
症例32
【症例】60歳代男性
画像はこちら
肝内胆管の拡張を認めている原因は?
肝内胆管〜総胆管に拡張を認めています。(総胆管は11mm程度で正常上限くらいです。)
総胆管の拡張はセブンイレブンの法則(7mm以上が拡張疑い、11mm以上は拡張ありとする)が有名ですが、加齢により拡張することもあります。
ただし、今回はとくに肝内胆管では正常範囲を超えて拡張を認めています。
その様子はMRIでより明瞭です。
肝内胆管〜総胆管の拡張所見を認めた場合、何らかの閉塞機転が存在することをまず考えます。
- 総胆管結石
- 腫瘍
が代表ですね。
しかし今回、総胆管をVater乳頭部まで追ってみても閉塞機転ははっきりしません。
よく見ると胃の術後+胆摘後です。
胆摘後では、肝胆道系酵素に異常がないのに、今回のように肝内胆管〜総胆管拡張を認めることがあります。
※胆嚢機能の欠如によると言われています。
診断:胆摘後の影響による肝内胆管〜総胆管拡張
※今回は簡単だったかもしれませんが、日常臨床で見る頻度が多いため、知らなかった人はぜひ覚えておいてください。
※前回画像があれば、それとの比較、さらに肝胆道系酵素の上昇などがないかもチェックも必要です。
その他所見:
- 肝に嚢胞・血管腫あり。
- 症例31で認めたような膵に脂肪置換あり。Type1b相当ですね。
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
お世話になっています。
総胆管の「セブンイレブンの法則」は覚えやすいですね、ありがとうどざいます。
この症例では、胆管内の結石や外部からの圧迫、炎症所見などを否定することが大切だと感じました。
アウトプットありがとうございます。
>「セブンイレブンの法則」
有名な覚え方みたいですが、研修医の時に上級医に教えて貰いました。
結構ここにおさまっていない場合正常例もありますが。
>胆管内の結石や外部からの圧迫、炎症所見などを否定することが大切だと感じました。
そうですね。拡張している根拠を探すことが大事ですね。
ひとひねりある症例かなと思い考え込んでしまいました。
だけど胆摘後しか原因わからずで
正解!でした。
胆摘後に管内胆管拡張するのは
単に胆汁を貯める所が無いから?
みたいな感じで軽く考えていましたが
それだけでもなさそうですね…
とりあえず胆摘後は管内胆管拡張すること
がありという事を覚えておきます!
アウトプットありがとうございます。
>ひとひねりある症例かなと思い考え込んでしまいました。
だけど胆摘後しか原因わからずで
正解!でした。
ひとひねりあったりなかったりですが(;゚ロ゚)、今回はシンプルでしたね。
正解できてよかったです!!!
セブンイレブンの法則は初耳でした。有名なんですね!
近々研修医の先生に教えようかと思います(^▽^)/
確かに、胆摘後の肝内胆管拡張はとてもよく見ますし、
いつも、何の疑いもなくただ「胆摘後」としか書いていませんが、
言われてみれば、肝内胆管の拡張を見たら、そこの疾患の可能性もあるわけで、過去との比較は重要ですね☆
アウトプットありがとうございます。
>近々研修医の先生に教えようかと思います(^▽^)/
私も研修医の時に上級医に教えて貰って覚えています。
>いつも、何の疑いもなくただ「胆摘後」としか書いていませんが、
言われてみれば、肝内胆管の拡張を見たら、そこの疾患の可能性もあるわけで、過去との比較は重要ですね☆
ですね。基本は胆摘後。でいいのですが、そうでない場合は有所見ですからね。
とくに胆管炎は命に関わりますので注意が必要ですね。
セブンイレブンの法則は同じく初耳です.
肝内胆管拡張は見るとドキッとしますが,いつも通り採血や身体所見など総合的な判断が必要ですね
アウトプットありがとうございます。
>肝内胆管拡張は見るとドキッとしますが,いつも通り採血や身体所見など総合的な判断が必要ですね
ですね。ドキッとすることが大事です。胆摘後じゃない場合は、総胆管結石などを考慮し、総合的な判断が必要ですね。
今日もありがとうございます。
胆管の観察には、造影CTもいいけれど、MRIの方が見やすいなと感じました。flow voidさまさまですね。腹部MRIを見る機会はあまりなかったので、新鮮でした。
本質と関係ないかもですが、造影CT1~10枚目の前縦隔にある高吸収の管状構造は何ですか?
アウトプットありがとうございます。
>flow voidさまさまですね。腹部MRIを見る機会はあまりなかったので、新鮮でした。
flow voidではなく、水を強調している画像ですね。なかなか学生の先生には新鮮かもしれませんね(^^)
MRCPについてはこちらを参考にしてください。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/archives/33793
>造影CT1~10枚目の前縦隔にある高吸収の管状構造は何ですか?
胸骨の剣状突起ですね。
MRCPの仕組み、とてもわかりやすくて勉強になりました!ありがとうございます。
水を強調している画像なんですね。
すみません。言葉足らずでした、、。もう一度質問させてくださいm(__)m
T2WIでは、門脈や肝静脈、下大静脈が低信号に見える(それにより高信号の胆管が観察しやすくなっている)ように思います。これはflow voidによるものと考えていいですか?
>門脈や肝静脈、下大静脈が低信号に見える(それにより高信号の胆管が観察しやすくなっている)ように思います。これはflow voidによるもの
で、大丈夫です(^^)
お忙しい中ありがとうございましたm(_ _)m
はじめまして。コメント失礼いたします。
診療放射線技師のTAMAと申します。
セブンイレブンの法則勉強になりました。
特に造影CTで、十二指腸下降脚と横行結腸の壁肥厚を思わせる所見はどのように考えたらよろしいでしょうか?
下降脚に関しては、こちらが原因で総胆管の拡張を来たした可能性は考えなくてもよろしいでしょうか?
ご教示いただけましたら幸いです。よろしくお願いします。
アウトプットありがとうございます。
>?特に造影CTで、十二指腸下降脚と横行結腸の壁肥厚を思わせる所見はどのように考えたらよろしいでしょうか?
下降脚に関しては、こちらが原因で総胆管の拡張を来たした可能性は考えなくてもよろしいでしょうか?
十二指腸下行脚のVater乳頭部に何らかの炎症があり、それが原因となって閉塞機転を作り総胆管や肝内胆管が拡張するということですかね。そういったことも可能性として考える必要はありますが、今回は下行脚に壁肥厚は認めていません。何らかの炎症がある場合、粘膜下層の肥厚が目立つ肥厚となるのが通常です。
胆摘後総胆管が拡張するのはエコーでみていたつもりでしたが、管内胆管まで拡張している場合があるとは認識していませんでした。総胆管下部と十二指腸との距離を気にしすぎました。今後よく見るようにします。
管内胆管⇒肝内胆管でした。
胆摘後は肝内胆管の拡張も割と見られるので注意してみてみてください(^^)
胆摘後の肝内胆管拡張の病態整理を簡単に教えてください。
加齢性変化と同じで生理的拡張と言われていますが、病態生理はわかりません。
分かればまた追記します。
いつも貴重な症例をありがとうございます。
胆嚢摘出術後の所見としては、
もう一つ「胆道気腫」も頻出ですね。
こちらは門脈ガスと勘違いしない事が大切です。
胆嚢摘出術の画像として、
胆道拡張+胆道気腫が同時に見られる事もあり、
インパクト抜群ですが、「慌てない慌てない」と
心の中で唱えて、自分を落ち着かせています(笑)
アウトプットありがとうございます。
>胆嚢摘出術後の所見としては、
もう一つ「胆道気腫」も頻出ですね。
こちらは門脈ガスと勘違いしない事が大切です。
そうですね。門脈ガスの場合は慌てないといけない所見のことがありますので。
>胆道拡張+胆道気腫が同時に見られる事もあり、インパクト抜群ですが、「慌てない慌てない」と心の中で唱えて、自分を落ち着かせています(笑)
むしろこれまで認めていた胆道気腫が消えた場合、胆道内圧が上昇しており、感染を伴っていることを考慮しないといけないので、過去画像との比較も重要ですね。
って、胆道気腫がテーマではないのですが(^_^;)
胆道気腫はもしかしたら今後出てくるかもしれません(謎)
フィードバックありがとうございます。
>って、胆道気腫がテーマではないのですが(^_^;)
胆道気腫はもしかしたら今後出てくるかもしれません(謎)
ぜひcholangitisからのpneumobiliaの症例見てみたいです!教科書でのkeyimageしか見たことありませんotz
あっ、すいません、調子乗りすぎました(苦笑)
いつもありがとうございます。
たまに見るのですが胆嚢摘出していない場合で、胃の切除だけでも総胆管の拡張していることがあります
迷走神経などを胃と共に切除するとなりますか?
アウトプットありがとうございます。
>たまに見るのですが胆嚢摘出していない場合で、胃の切除だけでも総胆管の拡張していることがあります
これは私は意識していないだけかも知れませんが、あまり経験がしたことがないような気がします。
胃癌の手術と、胆摘が同時に行われることが多いのは、術後に胆石ができやすいためです。
http://alpha-club.jp/2017/09/15/alpha-mate201709/
ただし、外科の先生に聞いてみたところ最近は以前ほど予防的胆摘はしてないようです。
胆石とかポリープがある時は別のようですが。
胆嚢摘出していない場合で、
胃の摘出だけでも総胆管拡張しているケースを何回か見たのですが、迷走神経などを一緒に切除すると拡張しますか?
また、胆嚢摘出していて胆管炎などの場合には、胆管癖が肥厚したりして画像情報として得られないときは画像だけで判断するのは難しいですか?
アウトプットありがとうございます。
>胃の摘出だけでも総胆管拡張しているケースを何回か見たのですが、迷走神経などを一緒に切除すると拡張しますか?
これについては外科の先生にも聞いてみましたが、よくわかりません。
>また、胆嚢摘出していて胆管炎などの場合には、胆管癖が肥厚したりして画像情報として得られないときは画像だけで判断するのは難しいですか?
胆管炎は画像のみで診断するものではありません。
コメントありがとうございました。
送信できていないと思って2回送ってしまいました。ごめんなさい。
胆嚢摘出は胆石予防での切除するんですね。勉強になりました。
いえいえ、大丈夫です。1回目のコメントはこちらが承認するまで表示されません。
2回目以降は表示されますので、よろしくお願いします。
拡張している=ちゃんと腸管と連続している、と言われてむしろ術後の患者さんは総胆管が拡張している方がいい。と耳学問で聞いたことがありました。このような認識であってますでしょうか?もちろん術後でも閉塞点がないことを確認しなきゃならないのでCTで悩んだ場合は臨床症状と血液データと総合的に判断することになり、白黒つけるならMRCP施行になってしまうと思いますが。
アウトプットありがとうございます。
>拡張している=ちゃんと腸管と連続している、と言われてむしろ術後の患者さんは総胆管が拡張している方がいい。と耳学問で聞いたことがありました。このような認識であってますでしょうか?
胆摘後であっても拡張しないこともありますので、必ずしもそういうわけではありません。
>もちろん術後でも閉塞点がないことを確認しなきゃならないのでCTで悩んだ場合は臨床症状と血液データと総合的に判断することになり、白黒つけるならMRCP施行になってしまうと思いますが。
おっしゃるように血液データや臨床所見から閉塞性黄疸を疑う場合は、さらなる精査が必要となりますね。
いつも勉強させていただいています。
セブンイレブンの法則、胆摘後に肝内胆管が拡張すること。
恥ずかしながらどちらも知りませんでした。
今回も大変勉強になりました。
アウトプットありがとうございます。
>セブンイレブンの法則、胆摘後に肝内胆管が拡張すること。
いずれも日常臨床で重要で、遭遇する頻度も少なくありませんので、この機会に覚えておいてください。