【胸部】TIPS症例4
【症例】80歳代女性
スクリーニング
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右上肺野内側に腫瘤があるようにみえますが何でしょうか?
確かに胸部レントゲンで右上肺野の内側が欠けて見えており、上縦隔に腫瘍があって肺野に突出しているように見えます。
ただし、気管の偏位は認めていません。
これは何でしょうか?
その正体を突き止めるためにCTを見てみましょう。
すると縦隔腫瘍は見当たらず、腕頭動脈が蛇行して、内側に突出していることがわかります。
これが正体でレントゲンで腫瘤状に見えていたのです。
レントゲンと冠状断像を並べて見てみるとその様子はより明瞭ですね。
高齢者でよく見られる正常変異であり、腕頭動脈のbucklingと呼ばれます。
※buckling:かがまり,座屈,腰折れ
診断:腕頭動脈のbuckling(による偽病変)
※気管を押していないという点も縦隔腫瘍との鑑別点となります。
【胸部】TIPS症例4の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
SVCだと思ってました。一因ではあるのかもしれませんが、腕頭動脈ですね。ありがとうございました。
SVCのみではあそこまでは見えないですね。
以前の問題もそうですが…CTの冠状断は、X-Pとの対比がおこないやすいと感じます。
そうですね。
肺尖部の胸膜肥厚・加齢性変化なども冠状断像で見ると一目瞭然だったりしますね。
腕頭動脈のbuckling知りませんでした。程度の差はあれ、意識すると縦隔病変と紛らわしいものが結構ありそうですね。
高齢者でよく見られるということは、生まれつきの走行ではなく加齢性変化で曲がってくるのですね。
アウトプットありがとうございます。
>高齢者でよく見られるということは、生まれつきの走行ではなく加齢性変化で曲がってくるのですね。
おっしゃるとおりです。動脈硬化により起こる変化です。
なにか血管かとは思いましたが、腕頭動脈でしたか。
動脈はその血圧のせいか蛇行のバリエーションが多いですね。よく起きて画像上紛らわしいものは本症例のように知っておく必要がありますね。
アウトプットありがとうございます。
>よく起きて画像上紛らわしいものは本症例のように知っておく必要がありますね。
そうですね。今回のケースですと、右上縦隔の腫瘤陰影と紛らわしいということになります。
下行大動脈の蛇行は日常臨床でもしばしばありますね。
おはようございます。動脈硬化が原因で、こんな風に血管が蛇行することがあるんですね。初めて知りました。
高齢者に多いということですので、これからの読影に活かしていきたいと思います。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。大動脈も水平に走っているくらいにかなり蛇行することがあります。
下行大動脈の蛇行はわかりましたが、石灰化がどこに起きてるのか微妙でわからなかったです。
アウトプットありがとうございます。
胸部CTの縦隔条件を見てみると胸部下行大動脈に結構石灰化を認めていますね。
腕頭動脈のbucklingも(今回の症例では消失していませんが)右傍気管支腺消失の原因となりそうですね。
他にも、縦隔の形が外にせり出すような感じで、縦隔腫瘍が無いにも関わらず消失しているケースもあって、右傍気管支線の消失=縦隔腫瘍にしないようにせねばと思いました。
問題になっている陰影よりも外側かつ肩甲骨の陰影より内側にある辺縁が比較的高吸収な腫瘤影は何でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>右傍気管支腺消失の原因となりそうですね。
右気管傍線ですね。
今回の症例でいうとここの部分になります。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/training/wp-content/uploads/2020/04/right-paratracheal-stripe1.png
この気管右側壁の外側に血管が接する場合は、右気管傍線が太くなることになりますが、なかなか腕頭動脈のbucklingでは起こらないでしょうね。
参考:
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/26551
>問題になっている陰影よりも外側かつ肩甲骨の陰影より内側にある辺縁が比較的高吸収な腫瘤影は何でしょうか?
これはどの画像の何枚目でしょうか?
レントゲンならば症例2のものでしょうか。
ありがとうございます。
右傍気管線、右傍気管線、、。はずかしいので名前しっかり覚えます笑
分かりやすい図も添付してくださり、ありがとうございます!
すみません。言葉足らずでした。レントゲンです。
、、。復習します恥
今回も勉強になりました。ごろ〜先生ありがとうございました。
ところで、左上腕骨頭内に緻密骨と同等のCT値の粒状影が見られます。これは何かの石灰化でしょうか??
アウトプットありがとうございます。
>左上腕骨頭内に緻密骨と同等のCT値の粒状影が見られます。これは何かの石灰化でしょうか??
骨頭で良いと思います。
やはり腕頭動脈でしたか。高齢者では稀ではないのですね。勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。稀ではないですね。大動脈蛇行もしばしばありますので、その目で見てみてください。
こんばんは、いつもフィードバックありがとうございます。
胸部X線で、鎖骨より上部において右の腫瘤性陰影のシルエットが追えなくなっている(頸胸郭サインcervicothoracic sign陽性)ので、腫瘤は前縦隔側にあるのだろうと考え、CTでの同定を試みました。
参考:
『誰も教えてくれなかった胸部画像の見かた・考え方』 p60において、
「前縦隔腫瘍や鎖骨下動脈(あるいは蛇行した右腕頭動脈)の場合、鎖骨より頭側では肺と接しなくなるので、その辺縁は縦隔または胸壁内に埋もれて見えなくなります。一方、後縦隔腫瘍では、鎖骨より頭側においてもまだ肺と接しているので、その辺縁は保たれることになります」
と記載がありました。
補足ありがとうございます。
おっしゃるとおりです。
肋骨の重なりの結節のことを指しているのかと勘違いしてしまいました。
フィードバックありがとうございます。
アウトプットありがとうございます。
レントゲンだけだと腑に落ちないこともCTで確認すると納得いきますね!
気管の偏移の有無が重要であることが分かりました。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。腕頭動脈のbucklingはよく見られますので、気管が押されているかどうかも必ずチェックするようにしてください。
いつも有難うございます。
正常症例のバリエーションが沢山あり、今後の診療に生かせると思います。レントゲンが臥位であることはどうやって判別されているのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
レントゲンの左上に臥位と記載があるので、判断しています(^^)
縦隔腫瘍もですが、右上葉無気肺も鑑別にあがりますよね?
有名なGolden inverted S signも役に立ちますが、小さい無気肺ではsignが現れないこと多いです。右気管傍線や気管支偏移も使えないことが多いです。
個人的には側面像を撮ってもらって、高吸収域の全体像や動脈の石灰化や血管様構造などから判断していますが、どうも判断つかない場合はやはりCTですね。
こんな感じのスキームで良いのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>縦隔腫瘍もですが、右上葉無気肺も鑑別にあがりますよね?
そうですね。
>個人的には側面像を撮ってもらって、高吸収域の全体像や動脈の石灰化や血管様構造などから判断していますが、どうも判断つかない場合はやはりCTですね。
そ、側面像!
先生、レントゲン読めますね!(間違いなく私より遙かに・・・)
>こんな感じのスキームで良いのでしょうか?
ま、そ、そんな感じでOKです(;゚ロ゚)
この講座のコメント欄のどこかでも出てきますが、放射線科医向けの講義で、とある先生が、
「本当にデキる先生は、レントゲンを読めば分かる。僕はデキないのでCTを読んでから、レントゲンを読んでレントゲンの陰影を理解する」
とおっしゃっていて、ものすごく共感しました。
つまりそういうことです。
この講座案内にも書いていますが、レントゲンはぶっちゃけ苦手ですので、よろしくお願いします(^_^;)
フィードバックありがとうございます。
>この講座案内にも書いていますが、レントゲンはぶっちゃけ苦手ですので、よろしくお願いします(^_^;)
そういう私も苦手意識あります(笑)
毎日のようにCT→Xpと逆引き検索してます。
技師の世界では、数あるモダリティを経験し、知識も備えた上で、「放射線技師は胸写で始まり、胸写で終わる」という格言があります。
CTが無かった、あるいは今と違い簡単に撮れなかった時代の先生たちのような玄人芸をマスター出来るとは思いませんが、とある仙人先生が院内の画像検査で最多なのは゛2位以下を圧倒的に引き離し゛胸部レントゲンだと、おっしゃっていました。
そのようなことから、日々格闘しています、本当にOTZ
管理人先生の御共感も得られると幸いなのですが、ただ本当に難しいですね(苦笑)
>技師の世界では、数あるモダリティを経験し、知識も備えた上で、「放射線技師は胸写で始まり、胸写で終わる」という格言があります。
あまりに重たいお言葉ありがとうございます(^^)
>とある仙人先生が院内の画像検査で最多なのは゛2位以下を圧倒的に引き離し゛胸部レントゲンだと、おっしゃっていました。
確かにそうですね。
基本だけど難しいですね。
引き続きレントゲンも割と提示していきますので、お手柔らかにお願いします。
本編とは関係ないですが、胸部X線の右第5?肋骨後部に辺縁高吸収の結節影が認められると思うのですが、石灰化でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
確かに認めますね。骨条件などにして色々検討してみたのですが、肋骨の骨島などをみているわけではなく、肩甲骨と連続性があり、肩甲骨の一部で接線を作っているようです。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/training/wp-content/uploads/2021/06/case4nodule.jpg