先に結論:浸潤性乳管癌

  • 浸潤性乳管癌は乳癌の大部分を占める型で、日本の取扱い規約では乳頭腺管癌・充実腺管癌・硬癌の3つに分けられてきました(第18版(2018)からは腺管形成型・充実型・硬性型)
  • MRIでは硬癌はスピキュラを伴う不整形の腫瘤、充実腺管癌は境界明瞭な圧排性の腫瘤(辺縁が強く染まる)、乳頭腺管癌は乳管に沿った区域性の広がりが多いです
  • 治療方針は形態よりサブタイプ(ホルモン受容体・HER2・Ki-67)で決まるため、画像の役割は主に広がり診断です

浸潤性乳管癌(Invasive ductal carcinoma)

  • 乳癌全体の8割を占める。
  • ・癌細胞が間質(筋上皮細胞層および基底膜を破って進展)に浸潤しているもの。そのため、リンパ節転移や他臓器転移のリスクあり。
  • 浸潤癌においてもしばしば乳管内進展をする。
  • 特殊型やまれな乳癌に分類できないもの。
  • 乳癌取扱い規約で以下の3つの亜分類に分類される(第18版[2018]では腺管形成型・充実型・硬性型と呼称変更)。日本独自の分類。
  1. 乳頭腺管癌
  2. 充実腺管癌
  3. 硬癌
  • 1>2>3の順で分化度が高い。これらが混在する場合も多い。
  • 2種類以上の組織型が見られる場合は優位な組織型に分類。
  • しかし、subtypeで治療をするので、形態学的な亜分類にはこだわらなくてよい。
  • WHO分類では採用されていない。非特殊型浸潤性乳癌(invasive carcinoma of no special type : NST)

Invasive ductal carcinoma

進展形式 組織形態学的分化度 リンパ節転移 予後
乳頭腺管癌 管内進展性 高分化 低率 良好
充実腺管癌 管外圧排性 中-低分化 中間 中間
硬癌 管外浸潤性 低分化 高率 不良


乳頭腺管癌(papillotubular carcinoma)

  • 乳癌全体の2割を占める。
  • 浸潤性乳管癌の中で最も分化度が高く予後が良い。
  • 乳管の中の病変がメインである乳管内進展型乳癌と、間質浸潤が主体のものに分けられる。
  • 横に伸びる、雲みたいな形態で進展。
  • 円形、楕円形、分葉形の辺縁粗造〜不明瞭な腫瘤像あるいは非腫瘤性、区域性の濃染像を呈する。
  • 乳管内成分が主体の場合はductalな分布を呈し、DCISとの鑑別は困難。(サイズが大きい場合や、T2WIで高信号を示す場合は乳頭腺管癌がより疑わしい)
  • ダイナミックにおいて、多くはrapid- washoutのパターンを呈するが、漸増性に造影されるものもある。

充実腺管癌(solid-tubular carcinoma)

  • 乳癌全体の2割を占める。
  • 圧排性に発育。周囲との境界は比較的明瞭。
  • 充実性腫瘤を呈するものが多く、その場合、線維腺腫、葉状腫瘍、粘液癌との鑑別を要する。
  • rapid-washoutを呈することが多い。後期相でrim enhancementを伴うことがある。造影MRIの検討では、遅延相のrim enhancementは充実腺管癌の約86%に見られた一方、硬癌ではまれ(約5%)で、硬癌は約91%で鋸歯状の辺縁を示しました。

硬癌(scirrhous carcinoma)

  • 乳癌全体の4割を占める。
  • 細胞がバラバラと線維化を伴いspiculaを伴う古典的乳癌の形態を呈する事が多い。
  • 乳管内成分が乏しく間質浸潤が高度な狭義の硬癌と、乳頭腺管癌や充実腺管癌由来で間質浸潤部分が面積的に優位になったものに分けられる。
  • 辺縁不整な腫瘤像を呈する。中心部は線維化を反映してT2WIで低信号を呈することがある。
  • ダイナミックでは中心部は線維化が多いのでplateau-persistent型の造影効果を呈する事が多い。辺縁部はrapid-washout型の造影効果。
症例 60歳代女性

scirrhous carcinoma scirrhous carcinoma2

左AC領域に径25mm大のspiculaを伴う腫瘤。TICにてrapid washout-plateauの造影パターンを呈しており、乳癌を疑う

【病理診断】浸潤性乳管癌、硬癌

参考文献

  1. Kitagawa K, Sakuma H, Ishida N, et al. Contrast-enhanced high-resolution MRI of invasive breast cancer: correlation with histopathologic subtypes. AJR Am J Roentgenol. 2004;183(6):1805-9. PubMed
  2. Takeda Y, Yoshikawa K. Contrast-enhanced dynamic MR imaging parameters and histological types of invasive ductal carcinoma of breast. Biomed Pharmacother. 2005;59(3):115-21. PubMed

画像診断を無料で学べるコンテンツ

腹部画像診断を症例で学ぶ
無料講座

腹部画像診断を症例で学ぶ

4日に1回、朝6時に症例が届き、実際に画像をスクロールして読影する講座です。90症例以上・1年以上続く講座で、医師・医学生・放射線技師・看護師など10,000名以上が参加中です。

講座に参加する(無料) →
胸部レントゲンの正常解剖を31日で
無料講座

胸部レントゲンの正常解剖を31日で

1日3分、全31日で胸部レントゲンの正常解剖の基礎を学ぶ参加型の講座です。全日程に簡単な動画解説が付いています。

講座に参加する(無料) →
画像診断LINE公式アカウント
登録特典あり

画像診断LINE公式アカウント

新しい企画やモニター募集のお知らせを配信しています。登録すると特典として、脳の血管支配域のミニ講座に無料で参加できます。

LINEで友だち追加 →