
症例27
【症例】60歳代 男性
画像はこちら
両側の腎臓にある嚢胞はなに?
両側の腎門部に複数の低吸収域を認めています。
水腎症!!!
と早とちりしないようにしましょう。
前後関係をよく観察すると、腎盂や尿管には拡張がないことがわかります。
またダイナミックCTの平衡相では、両側の腎盂から尿管に造影剤を認めていませんが、これらの嚢胞には認めていないことがわかります。
つまり、尿路とは関係のない嚢胞だということです。
これを傍腎盂嚢胞(ぼうじんうのうほう)と言います。
診断:両側傍腎盂嚢胞
※臨床的に問題となることはほとんどありません。水腎症と間違えないように注意が必要です。
その他所見:
- 右腎嚢胞あり。
- 腸間膜沿いに脂肪織濃度上昇軽度あり(非特異的所見)。
ちなみに平衡相の膀胱のスライスで、膀胱後壁から造影剤の血管外漏出(extravasation)のように噴射する様子がありますが、これは尿管から膀胱への正常な造影剤の排泄像です。
やや撮影タイミングの遅かった平衡相や、遅延相で見られることがあります。
これもどこかでTIPSの症例に入れようかとも思っていたのですが、ここで出てきたのでついでに解説しておきます。
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
答え自体は難しくないですが、成因とかは考えたことがありませんでした。
「皮質に嚢胞がなく、傍腎盂のみ嚢胞ができる人」や、その逆で「皮質にだけ嚢胞ができる人」を共によくみかける気がしますが、
皮質と傍腎盂で成因が若干異なったりしますか?
膀胱後壁のゆらゆらは以前別の症例で個人的に気になってしまったもので、知っているか知っていないかは重要ですね(^▽^)/
ちなみに、攻略が簡単なので、僕はフシギダネ派です(ゆとり世代)。
アウトプットありがとうございます。
>皮質と傍腎盂で成因が若干異なったりしますか?
考えたことがなかったのですが確かに発生の機序が違うのかもしれません。
ちょっと時間が取れないので、「令和」最初のインスタント先生の課題とします!!!
私も時間取れたら調べてみます。
>僕はフシギダネ派です(ゆとり世代)
フシギダネは攻略が簡単なんですか?
ポケモンはピカチュウしか知らない状態でポケモンGOからはじめたので、
実はあまりわかっていなかったりします(^_^;
分かりました!ちょっと漁ってみます(^▽^)/ 今週末、土日とも休みなので少しお待ちください。
>フシギダネは攻略が簡単なんですか?
序盤に相性のいい敵が続くのでスイスイ進みます(^▽^)/
家内に「zで終わりかと思ったら、ヒトカゲが始まったみたいでよかったよ」と言ったら、
「じゃあ、まだあと151はあるのね♪」と言われました。
今ポケモンが何種類いるのか把握していませんが、楽しみにしてます笑!
>家内に「zで終わりかと思ったら、ヒトカゲが始まったみたいでよかったよ」と言ったら、
「じゃあ、まだあと151はあるのね♪」と言われました。
いやいや(^_^;
私がお気に入りのポケモンだけなので、そんなにありません。
そしてネタもそんなにありません・・・。
zの続きを甲乙・・・、αβ・・・・、などいろいろ考えましたが、どれもしっくりこず。
苦肉の策でポケモンになりました。
ちなみにページのひな形は外注さんに作って貰っているので、外注さんもびっくりしてました。
お世話になっています。
「腸間膜沿いの脂肪織濃度上昇」の所見は、まれに見かける非特異的所見ですが、症状を伴う場合は、リンパ節炎や腸間膜脂肪織炎などを鑑別にあげる必要がありますか?以前、迷ったことがありました。
アウトプットありがとうございます。
>「腸間膜沿いの脂肪織濃度上昇」の所見は、まれに見かける非特異的所見ですが、症状を伴う場合は、リンパ節炎や腸間膜脂肪織炎などを鑑別にあげる必要がありますか?
おっしゃるとおりですね。
今回はリンパ節は目立ちませんので、症状がある場合は、腸間膜脂肪織炎の可能性があります。
過去画像との比較も重要です。
お疲れ様です。
これ自体は難しくないと思いましたが、
水腎症との区別が大事ですね。
ここで出来ない質問はどこでさせてもらえばいいですか?
例えば、
誤ってメール配信の解除をしてしまったので、もう一度、メールを配信してほしい
などの、質問なのですが…
よろしくお願いします。
>誤ってメール配信の解除をしてしまったので、もう一度、メールを配信してほしい
などの、質問なのですが…
こちらでも大丈夫です。どのメールでしょうか?
あるいはこちらに記載があるようにメールをください。
https://xn--o1qq22cjlllou16giuj.jp/training/comment-2
ありがとうございます。
もしもの時はここに書き込みます。
質問連投なのですが
傍腎盂嚢胞と水腎症は
単純CTのみでは鑑別出来ないのでしょうか?
>傍腎盂嚢胞と水腎症は単純CTのみでは鑑別出来ないのでしょうか?
単純CTのみで鑑別可能です。
水腎症は腎盂が拡張します。傍腎盂嚢胞の場合は、腎盂の周りに嚢胞が通常複数認めます。
尿管との連続性を見れば鑑別は可能ですね。
これが傍腎盂嚢胞なのですね.
初めて理解しました.
最近職場のスタッフの入れ替わりで,バタバタしなかなか参加できていなかったのでここからなんとか巻き返します・・・
アウトプットありがとうございます。
需要があってよかったです。
確かにご無沙汰ですね。またお時間見つけてよろしくお願いします。
腎皮質の嚢胞と傍腎盂嚢胞の違いについて、漁ってみましたが、今一つですね・・・
https://www.ohta-hp.or.jp/n_etc/80med/dep/dep03/d03_02.htm
によると、
「なぜ嚢胞ができるかは不明ですが、腎虚血、尿細管(腎臓内にあり、尿の元である原尿が通過する管)の閉塞あるいは髄質(腎臓の内側の部分)の間質線維化などが考えられています。」
特に、「尿細管の閉塞」については、かなりイメージしやすいですよね。傍腎盂嚢胞の「多発」については記載がありませんが、
一応、考えたのは、「最初の1つ目の嚢胞」は、傍腎盂だろうが、腎皮質だろうが確率は同じなんでしょうけど、
傍腎盂嚢胞ができた場合、それによって「他の尿細管が閉塞されやすい」から、「玉突き衝突的に」傍腎盂嚢胞ができていく、というくらいはイメージできます。
まぁ、しかし、この考察であればわざわざ調べなくてもって感じですがww…
ちなみに、腎嚢胞の管理については、
https://www.kyorin-pharm.co.jp/prodinfo/useful/doctorsalon/upload_docs/130757-1-33.pdf
も読みやすかったです(^▽^)/
腎嚢胞はどこにできようが、基本的に「嚢胞それ自体」に対する対応は変わらない。
しかし、傍腎盂嚢胞の場合は、(先に述べた理由と似た理由で)水腎症や、あるいはそこから慢性尿路感染症や腎結石を合併することがあるので、そういうことがあれば「硬化療法」などを行う場合もある
っていう感じに書いてあります。
つまり、この解説ページにもありますが、傍腎盂嚢胞をみたら
「水腎症と間違えないように注意」、あるいは
「水腎症の有無に注意して、腎盂や尿管を確認」した方がいい、と再確認できますね(^▽^)/
調べていただいてありがとうございます。
私の方でも調べてみました。
・単純性嚢胞→ネフロンまたは集合管由来の嚢胞
・傍腎盂嚢胞→腎実質以外の動脈やリンパ管、脂肪などの組織由来の嚢胞の総称
と記載がありました。(臨床画像 2016年3月号P276)
>つまり、この解説ページにもありますが、傍腎盂嚢胞をみたら
「水腎症と間違えないように注意」、あるいは
「水腎症の有無に注意して、腎盂や尿管を確認」した方がいい、と再確認できますね(^▽^)/
そうですね。おっしゃるとおりです。
なるほど、成因は違うのですね!
どちらかにか多発しないことがあるのも納得です(^▽^)/
またお願いしますm(__)m
よく見る所見ではありますが、ずっと流していると、いざ水腎との比較が問われたときに戸惑いそうなので、こうやって問題にされると助かります(^▽^)/
アウトプットありがとうございます。
尿管との連続性がない!というのがポイントですね。
忘れかけたら、ヒトカゲに戻ってきてください。
TIPSの復習をしたいのでA-Zのリンク集いただけませんでしょうか
リンク集は今後は販売予定となっています。
今回もありがとうございます
尿管の拡張もないし、けど、腎杯が拡張してる感じもして、なんだろう?と思いましたけど、勉強になりました!水腎症との見分けが大事ですね!
1つ気になったんですが、腎臓の造影ctで、当院では単純的に腎嚢胞ぽいやつでも造影します。単純じゃやっぱり、腫瘍と嚢胞の鑑別はできないですか?
あと、小さな腎腫瘍を見つけるにはどのタイミングがわかりやすいですか?動脈そうでしょうか?それとも平衡相でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>水腎症との見分けが大事ですね!
そうですね。水腎症精査で、傍腎盂嚢胞だけだったということがたまにあります。
>単純じゃやっぱり、腫瘍と嚢胞の鑑別はできないですか?
単純性の嚢胞なのか、腫瘍を含む嚢胞なのかについては、今後のTIPSでまた出てきます。
>小さな腎腫瘍を見つけるにはどのタイミングがわかりやすいですか?動脈そうでしょうか?それとも平衡相でしょうか?
腎腫瘍は複数種類があり、造影パターンはそれぞれ異なりますが、最も多い淡明細胞型の場合は、早期濃染され、平衡相ではwashoutされることが多いです。ですので両方チェックします。
腫瘍を含む嚢胞とかがあるんですね!それは知らなかったです!是非!今後のTIPSを楽しみに待っておきます!
それではやはり、腎ダイナミック撮影は重要なんですね!平衡相のみだとwashoutされて、腎嚢胞かの区別がしづらくなるんですね!ありがとうございます
傍腎盂嚢胞parapelvic cyst ,腎盂周囲嚢胞peripelvic cyst
私は後者を使っています
アウトプットありがとうございます。
腎盂周囲嚢胞peripelvic cystと言うこともあるんですね。
ちょっと手持ちの書籍で調べたところ、「ケースレビュー泌尿生殖器の画像診断」という書籍にはそのように記載がありました。
補足していただいてありがとうございます!
いつも貴重な症例ありがとうございます
傍腎盂嚢胞は多発的にできますか?
あと余談ですが、虫垂長いな~って思いました。
アウトプットありがとうございます。
>傍腎盂嚢胞は多発的にできますか?
単発の場合も多発の場合もあります。今回は多発ですね。
>虫垂長いな~って思いました。
確かにかなり長い症例ですね!airのある部分で終わりと思いきやまだ続いていました。
ありがとうございます。毎回勉強させていただいております。
症例とは関係がないのですが腹部のCTを見る際の適切なWW、WLの値はいくつにされてますでしょうか。また脂肪織濃度上昇をみる際には値を変更されますでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
単純CTの場合、WL 30、WW 300程度です。
脂肪を見る場合は、WWを400や450くらいに上げます。
とても参考になりました。
腹膜沿いの脂肪組織濃度上昇とはSMAあたりから下の左側にあるの濃度上昇も含まれますか?またこれの原因って何かわかるんですかね??
あまり解剖に疎いのでうまく説明できなくてすみません。伝わってたら教えてください。
アウトプットありがとうございます。
>腹膜沿いの脂肪組織濃度上昇とはSMAあたりから下の左側にあるの濃度上昇も含まれますか?
伝わっています。まさにここから下方に及ぶ脂肪織濃度上昇のことを指しています。
非特異的所見で、症状がある場合は、腸間膜脂肪織炎と診断されることもありますが過去画像との比較が重要です。
リンパ節腫大が目立つ場合は悪性リンパ腫も考えることもあります。
参考
https://trc-rad.jp/case/352/352_5_2.html
いつもありがとうございます。
先ほど送ったものが送られなかったので、再送させていただきました。重なってしまっていたらすみません。
胸骨下部が11-15/348のような形になっているのはどうしてなのでしょうか?
膵管の走行に関して、dynamic CTの動脈相(横断像)の181/348、冠状断像の31/69、辺りに見える管状の構造物はSantorini管でしょうか? 今回は主膵管の径の方が若干副膵管の径よりも太く見えるので正常かなとも思ったのですが、このように割とはっきり見える時に不完全型のpancreas divismと考えてMRCPなど精査をする、ということもあるのでしょうか? それか偶発的にみつかり無症状なら経過観察、閉塞性膵炎など症状をきたせば精査する、という感じでしょうか?
今回の傍腎盂嚢胞の件とは全く関係なく恐縮ですが、教えていただけると幸いです。
アウトプットありがとうございます。
>先ほど送ったものが送られなかったので、再送させていただきました。
こちらのコメントはこちらでは確認できませんでした。
>胸骨下部が11-15/348のような形になっているのはどうしてなのでしょうか?
確かに本来は剣状突起は正中部に突出しているのですが、フォーク状になっていますね。
これは正常変異として知られています。剣状突起に窓形成を来すこともあります。
>膵管の走行に関して、dynamic CTの動脈相(横断像)の181/348、冠状断像の31/69、辺りに見える管状の構造物はSantorini管でしょうか?
おっしゃるようにSantorini管ですが、主膵管との連続性ははっきりしませんので、不完全型にも該当しませんね。
通常これでフォローや精査となることはないかと考えます。
ありがとうございました。
どちらの所見もとても気になってしまって、教えて下さり大変勉強になりました。
大腸が全体に細くなっています。臨床でもよく見かけるのですが、軽度の腸炎を見ているのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
たまたまではないでしょうか。上行結腸は太いですね。大腸が細い→軽度の腸炎というわけではありません。