非浸潤性乳管癌(DCIS:ductal carcinoma in situ)
- Noninvasive ductal carcinoma、DCIS:ductal carcinoma in situと呼ばれる。
- 非浸潤癌は乳管上皮細胞から発生するが、筋上皮細胞層および基底膜を破って間質に浸潤することはなく、乳管内だけで増殖、進展する特徴をもつ。(癌細胞が基底膜を破壊浸潤することなく上皮層内に留まっている(in situ)状態)
- 乳癌全体の10%を占め、増加傾向。
- 理論的にはリンパ節、他臓器転移の可能性はゼロであり、この時期に発見、治療できることがベストである。
- WHO分類ではDCIS(ductal carcinoma in situ)
- 嚢胞状に拡張した乳管内に限局・・・非浸潤性嚢胞内癌
- 分類:面疱型、充実型、篩状型、乳頭型、充実型、低乳頭型、etc。悪性度により高悪性度、中間悪性度、低悪性度と分類される。
- 転移はほとんどなく、予後良好。
- 欧米では全乳癌の15-20%
- 本邦では6~7%;1980年代,8.7%;2002年 → 14.2%;2009年
乳癌の発生と進展様式
DCISの病理
以下の3つに分類する。
- 低悪性度(low grade):師状ないし充実性に増殖し核異型度は軽く壊死を伴わない。
- 中悪性度(intermediate)
- 高悪性度(high grade):強い核異型度、広範な壊死(comedo型を含む)
※high grade DCISはlow gradeに比較して保存的治療後、高頻度にしかも早期に再発する。
DCISの画像所見
マンモグラフィ
- 石灰化のみで発見されることが多い。
- 石灰化(66%)、腫瘤(9%)、FAD(7%)、構築に乱れ(9%) (宮城由美ら:乳癌の臨床27,2012)
- 壊死型の石灰化が多いが、分泌型のこともあり、その場合は良悪性の鑑別が困難。
- 硬化性病変を背景としたDCISが注目されている。
石灰化が腺葉を思わせる分布(区域性)を示したら要注意
- 区域性は悪性寄りの分布。
- 集簇はグレーゾーンであり、形態で判断。
- 同じような分泌石灰化が両側性に分布していたら良性寄り(乳腺症を考える)
- 腫瘍の体積が増加すれば石灰化がなくても見える事がある。
- 区域性の限局性非対称性陰影にも注意(segmantal asymmetric density)
超音波検査
- 非腫瘤性病変として認識されることが多い。
- 非腫瘤性(67.0%)、腫瘤(26.8%)、所見無し(6.2%)。
- 非腫瘤性では低エコー域として認識されることが多い。
- 乳管の異常(12.4%)、低エコー域(66.5%)、構築の乱れ1.1%)、小嚢胞集簇像(3.2%)、点状高エコー主体(16.8%)
MRI所見
- 多くは非腫瘤性濃染(non-mass pattern)として同定される。
- 線状・分枝状
- 区域性濃染
- Clustered ring enhancement:乳管内癌の乳管周囲間質にpoolingされた造影剤がリング状に描出されるもの。DCISに特徴的。
- 時間信号曲線の良悪性鑑別における有用性は低い。
- 検出能はマンモグラフィやUSより高い。
- High grade DCISはほとんど検出可能。
- Non-high grade DCISでは検出できない場合がある。
- 石灰化病変では生検の適応はマンモグラフィのカテゴリーに従って決定する。
- 実際のMRI画像を見てみる→DCISのMRI画像所見