目次
胆管性過誤腫(bile duct hamartoma)
- von Meyenburg complexと呼ばれる胆管壁組織の遺残から発生。
- 胆道系とは交通のない嚢胞病変で線維性間質に囲まれた膿汁胆汁を含む。
- 他に、microhamartomas,cholangioadenomaなどと呼ばれる。
- 肝全体にびまん性に見られることもある。
- 1mm-5mm程度の嚢胞が多い。
- 無症状で、画像診断や剖検例で偶然発見される。剖検での頻度は1-3%程度。
- びまん性肝転移との鑑別が問題となるが、被膜下を含めた肝内全域の門脈域にわたる特徴的分布が鑑別の一助となる。
- 成人型多嚢胞腎との合併が知られているが、多発肝嚢胞や胆管周囲嚢胞(peribiliary cyst)においても合併することがあるので注意が必要。
胆管性過誤腫の画像所見
- エコーでは肝びまん性に分布する高エコー結節として描出される。
- CTでは多数の嚢胞状小病変が認められる。造影によりより明瞭化する。通常の肝嚢胞と比べて辺縁が不明瞭で分葉状なことがある。
- MRIではT2強調像では著明な高信号を呈するスポットとして描出される。
- MRCPでは,胆管と連続のない多数の微小な嚢胞性病変として描出される。
症例 70歳代女性 スクリーニング
左側:腹部超音波検査で肝臓内に多数の高エコー結節あり。また嚢胞を疑う低エコー結節あり。
右側:MRIのT2強調画像の画像です。
肝内には多数のT2強調画像高信号結節あり。
サイズの大きなものは嚢胞を疑いますが小さいものは胆管性過誤腫を疑う所見です。
症例 70歳代男性 エコーにて微小な高エコーを多数認めた。
肝臓には多数のT2WI高信号結節を認めており、胆管性過誤腫を疑う所見です。
症例 80歳代男性
肝臓には多数のT2WI高信号結節を認めており、胆管性過誤腫を疑う所見です。
症例 60 歳代の女性。
進行子宮体癌の病期診断のため施行した造影 CT で異常を認めた。肝胆道系酵素の異常は認めない。造影 CT,MRI の T2 強調像,および造影後 T1 強彫像を示す。
2007年放射線科診断専門医試験問題51より引用。
肝臓には多数のT2WI高信号結節を認めており、胆管性過誤腫を疑う所見です。
参考書籍:肝胆膵の画像診断 P184-187
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