先に結論:円形無気肺とは
- 円形無気肺は、胸水や胸膜の炎症のあとに厚くなった胸膜が肺に折れ込み、その部分の肺がしぼんだまま丸いかたまりのように見える状態です。がんではなく良性の変化ですが、CTで肺がんとまちがえやすいのが問題になります
- 原因は石綿(アスベスト)による胸膜病変、結核性胸膜炎、そのほかの胸膜炎・胸水などで、下葉の背中側(胸膜に接する場所)によくできます
- CTでは、胸膜に接した丸い影に、近くの気管支と血管が渦を巻くように引き込まれる「コメットテイルサイン(彗星の尾)」、隣の胸膜の肥厚、その肺葉の容積減少が特徴です。典型的なら経過観察で、変化しないことを確認します
- 無気肺全体では、CT・レントゲンで血管や気管支が寄り集まる、葉間裂がずれるといった容積減少の所見が手がかりです。円形無気肺は、そのうち丸い形をとる特殊な型です(Woodring 1996)
円形無気肺(round atelectasis)
- 肺が限局的に虚脱し、肥厚した臓側胸膜が肺側に折れ込んだもの。
- 胸水貯留によるものや胸膜の病変に関連することが多く、虚脱が残ってしまうもの。
- 原因は、結核性胸膜炎、石綿(アスベスト)による胸膜病変(胸膜プラークなど)、石綿胸水、その他の非特異的胸膜炎などの胸膜病変後。
- 心不全や尿毒症による胸水貯留、胸部外傷でも起こることがある。
- 男性に多い傾向あり。74例の検討では64例に石綿曝露歴があり、曝露例はすべて男性であった。
- 好発部位は、肺の背側、傍脊椎領域、特にS10に多い。
- 両側のこともある。
無気肺のCT・レントゲン所見の基本と円形無気肺の位置づけ
- 無気肺は、肺の一部がしぼんで空気が減った状態の総称です。成り立ちから閉塞性、受動性、圧迫性、癒着性、瘢痕性など、形から区域・肺葉・板状・円形などに分けられます(Woodring 1996)。
- 直接所見は、血管や気管支(エアブロンコグラム)の寄り集まりと葉間裂の偏位。間接所見は、濃度上昇、横隔膜の挙上、縦隔・肺門の偏位、周りの肺の代償性過膨張などです(Woodring 1996)。
- 「限局性無気肺」は一部に限られた無気肺を広く指す言い方で、板状・結節状・円形無気肺などが含まれます。
円形無気肺の画像所見
- 円形あるいは類円形の腫瘤影を形成する。
- 胸膜肥厚を伴うことが多い。
- 胸水の既往があることが多い。
- 無気肺部に向かって近くの気管支と動脈が、弯曲するcomet-tail sign(彗星の尾に似ている)を認めることあり。CT所見の検討では、隣接する胸膜肥厚は全例でみられたものの特異度は低く、腫瘤に収束する気管支血管影(comet-tail sign)が肺癌などとの鑑別に最も有用であった(感度83%、特異度92%)。ただし単独で確定できる所見はなく、典型的なCT所見と気管支鏡などで悪性を除外できれば手術は避けるべきとされる。
- FDG-PETでは、典型的なCT所見をもつ円形無気肺9例10病変(1.2〜5.0cm)はすべて陰性で、非典型的なときに肺癌との区別に役立つことがあります(McAdams 1998)。
症例 80歳代男性

左下葉にcomet tail signを有する腫瘤影あり。経時的に変化を認めておらず、円形無気肺としてフォローされています。
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参考文献
- Batra P, Brown K, Hayashi K, et al. Rounded atelectasis. J Thorac Imaging. 1996;11(3):187-97. PubMed
- Stephenson N, Price J. CT appearances of rounded atelectasis. Australas Radiol. 1992;36(4):308-12. PubMed
- O’Donovan PB, Schenk M, Lim K, et al. Evaluation of the reliability of computed tomographic criteria used in the diagnosis of round atelectasis. J Thorac Imaging. 1997;12(1):54-8. PubMed
- Hillerdal G. Rounded atelectasis. Clinical experience with 74 patients. Chest. 1989;95(4):836-41. PubMed
- Woodring JH, Reed JC. Types and mechanisms of pulmonary atelectasis. J Thorac Imaging. 1996;11(2):92-108. PubMed
- McAdams HP, Erasums JJ, Patz EF, et al. Evaluation of patients with round atelectasis using 2-[18F]-fluoro-2-deoxy-D-glucose PET. J Comput Assist Tomogr. 1998;22(4):601-4. PubMed
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