【頭部】TIPS症例25

【頭部】TIPS症例25

【症例】60歳代 男性

スクリーニング

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異常所見は?

    さらっと見ていると見落としてしまいそうですが、脳底部正中部に長径1.1cm大の高吸収腫瘤を認めています。

    高吸収腫瘤は冠状断像でも確認でき、脳実質外のくも膜下腔に存在していそうです。

    このような脳実質外に存在する高吸収腫瘤を認めた場合、髄膜腫などの腫瘍性病変の場合もありますが、今は硬膜に接しておらず、場所から考えるべきは、脳動脈瘤です。

    MRIが撮影されました。

    MRAの元画像で、腫瘤は左前大脳動脈のA1と連続しているように見え、高信号を示しています。

    腫瘤はMRAのMIP像でも確認することができ、前交通動脈(A-com)に存在している動脈瘤であることがわかります。

    動脈瘤はT2WIでも指摘可能なことが多いのですが今回はどうでしょうか?

    今回の症例でもまわりの主幹動脈と同じように動脈瘤は無信号として描出されています。

    ただし、動脈瘤の内腔の血栓形成の状態によっては層状構造を示したりすることもあるので必ずしも動脈瘤→T2WIで全体が低信号となるわけではないので注意が必要です。

    脳血管造影が施行されました。

    前交通動脈に1.3cm大の嚢状動脈瘤を認めています。

    再構成された拡大画像を見てみると、先端に破裂のリスクが高いbleb(ブレブ)があることもわかります。

    〜〜脳血管造影所見から抜粋〜〜

    • Acom瘤 前右向き 13×8mm 先端にblebあり。左A1 dominant neckから左右A2分岐
    • 右A1は低形成もcompression撮影で描出あり。
    • 左A2が右A2よりやや前方。

     

     

    診断:前交通動脈(A-com)動脈瘤

     

     

    ※その後いったん退院となり、再度入院で、コイル塞栓術が施行されました。

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    【頭部】TIPS症例25の動画解説

    お疲れ様でした。

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