先に結論:DIP・RB-ILDは喫煙と関係する間質性肺炎
- RB-ILD(呼吸細気管支炎関連間質性肺疾患)とDIP(剥離性間質性肺炎)は、ほとんどが喫煙者に起こる、肺に色素を含んだマクロファージがたまる病気で、同じ病気の広がりの違い(スペクトラム)と考えられています
- CTでは、RB-ILDは小葉中心性の淡い粒状影・すりガラス影と気管支壁の肥厚、DIPは下肺・胸膜直下優位の広いすりガラス影(小さな嚢胞を伴うことも)が特徴です
- 治療の基本は禁煙で、DIPではステロイドも使われます。どちらも予後は比較的良好です
※喫煙している方で、息切れやせきが続くときは、呼吸器内科を受診してください。
DIP(剥離性間質性肺炎)/RB-ILD(呼吸細気管支炎関連間質性肺疾患)とは?
- RB-ILDとDIPはマクロファージ集積病変のスペクトラム上にある一連の病変である。広がりや分布が異なる。
- 臨床的な表現型、画像所見、治療反応性は異なる。
▶両者の違いの重要点は、
- DIPの喫煙歴は約8割(系統的レビューで81%)で、22%に職業性などの他の曝露がある。RB-ILDはほぼ全例が喫煙者。
- ばち指はDIPの33%にみられる(Hellemons 2020)。
- 予後はいずれも比較的良好で、RB-ILDの方がより良好。ただしDIPの系統的レビューでは、HRCTで下葉優位の両側すりガラス影が92%にみられた一方、個別症例の25%が死亡、18%が再発しており、DIPは従来考えられていたより進行性の経過をとることがあると指摘されています。
DIPの画像所見
- 両肺胸膜直下優位の非区域性すりガラス影。
- しばしば、すりガラス影内部に小嚢胞状変化&気腫化あり。わずかに牽引性気管支拡張、稀に蜂巣肺。
- 均質だがムラのあるすりガラス影。(間質性肺炎だけど陰影の主体は肺胞性)
- 正常部との境界は不明瞭。(マクロファージにより境されているため)
※治療への初期反応は一般に良好で(Hellemons 2020)、UIPと異なり、すりガラス影が軽くなることがある。
RB-ILD
- ほぼ全例が現喫煙者または元喫煙者(病理で確認された21例すべて;Park 2002)。
- 画像とBAL所見で診断可(HPを除外)2013年のATS/ERS分類改訂でも、RB-ILDは外科的肺生検なしで診断されることが多いとされている。
- 経過は様々:7年以上の生存が75%以上と長期生存が多い一方、症状の改善は28%にとどまり、禁煙や治療で良くなるとは限らない(Portnoy 2007)。
RB-ILDの画像所見
- 両肺の小葉中心性粒状影(上肺優位とされることが多いが、明らかな偏りがないとする報告もある;Park 2002)。その周囲に、不均一な斑状すりガラス影。なので柔らかい小葉中心性。HPと似ている。
- 気管支壁肥厚が多い(中枢側で90%;Park 2002)。
- しばしば小葉中心性肺気腫の合併。線状網状影は軽度。
- CT所見が軽く、目立たない例もある(Heyneman 1999)。
RB-ILDとDIPの違い(比較表)
| RB-ILD | DIP | |
|---|---|---|
| 喫煙 | ほぼ全例 | 約8割(81%) |
| 主なCT所見 | 小葉中心性粒状影・斑状すりガラス影・気管支壁肥厚 | 広いすりガラス影(小嚢胞を伴うことも) |
| 分布 | 小葉中心性(気管支中心) | 下肺・胸膜直下優位(92%) |
| 経過 | 長期生存が多い | 治療反応は良いことが多いが、再発・進行例もある |
※両者はCT所見の重なりが大きく、喫煙に対する反応の程度の違いと考えられています(Heyneman 1999)。最終診断は臨床・画像・病理を合わせて行います(Attili 2008)。
よくある疑問(Q&A)
Q. 医療でいう「DIP」とは?
A. 肺の病気では剥離性間質性肺炎(desquamative interstitial pneumonia)の略です。指の第1関節(遠位指節間関節)もDIPと略されるため、文脈で区別します。
Q. 剥離性間質性肺炎は治りますか?
A. 禁煙や治療で良くなることが多い一方、系統的レビューでは個別症例の25%が死亡、18%が再発しており、経過観察が大切です(Hellemons 2020)。
症例 50歳代男性 重喫煙者の呼吸困難・慢性咳嗽

引用:Radiopaedia(Respiratory bronchiolitis-interstitial lung disease (RB-ILD))
右肺の背側寄り(大葉間裂の前方)に、境界不明瞭な斑状のすりガラス影を認めます。症例報告では上葉優位に両肺の斑状すりガラス影、小葉中心性結節、末梢の小葉中心性肺気腫がみられ、気管支肺胞洗浄で色素を含むマクロファージを認めてRB-ILDと考えられています。
参考文献
- Attili AK, Kazerooni EA, Gross BH, et al. Smoking-related interstitial lung disease: radiologic-clinical-pathologic correlation. Radiographics. 2008;28(5):1383-96. PubMed
- Travis WD, Costabel U, Hansell DM, et al. An official American Thoracic Society/European Respiratory Society statement: update of the international multidisciplinary classification of the idiopathic interstitial pneumonias. Am J Respir Crit Care Med. 2013;188(6):733-48. PubMed
- Hellemons ME, Moor CC, von der Thüsen J, et al. Desquamative interstitial pneumonia: a systematic review of its features and outcomes. Eur Respir Rev. 2020;29(156):190181. PubMed
- Escalon JG, Girvin F. Smoking-Related Interstitial Lung Disease and Emphysema. Clin Chest Med. 2024;45(2):461-473. PubMed
- Park JS, Brown KK, Tuder RM, et al. Respiratory bronchiolitis-associated interstitial lung disease: radiologic features with clinical and pathologic correlation. J Comput Assist Tomogr. 2002;26(1):13-20. PubMed
- Heyneman LE, Ward S, Lynch DA, et al. Respiratory bronchiolitis, respiratory bronchiolitis-associated interstitial lung disease, and desquamative interstitial pneumonia: different entities or part of the spectrum of the same disease process? AJR Am J Roentgenol. 1999;173(6):1617-22. PubMed
- Portnoy J, Veraldi KL, Schwarz MI, et al. Respiratory bronchiolitis-interstitial lung disease: long-term outcome. Chest. 2007;131(3):664-671. PubMed
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