【頭部】症例11 解答編

【頭部】症例11

【症例】60歳代女性
【主訴】意識障害・右半身麻痺
【現病歴】1時間前に姪が訪室した際に自宅の床で倒れているところを発見。意識障害を認めたタ救急搬送。
【既往歴】特記すべき事項なし。
【生活歴】喫煙20本/day
【身体所見】JCS 20、GCS E2V2M5、BP 157/81、PR 29、SpO2 100%(O2 5L)、神経学的所見:オーダー入らず、瞳孔同大、対光反射-/-、水平眼振あり。Babinski(+/-)

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左の視床を中心に巨大な血腫を認めており、血腫は、内包後脚・淡蒼球・被殻にも及んでいます。

また血腫は左側脳室内にも認めています。

脳内血腫を見た際に、以下のことを確認するんでしたね。

今は視床出血ですので側脳室への穿破がないかをチェックする必要があります。

左の側脳室内に血腫を認めていますので、左視床から側脳室に血腫が穿破したと診断することができます。

また左優位に側脳室の下角にやや開大を認めています。

左の側脳室の下角には高吸収の血腫を認めています。

脳内出血の手術適応は以下の通りでした。

視床は、基本的に深い部位にあるため手術適応にはなりません。

しかし、脳室がやや開いていることから水頭症と判断され、脳室ドレナージ術の緊急手術となりました。

手術までは、ペルジピンでsBP:140mmHg以下になるように投与開始。
アドナ、トランサミンも投与されました。

翌日のCTです。

左視床の血腫は取り除かれていませんが、右前角アプローチで脳室ドレナージチューブが留置されました。

その後保存的に加療されました。

発症時から半年後のフォローのCTです。

左視床を中心に明瞭な脳実質の欠損を認めています。

出血後の変化に矛盾しない所見です。

診断:左視床出血脳室穿破

 

関連:視床出血とは?症状・原因・CT画像所見・治療法まとめ

その他所見:全体的に体動によるアーチファクトの疑い。

【頭部】症例11の動画解説


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