直腸癌の画像診断で重要な観察ポイントの一つにCRMがあります。
CRMとは、circumferential resection marginの略で、日本語にすると直腸周囲切除断端とか環状側切除断端などです。
これは、腫瘍と直腸固有筋膜までの(最短)距離のことで、外科的剥離面とも言われます。
このCRMが具体的にどこの距離なのかを実際の画像及びシェーマを用いて見ていきましょう。
CRMとは?
CRMは、直腸癌のT3相当の深達度で確認が重要な項目となります。
T3とは癌が固有筋層を超えて浸潤しているが、その外側の直腸固有筋膜には到達していない状態です。
先ほど説明したように、CRMとは、腫瘍と直腸固有筋膜までの(最短)距離のことであり、こちらの距離に相当します。
CRMの評価はどうする?
このCRMは術前MRIで評価をし、術前治療の要否の決定に用いられる(十分な距離が取れない場合は、術前に化学放射線療法が行われることがある)重要な距離となります。
CRMが1mm以下の場合、局所再発のリスクが高くなると言われており、腫瘍が直腸固有筋膜に近い位置まで来ている場合は要注意だということです。
- CRM<1mm:CRM陽性
- CRM>1mm:CRM陰性
となります。
また、
- CRM≦2mm→遠隔転移が増える。
- CRM≦1mm→局所再発が増える。
とも報告されています。
腫瘍が直腸固有筋膜に最も近づいているところを評価する必要があり、外科医はできるだけ腫瘍からの距離を取って切除する必要があります。
剥離面までの距離をいかに稼ぐかと言う意味でもこのCRMの術前評価が重要となります。
参考文献:
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