【頭部MRA】症例4 解答編

【頭部MRA】症例4

【症例】80歳代男性

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右椎骨動脈が細いですが、これは何が起こっている?

左の椎骨動脈(VA)と比較して右側の椎骨動脈が細いことが確認できます。

椎骨動脈は片側の低形成が起こる事が知られており、今回も右椎骨動脈の低形成の可能性が高いと言えます。

 

しかし、狭窄や解離がある可能性はないのでしょうか?

 

それを判断するのに、椎骨動脈の外形を観察できるMRA脳槽撮影(いわゆるBPAS(ビーパスと読みます。))が有用となります。

 

  • MRA:(主に)主幹動脈の血流を画像化している。
  • BPAS:血管の外形を画像にしている。

 

と言う違いがあります。

BPASはその血管の中で実際に血流があるかどうかは問いません。

血管の形を外からパシャっと写真を撮ったものです。

そして、

  • MRAとBPASの画像に大きな差がない(ともに片側の椎骨動脈が細い)→低形成である。
  • MRAとBPASの画像に大きな差がある(MRAでは細いのにBPASでは太い)→解離や狭窄の可能性がある。

と判断することができます。

今回はこのBPASが撮影されています。

そしてBPASで見てもやはり右椎骨動脈は左と比較して細いことが分かりますので、低形成であると判断することが出来ます。

すなわち低形成であるときちんと診断するためには、血流画像であるMRAと外形画像であるBPASの画像の形態がある程度一致する必要があるということです。

またMRAの元画像で右の椎骨動脈(VA)の周囲に解離腔を疑うような構造がないことを確認することも重要です。

解離が疑われる場合は、これらの

  • MRA MIP像
  • BPAS
  • MRA 元画像

を確認することはもちろんですが、解離腔の血栓が見えることもありますので、DWI/ADC、T1WI、T2WI、FLAIR、SWI、T2*WIなどで血管の信号を確認することも重要です。

 

診断:右椎骨動脈低形成(正常変異)

 

 

BPASは外から外観をパシャっと写真にするだけですので、住んでいる家だけを見ても、本当に仲の人が幸せなのかはわからないということです。

BPASとMRAが一致してはじめて幸せだということです。

 

 

 

知らんけど。

 

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お疲れ様でした。

今日は以上です。

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