
【頭部MRA】症例8
【症例】70歳代男性
画像はこちら
どんな血管の正常変異がありますか?
左の椎骨動脈に窓形成を認めています。
また両側の中大脳動脈の水平部(M1)から左優位に血管の分岐を認めています。
早期二分中大脳動脈を疑う所見です。
※この早期二分中大脳動脈もよく見られる所見ですので、胎児型の後大脳動脈などと同様に、いちいち指摘する必要もないかも知れませんね。
診断:左椎骨動脈窓形成+両側早期二分中大脳動脈
コメントいただきました。
たしかに、右内頸動脈のC1から下側に突出する構造があります。
MRAの元画像で見てみるとその近くに細い血管があります。一見後交通動脈(Pcom)に見えますが、追うと後大脳動脈(PCA)とは合流しないので、おそらく穿通枝である前脈絡叢動脈であると考えられます。
ではこの突出像とこの穿通枝の関係ですが、穿通枝が、
- 突出像の根元から出ている→動脈瘤
- 突出像の先端から出ている→漏斗状拡張
となるのですが、今回はかなり微妙です。
個人的には見ようによってはどっちにも見えてしまいます(^_^;
ですが、動脈瘤の可能性がありますので、指摘すべきですね。
ありがとうございますm(_ _)m
※という感じで、この講座ではメインとなる変異などがあれば症例として採用しており、細かな変異や動脈瘤に管理人が気付いていないケースがありますので、どんどん教えていただければ幸いですm(_ _)m そういう意味でも【参加型】でお願いします。
参考症例を1つ見てみましょう。
症例 40歳代女性
右椎骨動脈に窓形成を認めています。
また左側の中大脳動脈の水平部から細い血管が分岐しており、早期二分中大脳動脈を疑う所見です。
【頭部MRA】症例8の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
※早期二分中大脳動脈については次回症例9のところで補足します。
ちょっと何でもかんでも取り過ぎていました。
最近、日常の検査において、正常変異を意識しながらMRAを読んでいますが…意識すると正常変異が多いことに気づきます。
そうですね。
willis動脈輪の正常変異や胎児型など、頻度が多いので最初の頃は喜んで書いていましたが、
そのうち全く書かなくなりますね。
窓にもやっと慣れてきました。元画像だと分岐と間違いそうになりますが、イメージはつかめてきました。早期二分については3Dに頼ってしまうので元画像で解るようになりたいです。尾側に向かっているときに上向きに出る血管は難しいです。窓にも該当しますが合流にも目を向けないといけなく、まだまだ実力が足りていないのを痛感します。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
>元画像だと分岐と間違いそうになります
窓は元画像だときついですね。やはりMIP像が強いですね。
MCAの変異に疎いので意識して観察するようにします。
変異ではないですが、右IC-PCに動脈瘤があるのかと思いました。
アウトプットありがとうございます。
>右IC-PCに動脈瘤があるのかと思いました。
(;゚ロ゚)
確かに!追記します。
ご指摘誠にありがとうございます。
連日このような正常変異を勉強しているので,意識して読影するようにしていますが,あんまり出会えませんね・・・
出会ったときには
早期二分中大脳動脈は難しいですね.
アウトプットありがとうございます。
出会えませんか?
Willis動脈輪の変異や胎児型、椎骨動脈低形成はよくあると思います。
>早期二分中大脳動脈は難しいですね.
すいません、これについてはちょっと取り過ぎている(+あまり指摘する意味もない)ので明日補足します。
こんばんは!
(自信無さ気に)早期二分も椎骨動脈の窓形成についても指摘できました!
早期二分は症例6でごろ〜先生が述べられていた、1cm以下の本幹から分枝するという定義に当てはまるのか、悩みました。
アウトプットありがとうございます。
>早期二分は症例6でごろ〜先生が述べられていた、1cm以下の本幹から分枝するという定義に当てはまるのか
すいません。おっしゃるとおりです。
早期二分はちょっと取り過ぎていますので、症例9後に補足動画があります。
左内頸動脈の突出は指摘することができませんでした、、、
また両側のAICAが脳底動脈ではなく椎骨動脈から分岐している(元画像36/100)と思ったのですが、いかがでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>また両側のAICAが脳底動脈ではなく椎骨動脈から分岐している(元画像36/100)と思ったのですが、いかがでしょうか?
確かに・・・。合流手前で分岐して、内耳道入口部付近を走行していますね。
左ACAが2本あるように見えますが、これは普通ですか?
アウトプットありがとうございます。
確かに・・・・。細いのが左のA2の途中からありますね。普通ではないですね。
A2やA3が3本ある場合は三分岐前大脳動脈と呼ばれるのですが、この場合は3本とも同じくらいの太さなので、今回は早期二分左前大脳動脈ということになるのだと思われます。「知っておきたい頸部〜頭部動脈破格」という血管破格の書籍にも掲載がありませんでした。
今日もありがとうございました。
動脈瘤or漏斗状拡張があるのは「右」ICPCで合っていますか?(上の記事で一部”左”になっていて気になりました。左だったらすみません。。)
これを指摘するのは難しいなと思いました。前脈絡叢動脈だと同定できるのは、中大脳動脈から分岐して大脳脚や内包後脚、外側膝状体方面に向かう血管だからということでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
>動脈瘤or漏斗状拡張があるのは「右」ICPCで合っていますか?(上の記事で一部”左”になっていて気になりました。左だったらすみません。。)
すいません。右です。修正しました。元画像ではわかりにくいですね。
>前脈絡叢動脈だと同定できるのは、中大脳動脈から分岐して大脳脚や内包後脚、外側膝状体方面に向かう血管だからということでしょうか。
中大脳動脈ではなくギリギリ内頸動脈ですね。
後はおっしゃるとおりです。
内頸動脈からの分枝としてMRAで確認できるのは、
・眼動脈
・後交通動脈
・前脈絡動脈
の3本となります。
(頭部画像解剖 徹頭徹尾 P192)
時折臨床現場でも時折みかけて、ずっと気になっていたのですが、
縦回転のMIP像で椎骨動脈を尾側に追っていくと両側とも途中で消失?してまた始まっているようにみえるのは一体なぜなのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
今回のケースでは途中で消失している部分は元画像でも撮像範囲に入っていないことがわかります。
椎骨動脈が頭蓋内に入る部位ではV3からV4に名称を変える部位ですが、ここでは水平方向や時に少し尾側に血管が向かうことがありますね。
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