椎骨動脈(VA:Vertebral artery)は、後方循環系を構成する血管であり、左右1本ずつあり遠位で合流して脳底動脈になります。
今回はこの椎骨動脈の破格・正常変異についてまとめました。
椎骨動脈の破格・正常変異1)
- 椎骨動脈径はほとんどの例で左右非対称であり、左側優位が多い。
- 右椎骨動脈は末端部が確認できず、後下小脳動脈(PICA)に終わる破格も多い。(PICA endなどと呼ばれます。)
- MRAのみでは、先天的な無形成と後天的な閉塞の鑑別が困難な場合があり、椎骨動脈の外形を観察できるMRA脳槽撮影(いわゆるBPAS)が両者の鑑別に有用である。
- また頭蓋内の椎骨動脈窓形成は、後下小脳動脈(PICA)の分岐部を含むことが多く、大きさは様々である。
症例 80歳代男性
左椎骨動脈と比較して右椎骨動脈が細い様子がわかります。
血管の外形を撮影できるBPASでもやはり右側は細く、解離や狭窄などではなく、右椎骨動脈が低形成であることが確認できます。
症例 30歳代女性
右椎骨動脈に窓形成を認めています。
また左側の中大脳動脈の水平部から細い血管が分岐しており、早期二分中大脳動脈(中大脳動脈の破格・正常変異の一つです。)を疑う所見です。
参考文献:
1)頭部画像解剖 徹頭徹尾-疾患を見極め的確に診断する P202-204