【胸部】TIPS症例2
【症例】60歳代男性
画像はこちら
右上肺野に腫瘤があるように見えるのですが何でしょうか?
まずレントゲンでの肺の表現の仕方を復習しましょう。
- 第2肋骨前側の端
- 第4肋骨前側の端
に上のようにラインを引きます。
それらにより、上肺野、中肺野、下肺野と分かれます。
さらに鎖骨より上を肺尖部と言います。
そうすると、今は右上肺野内側に高吸収腫瘤があるように見えます。
後輩「右上肺野に腫瘤があるように見えるのですが・・・」
の後輩の言う「右上肺野」という表現は正しいということがわかりますね。
ではこれは何なのでしょうか?
よく見ると第一肋骨と連続しているように見え、そのラインよりもやや下方外側に突出しており、かなり濃い陰影であることが分かります。
これは第一肋軟骨の骨化・石灰化であり、正常変異です。
CTを見てみましょう。
横断像においても、外側に突出した化骨/石灰化の様子が分かります。
冠状断像では、下外側に突出していることがわかりますね。
診断:第一肋軟骨の化骨/石灰化
※しばしば腫瘤のように見えてしまうので場所と濃度が重要となります。この症例も内科の先生が腫瘍ではないかとCT精査に回ってきた方です。
【胸部】TIPS症例2の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
レントゲンのみでは分かりにくいですがtipsと言うことで加骨と思いました。そういう判別は良くないですね。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>tipsと言うことで加骨
TIPSということで癌を出題するかもしれませんよ(^^)
よくある正常変異ですが、悩ましいこともありますね。
X-Pにて第1肋軟骨の骨化は、よく腫瘤影と見間違える部分として有名ですが、第1肋軟骨の骨化に重なった腫瘤影というのも存在するので、決めつけは禁物ですね。拡大して、第1肋軟骨の骨化からはみ出した腫瘤影がないか丁寧に見るように心がけています。
アウトプットありがとうございます。
>第1肋軟骨の骨化に重なった腫瘤影というのも存在するので、決めつけは禁物ですね。
そうなんです。悩ましいことも多々ありますね。
nippleも同様ですね。
過去画像があれば比較も重要ですね。
臨床でしばしば見ますが、石灰化が下行伸張する傾向が多い事まで意識した事がなかったので勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。下の方向に突出する傾向を覚えておきましょう。
Xpだと肋軟骨かもと思いながらも言い切る自身は全く無いです(言い切ることが正しいかどうかは分かりませんが)。
ただ判断する根拠として、濃度であったり形や連続性を意識して見たいですね。
アウトプットありがとうございます。
まずは、肋軟骨の骨化が見られやすい部位であることを知っておき、なんでも腫瘍疑い!とはしないことが大事ですね。
>ただ判断する根拠として、濃度であったり形や連続性を意識して見たいですね。
ですね。
おはようございます。本日もよろしくお願いします。
第一肋骨の石灰化を指摘した上で、SAPHO症候群を鑑別に挙げて皮膚病変の有無など他所見を検索したいと解答してみました。
アウトプットありがとうございます。
>SAPHO症候群を鑑別に挙げて
この場合は確かにこの部位にも病変を認めますが両側性のことが多いでしょうね。
胸部レントゲンの区分を説明してくださった写真で、肋骨の前と後ろを初めて理解しました。上中下肺野を暗記しようとしたのですができず、理解で克服できてよかったです。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>肋骨の前と後ろを初めて理解
肋骨は立体的に弯曲して存在しています。
それぞれの肋骨を後ろから前へと追っていくと全体像が分かります。
こちらで確認してみてください。(PCのみ対応です)
http://medicalimagecafe.com/tool/chestXray.html
※ちなみに私の胸部レントゲンです。
おはようございます。
胸部のXpだけでは確かに腫瘤と思ってしまいました。実際にCTで見てみると肋軟骨の骨化なんだと良くわかります。思い込みに捉われないようにしないといけないですね。
肺野の区別ですが、とても分かりやすくて勉強になりました。
そういえば、回答に第二肋骨と書いてしまった気がします。位置関係もしっかりと勉強していこうと思います。
アウトプットありがとうございます。
>胸部のXpだけでは確かに腫瘤と思ってしまいました。実際にCTで見てみると肋軟骨の骨化なんだと良くわかります。思い込みに捉われないようにしないといけないですね。
まさに狙い通りの反応ありがとうございます。
同部はレントゲンで腫瘤としてCT検査に回ってくることがたまにあります。
この機会に覚えておいてください(^^)
いつも 勉強になります。
健診医です。
前にいた病院は 放射線科の先生が すぐに読影して下さいましたが
今の病院では 健診の単純写は 読影なし、胸部CTは 1週間後の読影となってしまい
今までいかに 放射線科の読影に頼り切って
真剣に見てなかったか 痛感させられました。
いい機会だと思って 勉強してます。
両側性に 見られれば 安心して?肋骨硬化とできるのですが
特に下肺野の片側性の硬化像は悩ましい時があります。
健診だと その時勝負で 次回はないので。
ひっかけすぎかなーと思うこともしばしばです。
胸部単純写って ほんとに 奥が深いです。
アウトプットありがとうございます。
>両側性に 見られれば 安心して?肋骨硬化とできるのですが
今回のように片側性に見られるケースも多々ありますので覚えておいてください。
>健診だと その時勝負で 次回はないので。
ひっかけすぎかなーと思うこともしばしばです。
胸部単純写って ほんとに 奥が深いです。
私も健診のレントゲンを月に数回やっていますが、ほんと難しいですよね。
逆にCTに「胸部レントゲン異常陰影」で回ってくることはしばしばありますが、何もないことの方が多いので、引っかけすぎくらいがよい(というか普通)のかもしれませんね。
分かりました。
いつも貴重な症例ありがとうございます。
同様の所見で頻出なのは「骨島」ですね。
こういう所見に出くわした場合、レポートで依頼医宛に患者受診者に「正常所見であり同陰影精査を促された場合ご注意下さい」、と伝えてもらっています。
ただ、内科の先生が腫瘍ではないかとCT精査に回ってきた方です。なぜ腹部骨盤部まで精査したのでしょうか?
輸精管の石灰化がありますか?耐糖機能異常?(腹部TIPSより)
アウトプットありがとうございます。
>同様の所見で頻出なのは「骨島」ですね。
おっしゃるとおりです。
>内科の先生が腫瘍ではないかとCT精査に回ってきた方です。なぜ腹部骨盤部まで精査したのでしょうか?
それはこちらが聞きたいくらいです(^_^;)
ついでなのでしょうね。
>輸精管の石灰化がありますか?耐糖機能異常?(腹部TIPSより)
おっしゃるとおりです。耐糖能異常があり、大動脈動脈硬化・腹部動脈瘤もありますので、スクリーニングがされたかったのかもしれません。
関連症例
https://imaging-diagnosis.com/view/p2GDdcVL
いつも勉強させていただいております。
肺のXp、CTにおける「〜肺野」、「〜葉」はそれぞれXpでは葉間は区別困難なので肺野、CTだと区別できることが多いので肺葉で書き表すことが多いのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
おっしゃるとおりです。
CTの場合は「〜葉」とかS○で表現するのが通常です。