
症例36
【症例】60歳代男性
肝嚢胞精査目的。
画像はこちら
肝に単純性嚢胞を疑うLDAのほか、多数の微小なLDAを認めています。
このような微小なLDAsを肝臓に認めた場合、胆管性過誤腫が考えられます。
MRIが撮影されました。
T2WIでサイズの比較的大きな単純性肝嚢胞の他、肝右葉に多数の微小高信号を認めています。
胆管性過誤腫に矛盾しない所見です。
胆管性過誤腫(bile duct hamartoma)はvon Meyenburg complexとも呼ばれ、胆管壁組織の遺残を起源として発生し、胆道系とは交通のない嚢胞性病変です。
診断:胆管性過誤腫
より肝にびまん性に分布する症例を見てみましょう。
症例 80歳代男性
T2WIで今回の症例と同じような微小高信号域を肝両葉に多数認めています。
また、この症例ではMRCPが撮影されており、MIP像で多数の微小嚢胞性病変が肝内に存在していることが一目瞭然ですね。
なおこの症例では、症例34で出てきた胆のう腺筋腫症を認めています。
症例34では、底部側でしたが今回の症例では、分節型+底部型となります。
合わせて復習しておきましょう。
関連:
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
参考URL見ました。
「嚢胞」ではあるけど、いわゆる単純性嚢胞とはまた異なるもの、という理解でよろしいでしょうか?
CTやMRIだと、すごく似てますね(;’∀’)
サイズ(小さい)、「通常の肝嚢胞と比べて辺縁が不明瞭で分葉状なことがある。(サイトより)」くらいでしょうか?
エコーで見ると、通常の嚢胞は低信号・過誤腫は高信号なので、エコーだと分かりやすそうですね。
アウトプットありがとうございます。
>「嚢胞」ではあるけど、いわゆる単純性嚢胞とはまた異なるもの、という理解でよろしいでしょうか?
おっしゃるとおりです。
>エコーで見ると、通常の嚢胞は低信号・過誤腫は高信号なので、エコーだと分かりやすそうですね。
これもおっしゃるとおりです。
CTやMRIでは小さな嚢胞が多数認められる場合に鑑別に挙がります、というか微小嚢胞を多数認める場合は基本これです。
胆管性過誤腫、初めて見ました。腎嚢胞も多発していたのでADPKDに関連した嚢胞かと思ってしまいました。
アウトプットありがとうございます。
>腎嚢胞も多発していたのでADPKDに関連した嚢胞かと思ってしまいました。
おっしゃるようにADPKDに関連して認めることもありますが、今回は、腎腫大は認めておらず、ADPKDではなさそうですね。
お世話になっています。
副所見ですが、仙骨内の腫瘍は、骨を圧迫して浸潤はなく、ゆっくり成長する腫瘍のように見えます。神経鞘腫でしょうか?
後でT2冠状断にて確認すると、嚢胞性病変のように見えますので、神経鞘腫より神経根嚢腫でしょうか?
もう1つ質問ですが、胆管性過誤腫と腎臓の多発する嚢胞との関係はあるのですか?
すいません、「胆管性過誤腫と腎臓の多発する嚢胞との関係はあるのですか?」という質問ですが、関連資料により解決しました。ありがとうございました。
>嚢胞性病変のように見えますので、神経鞘腫より神経根嚢腫でしょうか?
これだけではなんとも言えないと思いますが、左にも認めていそうなので、神経根嚢腫の可能性が高いのかも知れません。
おっしゃるように仙骨にありますね。神経鞘腫含め神経原性腫瘍と思われます。
はじめて知りました。
知らなければ、精査の必要を感じてしまいますね。
それとも、わかっていてもMRIなどの精査が鑑別のために必要ですか?
アウトプットありがとうございます。
わかっていれば必要ないと思いますが、転移検索などでの撮影の場合は、念のためMRIも見たいですね。
2つ質問です。
・MRI所見で肝膿瘍と区別はできますか?
過去にCTでははっきりせずMRIでわかった微小肝膿瘍の症例がありました。このとき患者様は原因不明の高CRP血症で精査して診断が付きました。
・胆管性過誤腫が見つかった場合、特に症状もないと思うのですが、フォローの必要やタイミングに関してどのように考えれば良いでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>・MRI所見で肝膿瘍と区別はできますか?
過去にCTでははっきりせずMRIでわかった微小肝膿瘍の症例がありました。このとき患者様は原因不明の高CRP血症で精査して診断が付きました。
過誤腫の場合は、DWI/ADC=高信号/高信号、肝膿瘍の場合はDWI/ADC=高信号/信号低下 と通常はなる点で鑑別可能ですし、過誤腫の場合はびまん性に認めることが多いです。
あとは臨床所見が重要ですね。
>・胆管性過誤腫が見つかった場合、特に症状もないと思うのですが、フォローの必要やタイミングに関してどのように考えれば良いでしょうか?
特にフォローの必要はないと考えます。