先に結論:骨軟骨腫(外骨腫)とは
- 骨の表面からきのこやこぶのように飛び出す良性の骨腫瘍で、最も多い良性骨腫瘍の一つです(良性骨腫瘍の20〜50%:Murphey 2000。外骨腫とも呼ばれます)。もとの骨と骨髄・皮質がつながっているのが特徴で、先端に軟骨帽という軟骨がのっています
- 10代までの成長期に見つかることが多く、膝のまわり(大腿骨の下端・脛骨の上端)などにできます。多くは痛みのないしこりで、成長が止まると大きくなるのも止まります。多発するものを多発性骨軟骨腫(症)といい、遺伝する病気です
- まれに軟骨肉腫に悪性化します(単発で約1%、多発で3〜5%程度:Murphey 2000)。大人になってから大きくなる・痛む・軟骨帽が厚い(目安は成人で2cm以上)場合は、MRIなどで詳しく調べます
※しこりが急に大きくなった・痛むようになったときは、整形外科を受診してください。
骨軟骨腫(osteochondroma)
- 骨性隆起で、皮質骨、海綿骨、骨髄腔がもとの骨と連続しており、成長期には隆起の先端に軟骨帽(cartilage cap)と呼ばれる軟骨組織が存在する。※骨髄腔と連続性があることが重要。
- 外骨腫(exostosis)とも呼ばれる。
- 良性腫瘍であるが、悪性化することがある。
- 軟骨帽(cartilage cap)は数ミリであることが多い。
- 外傷、放射線治療(幼児期での照射)が原因となることもある。小児がんで放射線治療を受けた子どもでは約12%に骨軟骨腫が生じたとの報告がある(Libshitz 1982)。
- 成長期(10歳代まで)に見つかることが多い。
- 大腿骨遠位、脛骨近位などの長管骨骨幹端や肩甲骨、肋骨、骨盤骨に好発する。
- 無痛性でゆっくり増大する腫瘤。軟骨性骨化が止まると、病変の増大も止まる。
- 無症状のことが多いが、症状を来す場合は、変形や圧迫、悪性転化、滑液包の形成、骨折などの合併症を考慮する。
- 通常は単発性病変だが、多発することがあり、多発性骨軟骨腫症と呼ぶ。多発性骨軟骨腫や多発性内軟骨腫には軟骨肉腫が続発することがある(下の「多発性骨軟骨腫(症)とは」参照)。
- 孤立性の骨軟骨腫の悪性化は約1%。多発性骨軟骨腫の悪性化は3〜5%程度(Murphey 2000)で、報告によっては10%とするものもある(Rueda-de-Eusebio 2025)。
骨軟骨腫の画像所見
- 診断は単純X線写真のみで可能なことが多く、母床骨から連続する骨性隆起として認められる。
- 形態は種々で、広基性(お皿状)のものから有茎性(きのこ状)のものまである。有茎性のものは、関節から遠ざかる方向に発育する。
- 単純X線では軟骨帽は直接確認できないが、軟骨帽の骨化・石灰化、骨硬化、骨表面の凹凸を確認できる。
- 広基性の場合、CTやMRIが有用。軟骨帽はT2強調像にて高信号(T1強調像では低信号)を示す構造として確認できる。
- ただし、成人の場合はこの軟骨帽を認めないこともある。
- 成人で軟骨帽の厚さが2cm以上の場合は、悪性化(二次性軟骨肉腫)を強く示唆する。2cmを境にすると、良性と軟骨肉腫の区別の感度・特異度はMRIで100%・98%であった(Bernard 2010)。成長軟骨閉鎖後の増大や疼痛は悪性化を示唆する。
- 骨表在の石灰化や骨性隆起を伴う病変として傍骨性骨肉腫、傍骨性軟骨異型増生が挙げられる。傍骨性骨肉腫は大部分がT1WI,T2WIで低信号となる。傍骨性軟骨異型増生は手足の短管骨に好発し、病変と骨髄の連続性がない点で骨軟骨腫と鑑別できる。
多発性骨軟骨腫(症)とは
- 骨軟骨腫が全身の骨に多発する病気で、遺伝性多発性外骨腫(hereditary multiple exostoses:HME)ともよばれます。常染色体優性遺伝で、EXT1・EXT2という遺伝子の変化が関わり、頻度は5万〜10万人に1人とされます(Rueda-de-Eusebio 2025)。
- 骨の変形・脚の長さの差・関節の動きの制限・神経や血管の圧迫などを起こすことがあります(Pannier 2008)。
- 単発より悪性化が多いため、大人になってからの痛みや増大がないか、MRIなどで経過をみます(Rueda-de-Eusebio 2025)。
骨腫・外骨腫・骨軟骨腫の違い
| 骨軟骨腫(=外骨腫) | 骨腫(osteoma) | |
|---|---|---|
| 中身 | 皮質骨と骨髄(海綿骨)、先端に軟骨帽 | 硬い緻密な骨のかたまり |
| もとの骨との関係 | 骨髄・皮質が連続している | 骨の表面にくっつく。骨髄の連続はない |
| できやすい場所 | 大腿骨遠位・脛骨近位などの骨幹端、肩甲骨、肋骨、骨盤 | 頭蓋骨・副鼻腔(前頭洞・篩骨洞)・顎の骨 |
「外骨腫」は骨軟骨腫の別名ですが、外耳道外骨腫のように骨の隆起をひろく指すこともあります。
骨軟骨腫の病理(組織)
骨軟骨腫は真の腫瘍というより発育の異常と考えられ、皮質骨と骨髄の上を硝子軟骨の軟骨帽がおおう構造です(Murphey 2000)。軟骨帽の下で成長板と同じように軟骨が骨に置きかわる(軟骨内骨化)ため、成長が止まると増大も止まります。
症例 20歳代女性 膝のしこり

右近位脛骨に脛骨骨髄と連続する後外側骨塊を認めています。

幅広い付着部を伴う近位脛骨幹から生じる骨病変があり、先端部には最大厚み1cm程度のT2WI高信号、T1WI低信号を示す軟骨キャップを疑う所見あり。
骨軟骨腫(osteochondroma)を疑う所見です。
引用:Radiopaedia
画像で見る骨軟骨腫(文献の実例)

引用:Mouratidis P et al. Cureus 2026(Figure 1)
骨盤のレントゲン正面像(A)と側面像(B)です。左の大腿骨頸部の後ろ下側に、骨から盛り上がる病変があります(矢印)。表面はでこぼこで、中は骨と同じ網目状の濃さに見えます。
(出典:Mouratidis P et al. Cureus 2026, Figure 1, CC BY 4.0)

引用:Mouratidis P et al. Cureus 2026(Figure 2)
同じ方の左股関節のCT横断像です。大腿骨頸部の後ろ下側に病変があります(矢印)。CTでは、病変の皮質ともとの骨の皮質、病変の中ともとの骨の骨髄がひと続きになっているかを確かめられます。この23歳の女性は、股関節の動きの制限と歩行・走行時の違和感があり、手術で一部が切除されました(Mouratidis 2026)。
(出典:Mouratidis P et al. Cureus 2026, Figure 2, CC BY 4.0)

引用:Zeleke SS et al. Int J Surg Case Rep 2026(Figure 1)
(A)レントゲン正面像で、腸骨の前側から骨性の隆起(矢印)が出ており、もとの骨の皮質と連続しています。(B、C)CTと3D画像で、下前腸骨棘から出る広基性(付け根の広い)の骨軟骨腫が確認できます。20歳の男性で、股関節を動かすと外側で引っかかる痛み(弾発股)の原因になっていました(Zeleke 2026)。
(出典:Zeleke SS et al. Int J Surg Case Rep 2026, Figure 1, CC BY 4.0)
骨軟骨腫の悪性転化を示唆する所見
- 軟骨キャップ >1.5 cm(骨格成熟後:Murphey 2000。成人では2cmを目安とする報告もある:Bernard 2010)
- 骨格成熟後の成長
- 痛みがある
- 皮質の破壊、軟部組織の塊、新しい透過性病変など悪性を示唆する所見
骨軟骨腫の画像の見方|見逃しやすい点とCT・MRIが要る場面
骨軟骨腫は、典型的な形ならレントゲンだけで診断できることが多い病気です(Murphey 2000、Pontes 2023)。大切なのは「骨軟骨腫かどうか」に加えて、合併症や悪性化のサインがないかを見ることです。
どこを見るか
- もとの骨との連続性:病変の皮質ともとの骨の皮質、病変の中ともとの骨の骨髄がつながっているか。これが骨軟骨腫の決め手です(Murphey 2000)。
- 形と向き:有茎性(きのこ状)か広基性(お皿状)か。有茎性は関節から遠ざかる向きに伸びます。
- 軟骨帽の厚さ:MRI(T2強調像で高信号)またはCTで、最も厚いところを測ります。成人で厚い軟骨帽は悪性化の目安です(上の「悪性転化を示唆する所見」)。
- 周りへの影響:神経・血管・筋肉・腱の圧迫、滑液包(骨軟骨腫の上にできる袋)、茎の骨折、骨の曲がりなどの合併症がないか(Pontes 2023)。
見逃しやすい点
- 骨盤・肩甲骨・大腿骨頸部など平たい骨や重なりの多い場所:レントゲンでは分かりにくく、上の大腿骨頸部や下前腸骨棘の例のように、CTで形と連続性を確かめると分かりやすくなります。
- 関節の近くにできたもの:大腿骨頸部の骨軟骨腫は関節の中にあるため、股関節のインピンジメント(骨どうしの衝突)・動きの制限・関節唇や軟骨の傷み・弾発股などの原因になることがあります(Mouratidis 2026)。
- 痛みの原因は悪性化だけではない:骨軟骨腫の痛みは、滑液包炎・茎の骨折・神経や血管の圧迫でも起こります(Murphey 2000)。新たな痛みがあればMRIで原因を確かめます。
- 多発していないか:1か所見つかったら、ほかの骨(膝・肩・前腕など)にもないかを確認します。多発性骨軟骨腫では悪性化がやや多くなります(Murphey 2000)。
- まぎらわしい病気:骨の表面に石灰化や骨の盛り上がりをつくる傍骨性骨肉腫・傍骨性軟骨異型増生(上の「画像所見」の項)との区別でも、もとの骨の骨髄とつながっているかが手がかりになります。
CT・MRIが要る場面
- MRI:大人になってから大きくなる・痛むとき(軟骨帽の厚さ、周りの軟部組織の評価)、神経・血管の圧迫を疑うとき。
- CT:骨盤・肩甲骨・脊椎などレントゲンで形が分かりにくいとき、もとの骨との連続性を確かめたいとき、手術の計画。
軟骨からできる骨腫瘍は内軟骨腫、軟骨芽細胞腫、関節の中に軟骨のつぶができる滑膜性骨軟骨腫症、子どもの骨のレントゲンの注意点は子どものX線で見逃したくない骨所見、溶ける骨病変の考え方は溶骨性病変を来す疾患の鑑別もあわせてご覧ください。
骨軟骨腫でよくある疑問(Q&A)
Q1. 骨軟骨腫は手術で取らないといけませんか?
痛みや動きの制限などの症状がなければ、経過をみることが多い病気です。神経・血管・腱の圧迫や関節の動きの妨げなど症状がある場合や、悪性化が疑われる場合に切除を考えます(Pontes 2023、Mouratidis 2026)。
Q2. どんなときに悪性化を疑いますか?
成長が止まった後に大きくなる、新しく痛みが出てきた、MRI・CTで軟骨帽が厚い(骨格成熟後に1.5cmを超える:Murphey 2000、成人で2cm以上:Bernard 2010)といった場合です。悪性化の頻度は単発で約1%、多発で3〜5%とされます(Murphey 2000)。
Q3. 子どもの骨軟骨腫は大きくなり続けますか?
軟骨帽の下で成長板と同じように骨ができるため、成長期には一緒に大きくなり、成長が止まると増大も止まるのがふつうです(Murphey 2000)。しこりが急に大きくなった・痛むようになったときは、整形外科などの医療機関を受診してください。
参考文献:
- 骨軟部疾患の画像診断第2版 P342-343
- 読影のキホンが身につく必修手筋101 P222
- Radiopaedia
- Murphey MD, Choi JJ, Kransdorf MJ, et al. Imaging of osteochondroma: variants and complications with radiologic-pathologic correlation. Radiographics. 2000;20(5):1407-1434. PubMed
- Bernard SA, Murphey MD, Flemming DJ, et al. Improved differentiation of benign osteochondromas from secondary chondrosarcomas with standardized measurement of cartilage cap at CT and MR imaging. Radiology. 2010;255(3):857-865. PubMed
- Rueda-de-Eusebio A, Gomez-Pena S, Moreno-Casado MJ, et al. Hereditary multiple exostoses: an educational review. Insights Imaging. 2025;16(1):46. PubMed
- Pannier S, Legeai-Mallet L. Hereditary multiple exostoses and enchondromatosis. Best Pract Res Clin Rheumatol. 2008;22(1):45-54. PubMed
- Libshitz HI, Cohen MA. Radiation-induced osteochondromas. Radiology. 1982;142(3):643-7. PubMed
- Pontes ÍCM, Leão RV, Lobo CFT, et al. Imaging of solitary and multiple osteochondromas: From head to toe – A review. Clin Imaging. 2023;103:109989. PubMed
- Mouratidis P, Koutsopoulos A, Argyrou C, et al. Femoral Neck Osteochondroma Managed With Partial Surgical Excision and Prophylactic Screw Fixation. Cureus. 2026;18(9):e116883. PubMed
- Zeleke SS, Kassa GW, Ashagrie DH, et al. A rare case of anterior inferior iliac spine osteochondroma causing external snapping hip syndrome: a case report. Int J Surg Case Rep. 2026;138(9):3845-3848. PubMed
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