2024;8(18):4924-4935. PubMed
- Zhao S, Wan Y, Huang Z, et al. Imaging and clinical features of Castleman Disease. Cancer Imaging. 2019;19(1):53. PubMed
- Zhou J, Zhang L, Liu X, et al. Evolution of Pulmonary Involvement in Idiopathic Multicentric Castleman Disease-Not Otherwise Specified: From Nodules to Cysts or Consolidation. Chest. 2023;164(2):418-428. PubMed
- Talat N, Belgaumkar AP, Schulte KM. Surgery in Castleman’s disease: a systematic review of 404 published cases. Ann Surg. 2012;255(4):677-84. PubMed
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