喫煙により肺はさまざまな変化を来します。
それは大きく
- 炎症
- 破壊
- 線維化
に分けられますが、それらは混在し複雑に関連しています。
そのほか、肺癌のリスクにもなります。
今回は喫煙が関連する肺疾患(喫煙関連肺疾患)についてまとめました。
喫煙関連肺疾患(smoking-related lung disease:SRLD)の分類
喫煙関連肺疾患は上記のように
- 炎症である、LCH(ランゲルハンス細胞組織球症)、RB-ILD(呼吸細気管支炎関連間質性肺病変)/DIP(剥離性間質性肺炎)、RB(呼吸細気管支炎)
- 肺胞破壊をきたす肺気腫
- 喫煙と強い相関が見られる病変として、肺線維症、CPFE、肺がん
が有ります。
これらは、炎症、破壊、線維化という観点から以下のように複雑に関連しています。
2)より引用改変
喫煙による肺気腫
- 過去の高度喫煙率を反映
- 小葉中心性肺気腫
- 肺癌のハイリスク状態
- 他の疾患の形状を修飾-肺癌、肺炎(swiss cheese appearance)、肺水腫
- 肺気腫+間質性肺炎=combined pulmonary fibrosis and emphysema(CPFE)
AEFとは?
- airspace enlargement with fibrosisの略。
- 「肉眼的に薄壁多発性嚢胞または、網状病変、組織学的には気腫性変化を伴う線維化」と定義される。
- 胸部CTでは胸膜よりやや内層を主体に集簇する多発薄壁嚢胞が典型的。
症例 80歳代男性
左下葉に、多発薄壁嚢胞あり。
AEFを疑う所見です。
CPFEとは?
- combined pulmonary fibrosis and emphysemaの略。日本語で言うと、気腫合併肺線維症。
- すべて喫煙者で、ほとんど男性。60歳代に多い。
- 上肺野:肺気腫、下肺野:間質性肺炎が特徴的1)。
- 閉塞性障害と拘束性障害が相殺されて、一見肺機能は正常に近い。肺の容積もほぼ保たれる。そのため見逃されている内に肺高血圧の進行や肺癌合併を来すことがある。
- 肺機能は一見正常に近いが、肺拡散能(DLCO)が低下し、労作時呼吸困難が症状となる。
- 肺高血圧の合併が高く(55%)、予後不良因子。
- 5年生存率:54.6% →しかし、我が国では予後がよいという報告もある。
CPFEの画像所見
- 肺尖部は肺気腫+肺底部はIP
※ただし、肺気腫はタイプ、範囲を問わない。
※間質性病変は線維化所見があるもので、UIPが多いが、NSIP、DIP、OPもある。
CPFEの問題点とは??
- 肺気腫+肺線維症なので、その割合が問題となり、肺気腫よりものや肺線維症よりのものまで、この病態に分類される。
- そうすると、IPFなのにそれをCPFEとしてしまう可能性もある。
参考文献)
- 1)EurRespir J.26:586-593,2005
- 2)画像診断 vol.37 No.13 2017 P1405- 1414