【胸部】TIPS症例12
【症例】60歳代女性
スクリーニング
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上行大動脈に解離がある?ない?ないならば何?
単純CTが撮影されています。縦隔条件を見てみましょう。
すると上行大動脈の基部の左前側に三重のラインを認めています。
大動脈解離でしょうか?
ではなく、これは上行大動脈の拍動によるアーチファクトです。割とよく見られるアーチファクトです。
診断:上行大動脈の拍動によるアーチファクト
大動脈解離を疑うような臨床症状などがある場合には、解離とアーチファクトを鑑別するために心電図同期を併用することがあります。これによりアーチファクトを軽減することができます。
またこの症例でも、上行大動脈背側に扁平な形の液貯留を認めており、上心膜腔への心嚢液貯留を疑う所見です。
こうやって見ると、心膜腔への心嚢液貯留は決して稀な所見ではないことがわかりますね。
その他所見:
- 両側腋窩に小リンパ節あり。
- 少量心嚢水あり。
- 肝嚢胞あり。
【胸部】TIPS症例12の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
現在の高速化したCTでも、見かけるアーチファクトです。新人にたまに質問されることがあります。
ですね。
救急で大慌てすることもあります。知っておくことが大事ですね。
同じスライスで他もブレてたら動きだと指摘しやすいですが、大動脈だけのブレなので一瞬ドキッとしますね。
アウトプットありがとうございます。
>大動脈だけのブレなので一瞬ドキッとしますね。
おっしゃるとおりですね。ホンモノのこともあるので注意が必要ですね。
もっと近位の大動脈弁のことかと思いました。ピックアップすべき点を間違っており反省です。大動脈のほうは拍動っぽくてよいのですが、SVCが右心房に流入するところもフラップのように見えます(右肺動脈の真ん前)が、弁はないところだと思いますのでこれも拍動ですか?
もし非造影で画像上解離が疑われ一層しか撮影しない予定ならばローテーションタイム最小にして、状況に応じ、そこだけ再撮影すべきなんでしょうね。悩ましい症例提示ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>SVCが右心房に流入するところもフラップのように見えます(右肺動脈の真ん前)が、弁はないところだと思いますのでこれも拍動ですか?
確かにありますね。これも同様ですね。
>もし非造影で画像上解離が疑われ一層しか撮影しない予定ならばローテーションタイム最小にして、状況に応じ、そこだけ再撮影すべきなんでしょうね。
本当に疑わしい場合はそうですね。しかしその場合は可能ならば造影した方がよいですね。
このアーチファクトはよく見る,特に大動脈解離を疑うような状況で撮ったCTで見つかると頭を悩まされるやつですね.造影しても同様に見えることもあり,本当に除外するときは同期で撮る必要があるのでしょうね.
アウトプットありがとうございます。
>造影しても同様に見えることもあり,本当に除外するときは同期で撮る必要があるのでしょうね.
ですね。症状からも疑わしい場合は悩ましいケースもありそうです。
ここだけに解離があるというのは稀だと思いますが。
こんにちは。いつもありがとうございます。
心嚢液は指摘できたのですが…わかりませんでした…
たしかに解離にしては人工的な感じがします。
アウトプットありがとうございます。
>たしかに解離にしては人工的な感じがします。
ここだけですしね。たまに解離ではないかと救急医や研修医の先生から聞かれることがあるアーチファクトです。
いつもお世話になっております。
研修医1年目で経験が浅いため教えていただきたいのですが、
拍動による心臓のアーチファクトは画像上見当たらないのに
上行大動脈で見られるのはどうしてでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
上行大動脈で拍動による左右への動きが大きいためと考えられます。
この部分だけ体動が起こっている様な状態ですね。
いつもありがとうございます。
画像のブレかなと最初思ったのですが、まさか、問題にされないだろうと推測しました。
まさか!でしたが、大動脈部分のみ、このようにアーティファクトが起こることは
知っておくべきと、改めて感じました。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>大動脈部分のみ、このようにアーティファクトが起こることは知っておくべきと、改めて感じました。
救急の先生などからたまに聞かれることがある部位です。
あるいは、解離疑いで造影が撮影されていることもあります。
是非覚えておいてください。
このアーチファクトはそう珍しいものではないのですね。今まで一度も気付きませんでした。今後気をつけて見てみます。
知らないことばかりですわ。
アウトプットありがとうございます。
>このアーチファクトはそう珍しいものではないのですね。
よくあるものです。
よくあるから逆に気にされていない方も多いかもしれません。