骨軟骨腫(osteochondroma)
- 骨性隆起で、皮質骨、海綿骨、骨髄腔がもとの骨と連続しており、成長期には隆起の先端に軟骨帽(cartilage cap)と呼ばれる軟骨組織が存在する。
- 外骨腫(exostosis)とも呼ばれる。
- 良性腫瘍であるが、悪性化することがある。
- 軟骨帽(cartilage cap)は数ミリであることが多い。
- 外傷、放射線治療(幼児期での照射)が原因となることもある
- 10歳代の男子に多い。男女比は2:1。
- 大腿骨遠位、脛骨近位などの長管骨骨幹端や肩甲骨、肋骨、骨盤骨に好発する。
- 無痛性でゆっくり増大する腫瘤。軟骨性骨化が止まると、病変の増大も止まる。
- 無症状のことが多いが、症状を来す場合は、変形や圧迫、悪性転化、滑液包の形成、骨折などの合併症を考慮する。
- 通常は単発性病変だが、多発することがあり、多発性骨軟骨腫症と呼ぶ。多発性骨軟骨腫や多発性内軟骨腫には軟骨肉腫が続発し、組織学的に低悪性度を示すことが多い。(軟骨肉腫の約10~20%が骨軟骨腫や内軟骨腫より発生するとされている)。
- 孤立性の骨軟骨腫の悪性化は1%以下。多発性骨軟骨腫の悪性化は5%程度。
骨軟骨腫の画像所見
- 診断は単純X線写真のみで可能なことが多く、母床骨から連続する骨性隆起として認められる。
- 形態は種々で、広基性(お皿状)のものから有茎性(きのこ状)のものまである。有茎性のものは、関節から遠ざかる方向に発育する。
- 単純X線では軟骨帽は直接確認できないが、軟骨帽の骨化・石灰化、骨硬化、骨表面の凹凸を確認できる。
- 広基性の場合、CTやMRIが有用。軟骨帽はT2強調像にて高信号(T1強調像では低信号)を示す構造として確認できる。
- ただし、成人の場合はこの軟骨帽を認めないこともある。
- 軟骨帽が2-3cmを超えると、悪性化を示唆する。成長軟骨閉鎖後の増大や疼痛は悪性化を示唆する。
- 骨表在の石灰化や骨性隆起を伴う病変として傍骨性骨肉腫、傍骨性軟骨異型増生が挙げられる。傍骨性骨肉腫は大部分がT1WI,T2WIで低信号となる。傍骨性軟骨異型増生は手足の短管骨に好発し、病変と骨髄の連続性がない点で骨軟骨腫と鑑別できる。
症例 20歳代女性 膝のしこり
右近位脛骨に脛骨骨髄と連続する後外側骨塊を認めています。
幅広い付着部を伴う近位脛骨幹から生じる骨病変があり、先端部には最大厚み1cm程度のT2WI高信号、T1WI低信号を示す軟骨キャップを疑う所見あり。
骨軟骨腫(osteochondroma)を疑う所見です。
引用:radiopedia
骨軟骨腫の悪性転化を示唆する所見
- 軟骨キャップ >1.5 cm
- 骨格成熟後の成長
- 痛みがある
- 皮質の破壊、軟部組織の塊、新しい透過性病変など悪性を示唆する所見
参考文献:
- 骨軟部疾患の画像診断第2版 P342-343
- 読影のキホンが身につく必修手筋101 P222
- radiopedia