先に結論:肺動静脈奇形(肺動静脈瘻・PAVM)とは

  • 肺動脈と肺静脈が、毛細血管を通らずに直接つながってしまう血管の異常です。多くは生まれつきで、遺伝性出血性毛細血管拡張症(HHT、オスラー病)に伴うことが多く、その場合は多発しやすいです
  • 血液が肺できれいにならず(ろ過されず)に体へ流れるため、低酸素(息切れ・チアノーゼ)のほか、血のかたまりや細菌がそのまま脳へ行って脳梗塞・脳膿瘍を起こすことがあり、無症状でも治療が勧められることが多い病気です
  • CTでは肺の中の丸い結節に、太い血管(流入する動脈と流出する静脈)がつながっているのが特徴で、造影すると血管と同じように染まります。流入動脈径が2〜3mm以上なら、カテーテルによるコイル塞栓術が第一選択です

肺動静脈奇形(瘻)(PAVM:pulmonary arteriovenous malformation/fistula)

  • 肺動脈と肺静脈が毛細血管を経ないで、直接短絡している疾患。
  • 特発性、Rendu-Osler-Weber症候群((遺伝性出血性毛細血管拡張症)→多発が多い)に伴う。
  • Rendu-Osler-Weber症候群は肺動静脈奇形の7割以上を占め、皮膚、粘膜、その他の臓器にもAVMをもつ。
  • 一般に外傷等により後天性に肺動静脈短路を生じる場合があり、肺動静脈瘻(AV fistula)と呼んで区別する。
  • 低酸素血症→多血症、脳梗塞、脳膿瘍、破裂して肺出血、喀血、血胸を来すこともあるが、成人の場合は無症状の事も多い。
  • 単発型、多発型、びまん型があり、前二者は流入動脈塞栓術の対象となる。
  • 流入動脈径が2〜3mm以上のもの、増大傾向のもの、奇異性塞栓や症候性の低酸素血症などを来したものが治療適応。
  • 治療は動脈塞栓術が主体。困難な場合は、肺部分切除術など。塞栓術後はCTで経過を追い、瘤(sac)の著明な縮小または消失を治療成功の目安とします。長期CT追跡(2〜21年)では治療成功は75%で、19%に遅発性の再開通による再塞栓が必要でした。縮小しない場合は再開通(persistence)を疑います。また塞栓後の長期経過では、下横隔動脈・内胸動脈・気管支動脈などの体循環系動脈が拡張して側副血行となることがあります(32例中13例)。このような例では塞栓後の肺梗塞を示唆する所見が多かったと報告されています。

肺動静脈瘻の頻度と症状

  • まれな病気と考えられてきたが、日本の肺がんCT検診(初回受診者21,235人)では8人に見つかり、10万人あたり38人と推定された。平均の大きさは6.6mmで、いずれも胸部X線では見えず、8人中7人が女性、2人(25%)がHHTだった(Nakayama 2012)。
  • 症状は、息切れ、チアノーゼ、ばち指、胸痛、片頭痛など。無症状のことも多いが、奇異性塞栓による脳梗塞・一過性脳虚血発作、脳膿瘍、まれに喀血や肺内出血を起こす(Majumdar 2020)。
  • 4人に1人以上が奇異性塞栓による脳梗塞・脳膿瘍・心筋梗塞を起こし、妊娠中は100人に1人の女性で命に関わる出血が起こるとされる(Shovlin 2017)。
  • HHTの人のスクリーニングには経胸壁コントラスト心エコー(泡を使った心エコー)が用いられ、感度は最大98.6%と報告されている。陽性ならCTで確かめる(Majumdar 2020)。

※息切れが続く、唇や指先が紫色になる、家族にHHT(鼻血をくり返すなど)の人がいる場合は、医療機関で相談してください。

肺動静脈奇形(瘻)の画像所見

  • HRCT(単純でもよい)で形態、数、径、部位を評価。

分類

  • 単純動静脈奇形(simple type)→流入A、流出Vが1本ずつ
  • 複合動静脈奇形(complex type)→流入A2本以上、流出V1~2本。

肺動静脈奇形の分類:原因(特発性・HHT)、形態(単発型・多発型・びまん型)、血管構築(simple type・complex type)

  • 流入Aの径が3mm未満でも、脳梗塞・脳膿瘍などの脳合併症は起こり得る。
  • ダイナミックCTで結節は血管と同じ動態を示す。

CT所見のポイント

  • 結節状の部分に流入動脈と流出静脈の両方が連続するかを見ます。
  • 血管性病変の可能性を確認してから、結節としての対応を考えます。
肺動静脈奇形の両側肺CTシェーマ。結節に連続する流入動脈と流出静脈
結節に連続する流入動脈と流出静脈。代表的な所見を単純化した模式図です。参考:Saboo SS 2018。比較図全体を見る

症例 50歳代女性

胸部CTの横断像です。

中葉に1.7cm大の境界明瞭な結節あり。

結節には血管の流入および流出を認めており、造影効果あり。肺動静脈奇形(瘻)を疑う所見です。

肺野条件にて上下を見ると流入動脈は1本、流出静脈は1本であり、simple typeの肺動静脈奇形(瘻)であることがわかります。

手術にて、肺動静脈奇形(瘻)と診断されました。

関連記事:腎動静脈奇形・腎動静脈瘻とは?症状(肉眼的血尿)・分類と造影CT画像、塞栓術

肺動静脈瘻でよくある疑問(Q&A)

Q. 肺動静脈瘻と肺動静脈奇形(肺AVM)は違う病気ですか?
A. ほぼ同じ意味で使われます。生まれつきのものを肺動静脈奇形、外傷などで後からできたものを肺動静脈瘻と呼び分けることもありますが、画像の見え方や治療の考え方は同じです。

Q. 小さい肺動静脈瘻も治療が必要ですか?
A. 流入動脈の太さが2〜3mm以上、大きくなっている、奇異性塞栓や低酸素の症状がある場合が治療の目安です(Majumdar 2020)。それより小さいものでも脳の合併症は起こりえるため、経過をみるかどうかを専門の施設で相談します。

参考文献

  1. Raptis DA, Short R, Robb C, et al. CT Appearance of Pulmonary Arteriovenous Malformations and Mimics. Radiographics. 2022;42(1):56-68. PubMed
  2. Majumdar S, McWilliams JP. Approach to Pulmonary Arteriovenous Malformations: A Comprehensive Update. J Clin Med. 2020;9(6):1927. PubMed
  3. Shovlin CL, Condliffe R, Donaldson JW, et al. British Thoracic Society Clinical Statement on Pulmonary Arteriovenous Malformations. Thorax. 2017;72(12):1154-1163. PubMed
  4. Remy-Jardin M, Dumont P, Brillet PY, et al. Pulmonary arteriovenous malformations treated with embolotherapy: helical CT evaluation of long-term effectiveness after 2-21-year follow-up. Radiology. 2006;239(2):576-85. PubMed
  5. Brillet PY, Dumont P, Bouaziz N, et al. Pulmonary arteriovenous malformation treated with embolotherapy: systemic collateral supply at multidetector CT angiography after 2-20-year follow-up. Radiology. 2006;242(1):267-76. PubMed
  6. Nakayama M, Nawa T, Chonan T, et al. Prevalence of pulmonary arteriovenous malformations as estimated by low-dose thoracic CT screening. Intern Med. 2012;51(13):1677-81. PubMed

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