膝の外側支持組織(後外側の支持組織(posterolateral corner structures))
- 膝後外側部の大腿骨・脛骨外側顆・腓骨頭には多くの靱帯が起始停止しており複雑。
- 外側側副靱帯を含めて外側支持組織と呼ばれる。
- 外側側副靱帯の単独損傷は稀。
- ACL断裂などで後外側支持組織損傷が合併することがある。
外側支持組織を構成する解剖
第1層
膝外側表面の筋膜を形成する。
- 腸脛靱帯(ITB:iliotibial band)
- 大腿二頭筋腱(BFT:biceps femoris tendon)
の2つ。
関連記事:腸脛靭帯炎(腸脛靱帯滑液包炎)のMRI画像診断、症状は?
第2層
前方で外側膝蓋支帯から外側側副靱帯を含む層。
- 外側側副靱帯(LCL:lateral collateral ligament)
- 前外側靱帯(ALL:anterolateral ligament)
の2つ。
外側側副靱帯(LCL:lateral collateral ligament)
外側側副靱帯(LCL)と大腿二頭筋腱(BFT)は腓骨頭付着部で合同腱を形成する。
MRIのT2WI横断像で合同腱を形成する様子はこちら。
冠状断像においても確認できます。
こちらは膝関節画像診断ツール(冠状断像)で確認できます。
前外側靱帯(ALL:anterolateral ligament)
- 外側側副靱帯(LCL)と同じ大腿骨外側上顆から起始し、脛骨前外側(Gardy結節よりは背側)に存在。
- 外側半月板体部に付着する。
- 冠状断像で外側下膝動静脈を同定し、追うことで前外側靱帯を同定することができる。
- 実際には周囲支持組織と識別できないこともある。
第3層
最深層で、
- 膝窩筋腱(PT:popliteus tendon)
- 膝窩半月靱帯(PML:popliteomeniscal ligament)
- 膝窩腓骨靱帯(PFL:popliofiular ligament)
- 種子骨腓骨靱帯(FFL:fabellofibular ligament)
- 弓状靱帯(AL:arcuate ligament)
- 関節包
がある。
膝窩筋
- 大腿骨外側顆から脛骨近位の後内側面に存在する。MRI T2WIの横断像の膝窩筋の解剖はこちら。
- 膝窩裂孔を介して膝関節の内外に存在するため、関節液が膝窩筋に沿って分布しうる。
- 外側半月板辺縁に近接する腱鞘(tendon sheath)を半月板断裂と診断しないように注意が必要。
- 損傷は筋腱移行部が多い。
参考文献:膝MRI 第3版 P118-139