【腹部TIPS】症例27 解答編

症例27

【症例】60歳代  男性

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両側の腎臓にある嚢胞はなに?

両側の腎門部に複数の低吸収域を認めています。

水腎症!!!

と早とちりしないようにしましょう。

前後関係をよく観察すると、腎盂や尿管には拡張がないことがわかります。

またダイナミックCTの平衡相では、両側の腎盂から尿管に造影剤を認めていませんが、これらの嚢胞には認めていないことがわかります。

つまり、尿路とは関係のない嚢胞だということです。

これを傍腎盂嚢胞(ぼうじんうのうほう)と言います。

診断:両側傍腎盂嚢胞

※臨床的に問題となることはほとんどありません。水腎症と間違えないように注意が必要です。

関連:傍腎盂嚢胞・腎外腎盂とは?CT画像診断のポイント!

その他所見:

  • 右腎嚢胞あり。
  • 腸間膜沿いに脂肪織濃度上昇軽度あり(非特異的所見)。

ちなみに平衡相の膀胱のスライスで、膀胱後壁から造影剤の血管外漏出(extravasation)のように噴射する様子がありますが、これは尿管から膀胱への正常な造影剤の排泄像です。

やや撮影タイミングの遅かった平衡相や、遅延相で見られることがあります。

これもどこかでTIPSの症例に入れようかとも思っていたのですが、ここで出てきたのでついでに解説しておきます。

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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