
症例34
【症例】80歳代女性
スクリーニング
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胆嚢底部に異常を指摘されたが、これはなに?
胆嚢底部には局所的な壁肥厚を認めており、隔壁様構造を有し内部に液貯留を疑う低吸収域を認めています。
こういった所見を見たときにまず疑うのは、胆のう腺筋腫症です。
ただし、胆のう癌との鑑別が時に必要となることがありますので注意が必要です。
MRIが撮影されました。
T2WIでは胆嚢底部に胆嚢内部と同じくらいの高信号の小嚢胞がリング状(数珠状)に配列している様子がわかります。
またMRCPのMIP像では、胆嚢底部に小嚢胞の集簇として確認することができます。
典型的な胆のう腺筋腫症の所見です。
胆のう腺筋腫症には以下の3種類に分類されますが、今回は底部型(fundal type)に相当します。
診断:胆のう腺筋腫症(底部型)
関連:胆嚢腺筋腫症とは?MRIの画像診断のポイントは?RASとは?
その他所見:肝嚢胞・腎嚢胞あり。
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
お世話になっています。
胆嚢のくびれ様の形態を認めた場合、形態的なものか、胆嚢腺筋腫症なのか、判断に迷うときがあります。
鑑別には、壁内の嚢胞構造の有無が重要だと思いますが、嚢胞構造が見られない場合は、鑑別はできますでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>鑑別には、壁内の嚢胞構造の有無が重要だと思いますが、嚢胞構造が見られない場合は、鑑別はできますでしょうか?
嚢胞構造が見られない場合は鑑別は難しいと思いますが、
大抵底部側の胆嚢内が高吸収であったり、胆石を認める傾向がありますので、
くびれがある場合、底部側と頚部側の胆嚢内の濃度の違いや壁肥厚の違いがあれば
胆のう腺筋腫症の可能性が高いと考えられます。
久々に若手の先生向けの、ちょっとホッとする症例かもしれません(^^)
ただ、逆に、腺筋腫症に見慣れてしまうと、胆嚢の評価自体が荒くなってしまいかねないので、いい復習になりました(^▽^)/
アウトプットありがとうございます。
>久々に若手の先生向けの、ちょっとホッとする症例かもしれません(^^)
そうなんですね。このあたりは平易ですか。φ(.. )
>いい復習になりました(^▽^)/
よかったです(^o^)
久しぶりの回答になってしまいましたが正解できました
底部型、分節型はよく見る印象です
びまん型は遭遇した(しっかりそれと認識した)記憶がありませんが、XGCなどと鑑別が難しかったりするのでしょうか
アウトプットありがとうございます。
>底部型、分節型はよく見る印象です
ですね。
>びまん型は遭遇した(しっかりそれと認識した)記憶がありませんが、XGCなどと鑑別が難しかったりするのでしょうか
おっしゃるようにXGCとの鑑別は難しいケースは多いと思います。
XGCの泡沫組織球内の脂肪をMRIなどで検出出来れば鑑別はできるかもしれませんが、それもなかなか難しいですね。
胆嚢腺筋症はあんまり多くはありませんが.分類も知らなかったため,勉強になりました.
アウトプットありがとうございます。
割と日常臨床ではよく見る疾患ですよ。
胆嚢腺筋腫症は正直、治療を要さない(ウルソなどの)レセプト病名程度の認識でちゃんと画像を認識したことがありませんでした。簡単な問題だったようですが私には勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
お役に立てて良かったですm(_ _)m
初めて知った症例でした。これからは壁構造も注意して見ます。
割と頻度の高い疾患ですので注意してみてみてください。
いつもお世話になっています。知らない症例も多く大変勉強になっています。質問なのですが、L3あたりの腰椎左側に見える低吸収の部分は正常でしょうか?たいしたものではないかもしれませんが、気になってしまったので質問させてください。
アウトプットありがとうございます。
>L3あたりの腰椎左側に見える低吸収の部分は正常でしょうか?
すいません、どれのことかわからないのですが、ページ番号ではどこでしょうか?
腎嚢胞のことではないですよね?
いつも楽しく勉強させていただいています。
超音波検査士の者です。胆嚢腺筋症はエコーでも高確率で遭遇するので分かりやすい症例でした。
しかし、稀に胆嚢底部や退部の壁内に限局して単房性の嚢胞構造(だいたい5~7mm)を認めることがあります。同部位は嚢胞により壁は厚くみえるのですが近傍の壁肥厚は無し。嚢胞内部にも充実成分無し。この場合は、RASではなく単純に胆嚢壁内嚢胞というべきでしょうか。もしくは「胆嚢壁内嚢胞(胆嚢腺筋症 r/o)」という感じでしょうか。 まぁ、フォローさえすれば、わざわざ鑑別する必要はないのかもしれませんが。
アウトプットありがとうございます。
>稀に胆嚢底部や退部の壁内に限局して単房性の嚢胞構造(だいたい5~7mm)を認めることがあります。同部位は嚢胞により壁は厚くみえるのですが近傍の壁肥厚は無し。嚢胞内部にも充実成分無し。この場合は、RASではなく単純に胆嚢壁内嚢胞というべきでしょうか。
MRCPで単房のみに見える胆のう腺筋腫もたまにありますので、それを見ているのかもしれません。
>RASではなく単純に胆嚢壁内嚢胞というべきでしょうか。もしくは「胆嚢壁内嚢胞(胆嚢腺筋症 r/o)」という感じでしょうか。
どちらでもよいと思います。おっしゃるように壁在結節や充実部位がなければフォローのみでよいですね。
胆嚢腺筋症 胆嚢腺筋腫症 筋腫とは組織像が異なるので、胆嚢腺筋腫症という呼称には違和感を感じます。
アウトプットありがとうございます。
実は私もいつもそう思っています(^_^;)
貴重な症例ありがとうございます。
胆嚢頚部(img15)にやや濃度の高い隆起性病変が疑われますがいかがでしょうか?ポリープでしょうか。それとも頚部のクビレがワンスライスに写っているだけでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
CTですと何とも言えないですが、MRIを参照すると何もなさそうですね。くびれを見ているのだと思われます。
いつも貴重な症例をありがとうございます。
その他の所見としては軽度の食道裂孔ヘルニア、
CTのimage21-23あたり腰椎椎体左側に硬化性結節(T2WIは低信号の非特異的所見)を認めますでしょうか?
T2WIで横断像、冠状断像ともに胃十二指腸内が著明な低信号域を認め、MRI造影剤恐らくボースデル内服後の撮像と思われます。
アウトプットありがとうございます。
>その他の所見としては軽度の食道裂孔ヘルニア、
CTのimage21-23あたり腰椎椎体左側に硬化性結節(T2WIは低信号の非特異的所見)を認めますでしょうか?
そうですね。椎体の骨硬化は骨島ですね。
>T2WIで横断像、冠状断像ともに胃十二指腸内が著明な低信号域を認め、MRI造影剤恐らくボースデル内服後の撮像と思われます。
おっしゃるとおりです。補足ありがとうございます。
内服をしないとこれらの消化管内の液体が高信号になって見えにくいですからね。
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