
【頭部MRA】症例10
【症例】60歳代 男性
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どんな血管の正常変異がありますか?
前大脳動脈のA2が3本あります。
これは三分岐前大脳動脈と呼ばれる正常変異です。
前大脳動脈の破格・正常変異で多いものを理解するために上の様にWillis動脈輪から、前大脳動脈のA1,A2,前交通動脈を切り出してみてみましょう。
すると以下の破格が知られています。
今回のA2部分では、下の段の3つが知られており、今回は一番右側のA2が3本あるタイプである三分岐前大脳動脈となります。
また右椎骨動脈が途中から同定できず、椎骨動脈末端部低形成(PICA endのタイプ)であることが分かります。
脳底動脈から下方に追って、右椎骨動脈を追ってみますと、わずかに追うことが出来ますが途中からわからなくなります。
ですので、後天的に閉塞したタイプが考えられます。
診断:三分岐前大脳動脈+右椎骨動脈末端部低形成
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【頭部MRA】症例10の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
三分岐前大脳動脈は、実際見たことはありません。3本の内1本は脳梁を栄養する動脈と読んだことがあります。
アウトプットありがとうございます。
>3本の内1本は脳梁を栄養する動脈と読んだことがあります。
ん?1本だけなんですね。
すいません、言葉足らずでした。通常、ACAは途中で分枝して、脳梁辺縁動脈として脳梁に栄養をします。
「3本目は脳梁を栄養する動脈が発達したもの」という意味でした。なので、3本とも脳梁には栄養すると思います。
なるほどです。補足ありがとうございます。
右P1もよく見えないのですが
右P-comが右のP2になっている
胎児型の後大脳動脈でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>胎児型の後大脳動脈でしょうか?
ですね。右P1は細いのがありますけどね。胎児型です。
3本のACAは印象が強くて覚えていましたが、他にも様々な変異があるのですね。覚えておきます。
アウトプットありがとうございます。
3本のことも1本のこともありますね。変異だらけですね。
ACAの主張が強いなと思いましたが,3本あったのですね.
アウトプットありがとうございます。
>ACAの主張が強いな
うまいこといいますね(^o^)
こんばんは!今日も1日お世話になりました!
もはやなんでもありの脳動脈、いったいどういう発生のしかたをしてこのようになったのか疑問に思いますね…!
アウトプットありがとうございます。
>もはやなんでもありの脳動脈
そうですね(^o^)
とはいえ、正常変異にも限りがありますので、もう少しお付き合いください。
いつも勉強になっています。この症例は左後交通動脈が見えないのも正常の変化でよいでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
そうですね。右ははっきりとしたものがありますが、左ははっきりとしませんね。
正常変異ですね。Willis動脈輪の正常変異は指摘しはじめるとキリがありませんので、
最初らへんの症例では取り上げていますが、慣れてきたら記載の必要もありません。
ただ、慣れるまでは一つ一つ所見を取っていきましょう。
右中大脳動脈のearly bifurcationは正常変異の1つにカウントされないのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
症例9で補足したように、中大脳動脈起始部から1cm以内で分岐しているものをearly bifurcationとすることが多いようです。
今回は割と分岐部よりなので、early bifurcationとはしませんでした。
ですが、これを取るかどうかは議論の分かれるところのようです。
右視床出血ですが、近傍に内包後脚がありますね。内包に出血が及んでいないと判断できるのは、神経線維の走行等で視床出血は通常は内包に及ばないと考えて良いからしょうか?
アウトプットありがとうございます。
MRAではなく頭部救急の症例10ですね。
視床出血であっても内包後脚に及ぶことはあります。
症例10はわかりやすいですが、サイズが大きいものは視床からなのか、被殻からなのか判断に迷うこともあります。