消化管穿孔のCT画像診断総論

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指導医
それでは今回は消化管穿孔の総論ということで一緒に勉強していきましょう。
研修医
よろしくお願いします。
指導医
まず消化管が穿孔する、つまり破れると空気はどこに漏れるでしょうか?
研修医
えっと、腹腔内じゃないですか?
指導医
正解です。ただし、後腹膜の場合もあります。というのは、消化管の中には後腹膜に一部あるいは全てが存在するものもあるからです。

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漿膜の覆われ具合と各部臓器の関係
  • ①全体が漿膜に包まれる:胃、空腸、回腸、横行結腸、S状結腸、虫垂、卵巣、上腸間膜静脈
  • ②大半が漿膜に包まれる:肝臓、盲腸、上行結腸、下行結腸
  • ③半分が漿膜に包まれる:膀胱、子宮
  • ④全く包まれず:腎臓、十二指腸、副腎、腹部大動脈、下大静脈、尿管、卵巣・精巣動脈、下腸間膜静脈

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研修医
なるほど!上の図によると、盲腸、上行結腸、下行結腸、十二指腸は破れたときに後腹膜内に空気が漏れてもよいわけですね。
消化管穿孔により、消化管内の空気や便は、腹腔内あるいは後腹膜に漏れ出る。

腹膜気腫(遊離ガス=free air)の原因

指導医
実は、腹腔内に空気を認める状態=腹膜気腫の状態を作るのは、消化管穿孔だけではありません。以下のような原因もあるので、覚えておきましょう。
  • 消化管穿孔
  • 術後(開腹術、腹腔鏡下手術)
  • 経膣性(Rubin試験など)
  • 外傷
  • 腸管壁嚢状気腫
  • 縦隔気腫、肺気腫
  • 特発性
研修医
術後に遊離ガス(free air)があるのはよく見ますね。

遊離ガス(free air)の部位と穿孔部位の相関

指導医
さて、遊離ガス(free air)を見つけることがまず大事ですが、見つけたあとに大事なことは何でしょうか?
研修医
どこが破けたかを見つけることでしょうか?
指導医
その通りです。そして、遊離ガス(free air)の分布と量から穿孔した部位をある程度予測可能ですので、以下にポイントを列挙します。
  • 大量→胃十二指腸穿孔、大腸穿孔
  • 小網内(lesser sac)→胃後壁、十二指腸、腹部食道
  • 肝円索、肝鎌状間膜→十二指腸球部、胃
  • 後腹膜→十二指腸下行〜水平脚
  • 腸間膜内→結腸、小腸
  • 骨盤内に限局→結腸、小腸

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腹部CT診断120ステップ (荒木力先生 中外医学者)P178を参考に作図。

※横行結腸、食道下部からの穿孔は頻度が低い。
※盲腸の穿孔は腸閉塞、toxic mega colonで生じることがある。
※腹腔内に漏出した便塊をdirty mass signという。内部に気泡を含み、腸管壁に囲まれない異常腫瘤である。

後腹膜気腫と穿孔部位の相関

指導医
後腹膜気腫とは後腹膜腔へのairの迷入のことです。腹腔内ではありません。
  • 多くが、十二指腸下行脚や水平脚、上行結腸、下行結腸、直腸、S状結腸。
  • 右前腎傍腔→十二指腸、上行結腸
  • 左前腎傍腔→下行結腸、S状結腸

※憩室炎の穿孔は通常後腹膜側の少量のfree airとして描出される。結腸憩室の多くが自由ひも−間膜ひも、大網ひも−間膜ひもの間に生じるため。

消化管穿孔



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