
症例t
【症例】50歳代女性
【主訴】2日前より腹痛あり、症状軽快しないため来院
【身体所見】腹部:平坦、軟、下腹部正中に圧痛あり
【データ】WBC 9400、CRP 7.19
【既往歴】子宮腺筋症が指摘されている。
画像はこちら
盲腸憩室炎に対して、絶食、セフトリアキソン(CTRX)2g/日点滴にて保存的に加療されました。
1週間後のCTです。
憩室炎所見は軽減傾向です。
1週間前には認めなかった胆嚢内の高吸収域が出現しています。
1週間前には認めていなかったため、腫瘍ではなさそうです。
また症例18で見たような、造影剤でもなさそうです。
となると、胆石でしょうか?
1週間の間に胆石が生じることがあるのでしょうか?
実はこれ、偽胆石と呼ばれます。
抗生物質、なかでもセフトリアキソン(CTRX、ロセフィン®)の投与により出現し、投薬を中止すると再び消えることが知られています。
診断:セフトリアキソンによる偽胆石
※抗生剤を別種類に変更されました。
2ヶ月後CTにて胆石は消失していました。
関連:セフトリアキソン(CTRX、ロセフィン®)による偽胆石とは?CT画像は?
その他所見:
- 肝嚢胞あり。
- 腎嚢胞あり。
- 子宮腫大あり。(既知の子宮腺筋症)
お疲れ様でした。
今日は以上です。
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絶食→胆石 (セフトリのことは考えず)
としてしまいましたが、確かに、絶食だけでは、1週間で胆石の形成を見るのは難しいですよね(^-^;
逆に、単にセフトリをやっているだけでも(絶食がなければ)、偽胆石を形成する可能性は高くないと考えてよいですかね?
あと、何か、いわゆる見慣れた胆石とは違う感じがありました。壁にへばりついているような、変な感じです。
1週間前の画像がなければ「壁肥厚」とかを考えていそうなそんな感じがしました。
「胆泥様-胆石様」と記載がありますが、まさにその通りの、中間的なイメージでよろしいですか?
「うにょ」っと壁にくっついている、そんな感じですかね(^-^;?
ちなみに、消化管内の高吸収がずっと目立っていますが、食塊ですか?
1週間前(まだ普通に食事しているはずの時)ならまだわかるのですが、絶食後にもあるのはなぜなのでしょう?
薬剤の影響とか、ありますか(^-^;?
アウトプットありがとうございます。
>単にセフトリをやっているだけでも(絶食がなければ)、偽胆石を形成する可能性は高くないと考えてよいですかね?
おそらくそうですね。
>1週間前の画像がなければ「壁肥厚」とかを考えていそうなそんな感じがしました。
「胆泥様-胆石様」と記載がありますが、まさにその通りの、中間的なイメージでよろしいですか?
「うにょ」っと壁にくっついている、そんな感じですかね(^-^;?
肉眼的に見たことがないのでなんとも言えないのですが、そんな感じだと思います。消えますので。
>ちなみに、消化管内の高吸収がずっと目立っていますが、食塊ですか?
1週間前(まだ普通に食事しているはずの時)ならまだわかるのですが、絶食後にもあるのはなぜなのでしょう?
薬剤の影響とか、ありますか(^-^;?
実はこの症例かなり古い症例でして、昔は腹部のCTを撮影する際には、
消化管を観察しやすくするという意図でガストログラフィンという経口造影剤を飲んで撮影していました。
それで消化管内が高吸収となっています。
思いっきり間違えました。
憩室からの穿孔でフリーエアがあるように見えました…
普通に胆石かな?と思って書かなかったのですが、一週間で胆石は出来ないものなのですね…
このくらいの胆石だと普通数週間ぐらいかかりますでしょうか?
後、私も消化管内、小腸?の高吸収内容物が気になります。
アウトプットありがとうございます。
>このくらいの胆石だと普通数週間ぐらいかかりますでしょうか?
胆石がどれくらい時間をかけてできるかはわかりませんが、
数週間どころではないような気がします。(根拠はありません。すいません)
消化管内の高吸収はガストログラフィンです。
今までたくさん問題をやらせていただいたなかで一番見当違いな回答をしていました。
偽胆石も知りませんでした。
勉強不足です(>_<)
アウトプットありがとうございます。
頻度は多いものではありませんが、知っておいたら役に立つ「かもしれない」のでぜひこの機会に覚えておきましょう。
知っていなければ無症候性の胆石として、とりあえずメインのCTRXでの加療を継続してしまう可能性もありそうですね(;’∀’)
短時間で「胆石」を形成する経過に違和感を持てることが大事ですね。
>短時間で「胆石」を形成する経過に違和感を持てることが大事
おっしゃるとおりですね。知っていないと造影剤でも入ったのかと思ってしまいますね。
以前、偽胆石症で胆嚢炎、胆管炎を起こした症例を学会発表と雑誌投稿したので自信を持って正解できました笑
そ、それは私なんぞよりよほど詳しいということじゃないですか(;゚ロ゚)!!!!
偽胆石症で胆嚢炎、胆管炎を起こすことがあるんですね!ありがとうございます。
全く見当違いでした。胆石は目に留まっていたのですが、なぜかスルーしてしまいました。
偽胆石は頻度は高くないので、そんなものもある!程度で覚えておきましょう。
胆石が気になりましたが、前回のCTと確認することができず、前回のCTから短期間でできるはずがないとスルーしました。
できれば前回のCTも確認できるシステムだと嬉しいです。
さすがに前回のCTの所見すべて覚えきれなかったです。
アウトプットありがとうございます。
こちらから確認ください。
https://imaging-diagnosis.com/view/Q2htV9i6
いつも貴重な症例ありがとうございます。
左甲状腺に低吸収、左乳腺に石灰化を認める。
あっ、腹部TIPSの内容でした…otz
初回CT→盲腸憩室炎→保存加療→抗生剤+絶食→フォローCT→CTRX起因偽性胆石→憩室炎軽快+抗生剤変更→偽性胆石消失
これを実際の画像を呈示され、素晴らしい内容かたストーリーだと思います。本当にありがとうございます。これからもウォッチさせて頂きます。
アウトプットありがとうございます。
>左甲状腺に低吸収、左乳腺に石灰化を認める。
補足ありがとうございます。1週間後のCTでは胸部からありましたね。
>初回CT→盲腸憩室炎→保存加療→抗生剤+絶食→フォローCT→CTRX起因偽性胆石→憩室炎軽快+抗生剤変更→偽性胆石消失
一連の流れをまとめていただきありがとうございます。
こちらこそ今後ともよろしくお願いいたします。
いつもありがとうございます。
セフトリをいつも使っていましたが、胆石の事はすっかり忘れておりました。
勉強になります。
今回の症例は、free airと腹水貯留と思ってしまいました。
腹水っぽく見えるところは膀胱なのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>腹水っぽく見えるところは膀胱なのでしょうか?
1週間前のものも後のものも、ともに子宮の尾側に膀胱が存在していますが、かなり虚脱していますね。
1週間前のものは冠状断像があるので、それで確認できます。
ぺしゃんこになった膀胱はおっしゃるように腹水と勘違いすることがあるので注意が必要ですね。
いつもありがとうございます。
そのままの治療を続けるのはもちろんダメなんですよね…?当然だったらすみません。
すみません。関連記事で理解出来ました。
アウトプットありがとうございます。
解決されたようでよかったです(^^)
本筋とは関係ない点ですみませんが、質問させていただきたいです。
左右の腎静脈が拡張していると考えたのですが、有意な所見でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
確かに少し目立ちますが、これくらいならばよくある所見です。
左腎静脈は大動脈ー上腸間膜動脈の前後で口径差がありますし、血尿などあれば、ナットクラッカー症候群も考慮する必要はあります。