症例10 解答編

症例10

【症例】40歳代男性
【主訴】左腰背部痛

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単純CTです。左の腎盂~尿管に軽度拡張を認めています。
またやや左腎腫大を認めています。

左の尿管を尾側に追うと、尿管膀胱移行部に結石を認めていることがわかります。

左尿管結石と診断されました。

診断:左尿管結石

関連:尿管結石の症状、CT画像診断のポイントは?

その他所見:胃内に残渣あり。

症例10の動画解説

尿管結石の画像所見

症例10のQ&A
これは簡単に感じました。結石を疑ったら依頼状にthin sliceもって書いたほうがいいんでしょうか?
そうですね。5mmでわからない結石の場合はthin sliceがあったほうがいいですね。
尿管結石については、解説のほうでもご説明いただいていますが、やはり動脈や静脈の石灰化との鑑別が難しいことが多くあります。今回のように尿管拡張がはっきりしていれば分かりやすいように思いますが、より小さい結石で尿管拡張も目立たないようなときに何かポイントなどありますでしょうか。
soft tissue rim sign,comet sign が有名ですが、個人的には、

とにかく尿管を追う。追えない場合は、thin sliceを作って追う。
そうすればほぼ全ての症例で尿管を追うことができ、尿管内か外かは鑑別できる。

と思っています。
ですが、たまにどうしても追えない症例がありますが。

その場合は、尿所見や臨床症状から診断するしかないと思われます。

今日外来でちょうど尿管膀胱移行部の尿管結石をみたところでした。尿路結石では腎盂腎炎などの感染症を合併していないが気をつけるようにしています。
そうですね。発熱や炎症反応高値の場合は常に必要ですね。
尿管結石はフィルムレス時代の現在は3mmもしくはそれ以下のthin slice画像データを見ることができるので、見逃さずに指摘できるようになりました。昔は7mm間隔の画像をフィルムで見ていたので、結石を指摘できないこともあった気がします。
ですね。フィルムですと結石に限らずいろいろ大変でしたね(;゚ロ゚)
下部尿管結石、水腎症の所見ともに同定することができました。310枚目あたりにも高吸収の所見が見られたので、これも結石なのかなと思ってしまいました。また、その周囲に軟部影らしきものがあるようにも思えたのですがtissur rim signなのかよくわかりませんでした。220枚目の画像で、小腸内部に高濃度の領域が認められる気がするのですが、なんだかよくわかりませんでした。
>310枚目あたりにも高吸収の所見が見られたので、これも結石なのかなと思ってしまいました。

これは尿管よりも後ろの石灰化ですね。
内腸骨動脈の石灰化です。

>220枚目の画像で、小腸内部に高濃度の領域が認められる気がするのですが、なんだかよくわかりませんでした。

これは消化管内のairによるアーチファクトと思われます。

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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