先に結論:急性膵炎の診断・重症度とCTの役割
- 原因はアルコールと胆石が2大原因(ほかに特発性・脂質異常症・内視鏡検査後など)。症状はみぞおち〜背中の強い痛み(前かがみで楽になる)、吐き気、発熱です
- 診断は、①上腹部の痛み、②血液・尿の膵酵素(アミラーゼ・リパーゼ)の上昇、③画像所見、の3つのうち2つを満たすこと
- 重症度は、予後因子3点以上または造影CT Grade 2以上で重症。造影CTのGradeは膵の外への炎症の広がりと膵の造影不良域(壊死)の点数の合計で決めます(1点以下Grade1・2点Grade2・3点以上Grade3)。壊死の評価を目的とした造影CTは、発症直後は壊死の範囲がまだはっきりしないため、発症から少なくとも48〜72時間以降、一般には1週間ほどたってからが適するとされます(Baker 2014)(診断が不確かなときや状態が悪化したときはこの限りではありません)
- 2021年の全国調査では、入院を要した急性膵炎の31.1%が重症に分類され、院内死亡率は全体で2.1%、重症例では5.3%でした(Tanaka 2025)
- 国際的な改訂アトランタ分類では、臓器不全が48時間を超えて続くものを重症、一時的な臓器不全や局所合併症があるものを中等症、どちらもないものを軽症とします(Banks 2013)。日本の重症度判定とは基準が異なります
- 重症例は命にかかわるため、早期の十分な輸液と集中治療が重要です。ただし、急性膵炎249例のランダム化比較試験(WATERFALL試験)では、早期の積極的輸液は中等量輸液に比べて体液過剰を増やし(20.5% vs 6.3%)、重症化は減らしませんでした。輸液量は循環動態を見ながら調整します。※日本の急性膵炎診療ガイドラインは2021年版です
※みぞおちや背中の強い痛みが続くときは、すぐに受診してください。
急性膵炎(acute pancreatitis)とは?
急性膵炎の原因は?
- アルコール(31.2%)・・・男性に多い(割合は2021年の全国調査:Tanaka 2025)
- 胆石症(22.5%)・・・女性に多い。乳頭部へ嵌頓。
- 特発性(22.1%)・・・女性に多い
- 医原性、外傷、慢性膵炎増悪など
急性膵炎の病態は?
・膵内でトリプシノゲンがトリプシンとなり、これらがエラスターゼ、カリクレイン、リパーゼなどが次々と活性化され炎症・血管透過性亢進
→血漿成分の血管外漏出による循環血液量減少(ショック等)が見られる。
急性膵炎の症状は?
- 腹痛(心窩部~背部に強い持続痛)
→前屈位で軽減。アルコール・脂肪摂取で増悪 - 悪心・嘔吐
- 腹部膨満感
- 発熱
- 頻脈
- 血圧低下
重症時の症状は?
- 麻痺性イレウス(腹膜炎による)
- 皮膚内出血斑(臨床的意義は低いとされるが)
- Cullen徴候・・・後腹膜〜腹腔内の出血が及んだ臍周囲の皮膚着色斑
- Grey-Turner徴候・・・後腹膜出血により側腹部が着色
- 呼吸不全、ショック、腎障害
- テタニー症状…膵壊死→脂肪遊離→Caと結合→低Ca
急性膵炎の血液所見は?
- 血清AMY↑(・尿中AMY↑、血清リパーゼ、エラスターゼ↑)
- WBC↑、CRP↑、Plt↓
- 血清Ca↓(重症のサイン)
- 高血糖(インスリン↓のため)
- 血清K↑、BUN↑、Cr↑(腎障害)
- Ht↑(血液濃縮)
- 重症例ではLDH↑
急性膵炎の診断基準は?
- 腹痛などの臨床症状
- 血中ならびに尿中の膵酵素上昇
- 膵炎を示す画像所見
の3つのうち2つが存在すること。
注1)アミラーゼが有力な診断基準であるが、全例が異常値を示すわけではない。
注2)特に高脂血症があるときは高値を示さないことがある。
注3)血中値は発症から時間がたつと低下し、受診時には正常に戻っていることがある。
急性膵炎の重症度判定基準 (2008年改訂)
- 重症急性膵炎はいまだ死亡率が高いので、重症例を早期に検出する目的で重症度判定は必要である。
- 予後因子、造影CTにより重症度判定する。
- 重症急性膵炎:予後因子3点以上または造影CT Grade 2以上
- 軽症急性膵炎:予後因子2点以下および造影CT Grade 1以下
※来院時軽症でも急激に重篤化する場合がある(特に発症早期)。
日本での急性膵炎における全体の死亡率は、2%程度と報告されています。2021年の全国調査では、入院を要した急性膵炎の31.1%が重症に分類され、院内死亡率は全体で2.1%、重症例では5.3%でした(Tanaka 2025)。
現行の急性膵炎診療ガイドライン2021では、予後因子と造影CTグレードの両方で重症と判定された例の致命率が高いことから、Pancreatitis Bundlesの遵守が強調されています。
日本の重症度判定と改訂アトランタ分類の違い
| 日本の重症度判定 | 改訂アトランタ分類(国際) | |
|---|---|---|
| 分け方 | 軽症・重症の2段階 | 軽症・中等症・重症の3段階 |
| 使うもの | 予後因子(血液検査・全身状態)と造影CT Grade | 臓器不全(呼吸・循環・腎)の有無と続く時間、局所・全身の合併症 |
| 重症の定義 | 予後因子3点以上 または 造影CT Grade 2以上 | 臓器不全が48時間を超えて続く |
| CTの位置づけ | 重症度判定そのものに使う | 局所合併症(壊死・液体貯留)の診断に使う |
改訂アトランタ分類では、軽症は臓器不全も合併症もなく、ふつう1週間以内に落ち着くとされます(Banks 2013)。病気の経過は、発症から約1週間の「早期相」と、それ以降の「後期相」に分けられ、早期相では臨床所見が、後期相ではCT所見が治療方針の決定に重要になります(Thoeni 2012)。
急性膵炎の画像所見は?
▶腹部単純Xp
- イレウスの診断。
- 他疾患(消化管穿孔など)との鑑別に有用。
※sentinel loop sign→限局性腸管麻痺による臍周囲の左上腹部空腸ガス像
※colon cut off sign→麻痺のため、大腸ガスが停滞し下行結腸にガスがない状態
▶胸部単純Xp
- 胸水(特に左側)
- 横隔膜の挙上
- 無気肺(左側に多い)
▶腹部エコー
- 膵腫大
- 膵周囲液体貯留
- 実質エコー輝度の低下
▶造影CT
- 膵腫大(浮腫性膵炎:edematous pancreatitis)
- 急性膵周囲液体貯留(acute peripancreatic fluid collection:APFC)
- 壊死性膵炎(necrotizing pancreatitis)
- 感染性膵壊死(infected pancreatic necrosis)
- 膵仮性嚢胞(pancreatic pseudocyst)
- 被包化壊死(walled-off necrosis:WON)※改訂アトランタ分類では「膵膿瘍」の用語は使われなくなりました。改訂アトランタ分類では、発症4週以内の液体貯留を、壊死がなければ急性膵周囲液体貯留(APFC)、壊死があれば急性壊死性貯留(ANC)と呼びます。4週を過ぎて被膜ができると、それぞれ仮性嚢胞・被包化壊死(WON)となります。どの型も感染することがあり、内部のガスが手がかりになります。
- 胆石性膵炎(gallstone induced acute pancreatitis)
▶MRI
- 膵の炎症や反応性浮腫を反映して、脂肪抑制T1強調像にて低信号、脂肪抑制T2強調像にて高信号を呈する。
急性膵炎が起こると炎症はどう広がる?
まず膵臓は下のイラストのように、後腹膜と呼ばれる空間に存在し、固定されています。

急性膵炎とは膵臓に起こる炎症であり、膵臓に炎症が起こるとどうなるのでしょうか?
まず、膵臓の尾部のみに炎症が起こるとどうなるかを見てみましょう。膵臓の尾部に炎症が起こると、下のように
- 炎症が起こっている部位の膵臓は腫大
- 周囲に炎症が及ぶ
といったことが起こります。
周囲に炎症が及ぶと、
- 前腎筋膜・後腎筋膜の肥厚
- 前腎傍腔の液貯留
- 周囲の脂肪織濃度の上昇
といった変化が起こることになります。

次に、膵全体に炎症が起こった場合を見てみましょう。

膵全体に炎症が起こると、上と同じように
- 炎症が起こっている部位の膵臓は腫大
- 周囲に炎症が及ぶ
といったことが起こります。特に膵頭部や膵体部に炎症が強い時は、膵臓よりも前の空間である横行結腸間膜に炎症が波及することがあります。
これは横行結腸間膜の脂肪組織濃度上昇として画像では捉えることができます。
この横行結腸間膜に炎症が波及する点をチェックする点は、CT グレード分類でも重要となってきます。
さらに炎症が強い場合は、膵臓自体に虚血や壊死が生じることがあります。
関連記事)2015年急性膵炎診療ガイドラインに基づくCT画像診断のポイント!
急性膵炎のCT grade(CTグレード)でチェックすべき点は?
急性膵炎では造影CTでグレードを評価しますが、その際の着目点は2点です。
- 膵炎の存在。あるなら、膵壊死の存在。
- 膵炎がどこまで広がっているか。
つまり、膵臓そのものの評価と、炎症が周囲にどこまで広がっているかの評価ということです。
それがCT画像ではどのように現れるかをまとめると以下のようになります。

膵臓そのものの評価
膵臓そのものの評価では、
- 膵腫大
- 膵の輪郭の不明瞭化
- 膵の造影効果減弱〜消失
といった点を評価します。特に膵臓の造影効果が減弱している場合は虚血〜壊死を示唆する所見で、CT gradeを評価する上で重要な所見となります。
炎症が周囲にどこまで広がっているかの評価
一方、炎症が周囲にどこまで広がっているかの評価では
- 膵周囲
- 脂肪織濃度上昇
- 液体貯留
- 筋膜の肥厚
- 前腎筋膜
- 外側円錐筋膜
- 麻痺性イレウス
といった点を評価します。特に炎症を示唆する、脂肪織濃度上昇、液貯留、筋膜の肥厚が腎臓よりも下側(尾側)におよんでいるかどうかといった点が、CT gradeを評価する上で重要な所見となります。
CT severity index(Balthazar)との違い
海外では、膵周囲の炎症の程度と膵壊死の割合を組み合わせたCT severity index(CTSI)がよく使われます。88例の検討では、膵壊死のある人の死亡率は23%・合併症率は82%で、壊死のない人は死亡0%・合併症6%でした。CTSIが高い群では合併症92%・死亡17%、低い群では合併症2%で死亡はありませんでした(Balthazar 1990)。日本のCT Gradeも、膵の外への炎症の広がりと造影不良域(壊死)の2つを組み合わせる点は同じ考え方です。
急性膵炎のCT gradeの画像診断は?
急性膵炎ガイドライン2010はこちら(日本膵臓学会)からダウンロードできます。
※壊死の評価を目的とした造影CTは、発症から少なくとも48〜72時間以降、一般には1週間ほどたってからが適するとされます(Baker 2014)(診断が不確かなときや状態が悪化したときはこの限りではありません)。
- 1点目は炎症が膵の外のどこまで及んでいるかと言う点。
- 2点目は膵に造影不良域があればそれが、頭部、体部、尾部のどこに認められるか
という点です。
①炎症が膵の外のどこまで及んでいるか?
| 前腎傍腔 | 0点 |
| 結腸間膜根部 | 1点 |
| 腎下極以遠 | 2点 |
で点数を付けます。
前腎傍腔とは?


結腸間膜根部とは?


症例 50歳代男性 急性膵炎

②膵の造影不良域を評価する。
・膵を3つの区域(膵頭部、体部、尾部)に分けて造影不良域を評価する。
| 各区域に限局している場合、または膵の周辺のみの場合 | 0点 |
| 2つの区域にかかる場合 | 1点 |
| 2つの区域全体を占める、またはそれ以上の場合 | 2点 |
膵の解剖

症例 60歳代男性 慢性膵炎急性増悪

- 1点以下→Grade1
- 2点→Grade2
- 3点以上→Grade3
となります。

Grade1の症例
症例① 60歳代男性 慢性膵炎急性増悪

症例②
Grade2→3の症例
症例 60歳代女性

その後、動注療法を施行も、膵壊死の範囲は拡大。

CTグレード分類の表の見方
CTグレード分類では、以下の点を評価します。

これは
- 縦は膵臓そのものの評価
- 横は炎症が周囲にどこまで広がっているかの評価
を意味し、これらを組み合わせてグレード分類、重症度分類を行うということです。

では具体的な症例を見ながら、CT grade分類をしていきましょう。
CT grade分類に基づくCT画像診断(症例)
症例 60歳代女性 胆石性急性膵炎

まずこの症例では、膵臓の腫大ははっきりしませんが、膵臓の周囲の、前腎傍腔の脂肪織濃度上昇〜液貯留を認めています。炎症は腎臓下極よりも尾側に広がっておらず、膵臓に造影不良域は認めません。
- 膵外進展度:前腎傍腔に限局
- 膵造影不良域:膵周囲のみあるいは各区域に限局(今回はなし)
に該当しますので、下のようにCT gradeは1ということになります。

続いての症例です。
症例 20歳代女性 アルコール性急性膵炎

こちらの症例では、炎症所見が、前腎傍腔に限局しておらず、
横行結腸間膜への炎症波及、腎以遠レベルまで炎症波及を認めています。
- 膵外進展度:腎下極以遠
- 膵造影不良域:膵周囲のみあるいは各区域に限局(今回はなし)
に該当しますので、下のようにCT gradeは2ということになります。

続いての症例です。
症例 70歳代女性 胆石性急性膵炎

こちらの症例では、前腎傍腔に広汎な液貯留を認めており、腎以遠レベルまで炎症波及を認めていました。また、Vater乳頭部に結石の嵌頓を確認できます。
- 膵外進展度:腎下極以遠
- 膵造影不良域:膵周囲のみあるいは各区域に限局(今回はなし)
に該当しますので、下のようにCT gradeは2ということになります。

この症例ではMRIが撮影されています。

MRIのT2強調像ですと水が明瞭化されるので、炎症の広がりがわかりやすいのが特徴です。
最後の症例です。
症例 50歳代女性 特発性急性膵炎

この症例では膵臓は全体的に腫大を認め、周囲に炎症所見を認めるだけではなく、膵体部で特に造影効果低下を認めています。造影不良域は膵尾部にも認めておりました。また、腎以遠レベルまで炎症波及を認めていました。
- 膵外進展度:腎下極以遠
- 膵造影不良域:2つの区域にかかる(膵体部-尾部)
に該当しますので、下のようにCT gradeは3ということになります。

さらにこの症例の経過を見てみましょう。
造影不良だった部位は、壊死に陥り、その後、被包化された液貯留へと変化しています。これは、いわゆるWONと言う状態です(改訂アトランタ分類での液体貯留の呼び方は、上の「造影CT」の項を参照)。

関連記事)2015年急性膵炎診療ガイドラインに基づくCT画像診断のポイント!
▶動画で学ぶ急性膵炎
参考)急性膵炎診療ガイドライン2021
急性膵炎の合併症は?
▶早期合併症
- 早期相(発症から約1週間):多臓器障害の時期(Thoeni 2012)
→大量の炎症性物質が重要臓器と凝固系に障害を与えて、多臓器不全を起こす。
→DIC、ショック、呼吸不全、腎不全、MOF - その後(後期相):感染性合併症の時期
→感染性膵壊死はインターベンション(ドレナージ・ネクロセクトミー)の適応(現在はstep-up approachが基本)。膵外感染(肺炎、カテーテル感染、尿路感染、血流感染)
▶後期合併症:
発症から4週を過ぎて液体貯留に被膜ができると、仮性嚢胞・被包化壊死(WON)と呼びます(Foster 2016)。
- 膵仮性嚢胞
- 被包化壊死(WON)・感染性膵壊死(旧称「膵膿瘍」)
- 腹腔内膿瘍や出血
- 重症感染症など
急性膵炎の治療は?
- 軽症例には保存的治療(要入院)
- 重症例には集中治療と全身管理を。
軽症例の治療は?
1.輸液
細胞外液を中心に、血圧・脈拍・尿量などの循環動態を見ながら輸液量を調整します。早期の積極的な大量輸液は体液過剰を増やし重症化も減らさなかった(WATERFALL試験)ため、画一的な大量輸液は勧められません。
2.安静・絶食:膵外分泌刺激の回避(ただし軽症では、吐き気や嘔吐がなければ早めに経口摂取を始めてよいとされ、重症では経腸栄養が勧められています:Tenner 2013)
・N-Gチューブから胃液の低圧持続吸引(中等症以下では持続はしない)
※胃液が十二指腸に入るとパンクレオザイミンが分泌され、膵を刺激するから。
3. 呼吸・循環管理
4. 除痛:不安を除くためにも初期から十分な除痛が必要!
・鎮痛薬(レペタン®、ペンタジン®など)を使用
※またはNSAIDsを用いる。
※疼痛コントロールにはオピオイドも使用可能(Oddi括約筋収縮を理由とした禁忌は現在は支持されていない)。
5. 蛋白分解酵素阻害薬の点滴
・フサンなど
6. H2受容体拮抗薬:急性胃粘膜障害予防
・ガスターなど
7.抗菌薬
軽症例では予防的な抗菌薬は不要です。重症例や壊死があっても感染がなければ、予防的な抗菌薬のルーチン投与は勧められていません。感染性膵壊死では、壊死部に届く抗菌薬が使われます(Tenner 2013)。日本の全国調査でも、軽症例への抗菌薬投与は2016年の94.5%から2021年の61.2%に減っています(Tanaka 2025)。
重症例の治療は?
軽症例の治療に加えて、
7. 抗ショック療法:酸素投与、輸液(中心静脈路確保)
8. 感染が疑われるときの抗菌薬
9. 蛋白分解酵素阻害薬の大量点滴静注
10.血液浄化療法
参考)急性膵炎ガイドライン
急性膵炎のCTでよくある疑問(Q&A)
Q. 急性膵炎は単純CTでもわかりますか?
A. 膵臓の腫れや周囲の脂肪のけば立ち・液体のたまり(炎症の広がり)は単純CTでもわかります。一方、膵臓の壊死(造影不良域)の評価には造影CTが必要です。腎機能などで造影剤が使えないときはMRIで補うこともあります(Baker 2014)。
Q. 診断のために造影CTはいつも撮るのですか?
A. 多くは症状と血液検査で診断できるため、造影CTやMRIは診断がはっきりしないときや、治療しても良くならないときに行うとされています(Tenner 2013)。日本では重症度判定のために造影CTを撮ることが多いです。
Q. CT Gradeが1なら安心ですか?
A. CT Gradeが低くても、予後因子で重症になることや、あとから悪化することがあります。改訂アトランタ分類では臓器不全が48時間を超えて続くかどうかで重症を判断するため(Banks 2013)、CTだけでなく全身状態の経過を見ることが大切です。
Q. 膵腫大はCTでどう見えますか?
A. 膵臓全体または一部が太く見え、輪郭がぼやけ、周りの脂肪の濃度が上がります。膵臓の太さは年齢で変わるため、大きさだけでなく周囲の炎症所見と合わせて判断します。
関連記事:早期慢性膵炎の診断基準とは?画像所見は?
CT重症度スコアの比較と、入院時のCTの限界
造影CTで重症度を点数にする方法は、日本のCT Gradeのほかに、海外のCT severity index(CTSI)と、これを簡略にしたmodified CTSI(MCTSI)があります。MCTSIは、膵と膵周囲の炎症、壊死、膵外の合併症を評価する方法で、感染や臓器不全などの経過とよく関連するとして2004年に提案されました(Mortele 2004)。ただし、急性膵炎397例の別の検討では、CTSIとMCTSIの間に有意な差はなく、どちらも臨床的な重症度や処置の必要性と関連していました(Bollen 2011)。
では、入院した日にCTを撮れば重症度がわかるでしょうか。入院後24時間以内に撮ったCTを使った検討(346回の急性膵炎、159回でCT)では、7種類のCTスコアの重症度予測の精度は、APACHE-IIやBISAPといった臨床スコアと有意な差がありませんでした。この報告では、重症度を調べるためだけに入院時にCTを撮ることは勧められないと結論されています(Bollen 2012)。CT Gradeも、壊死の範囲がはっきりしてくる時期に評価するほうが意味をもちます(上の「発症から少なくとも48〜72時間以降」を参照)。
| 方法 | 評価するもの | ひとこと |
|---|---|---|
| CT Grade(日本) | 膵外への炎症の広がり、造影不良域 | 予後因子と組み合わせて重症度判定に使う |
| CTSI(Balthazar) | 膵周囲の炎症、壊死の割合 | 海外でよく使われる |
| MCTSI | 膵と膵周囲の炎症、壊死、膵外の合併症 | CTSIより簡略。転帰との関連は同程度(Bollen 2011) |
間違えやすいポイント
- 入院時のCT Gradeが低い=軽症、ではありません:発症直後は壊死が造影不良域として見えないことがあります。症状が強くなったり、検査値が悪化したら、時間を置いて撮り直します。
- CT Gradeだけで重症度は決まらない:予後因子の点数と合わせて判定し、改訂アトランタ分類では臓器不全が続く時間も見ます。
- 炎症の広がりと壊死は別のものとして評価する:炎症が腎下極より下まで及ぶこと(膵外進展)と、造影不良域(壊死)があることは別の所見です。それぞれ点数をつけて合計します。
急性膵炎のCT Grade・重症度でよくある疑問(Q&A)
Q. 入院した日にCT Gradeをつけてよいですか?
A. 診断がはっきりしないときや、状態が急に悪化したときはCTを撮ります。重症度の評価だけが目的なら、入院時の早い時期のCTは臨床スコアと比べて予測の精度が変わらないため、壊死の範囲がはっきりする時期に評価するのが一般的です(Bollen 2012、Baker 2014)。
Q. 海外のスコアのほうが優れていますか?
A. CTSIとMCTSIは、臨床的な重症度との関連で有意な差がなく(Bollen 2011)、日本のCT Gradeと優劣を直接比べた結果は確認できていません。施設や診療ガイドラインで用いられる方法に合わせて読みます。
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