先に結論:セフトリアキソン(ロセフィン)による偽胆石とは
- 抗菌薬のセフトリアキソン(CTRX・商品名ロセフィン)は胆汁に多く出るため、胆嚢の中でカルシウムと結びついて沈殿し、胆石や胆泥のようなものができることがあります。これを偽胆石(にせの胆石)と呼びます
- 絶食中・腎機能低下・投与量が多い・投与期間が長い・小児で起こりやすく、投与開始から数日〜数週間で出てきます。CTでは以前はなかった白い(高吸収の)胆石様のかたまりとして見え、超音波でも胆石と同じように見えます
- 多くは無症状で、薬をやめると数週間で自然に消えるため、手術は不要です。まれに腹痛・胆嚢炎を起こすことがあります。投与前の画像と比べることが、本物の胆石と見分けるポイントです
- 肺炎患者を対象にした日本の大規模調査では、セフトリアキソン使用で胆嚢炎・胆管炎がわずかに増えていました(0.22%対0.18%:Taniguchi 2025)
セフトリアキソンによる偽胆石とは?
- セフトリアキソン(ロセフィン®)は第3世代セフェム系抗生物質の一つ。
- セフトリアキソンは胆嚢内で高濃度に濃縮され、カルシウムイオンと親和性が高く、胆泥様-胆石様の貯留物(セフトリアキソンとカルシウムの塩の沈殿)を形成することがある。
- ただし、セフトリアキソンの投与を中止すると消失する(排石せずに消失する)ことから、偽胆石と呼ばれる。小児37例の超音波検査による検討では16例に生じ、中止後2〜63日で消失した(Schaad 1988)。
- 入院患者で絶食状態でセフトリアキソンを投与すると起こりやすいとされる。
- セフトリアキソンによる偽胆石のリスク因子として、絶食(胆汁の流れが減る)、腎機能低下、投与期間が長いこと、投与量が多いことが報告されている。
- セフトリアキソン投与から偽胆石発症までの期間には幅がある。成人523例で投与前後のCTを比較した報告では偽胆石は17%に生じ、投与期間3日超、投与量が多いこと、絶食2日超、eGFR 30未満が独立した危険因子であった(Matsumi 2023)。65歳以上133例の検討でも18%に生じ、総投与量・投与期間が多いほど起こりやすかった(Hotta 2021)。
症例 60歳代女性 憩室炎にてCTRXで加療

盲腸憩室炎の診断で、絶食、ロセフィン®で保存的に加療された方です。
1週間後のCTで来院時には認めなかった高吸収の結石様構造を胆嚢に認めています。
偽胆石と診断されました。
抗生剤変更により偽胆石は消失しました。
偽胆石・胆石・胆泥の画像での見分け方
| 偽胆石(セフトリアキソン) | 胆石 | 胆泥 | |
|---|---|---|---|
| CT | 投与前にはなかった高吸収の結石様・泥状の構造 | 高吸収(石灰化)〜低吸収(コレステロール石)とさまざまで、CTで見えないこともある | 胆嚢の背側にたまる、やや高い吸収値の層 |
| 超音波 | 音響陰影を伴う高エコーや、泥状の高エコー | 音響陰影を伴う高エコーで、体位で移動する | 音響陰影のない低〜中等度エコーの層 |
| 経過 | 投与中止で自然に消える | 自然には消えにくい | 原因(絶食など)の改善で消えることがある |
見た目だけでは区別できないことが多いため、セフトリアキソンの投与歴と、投与前の画像との比較が最も大切です。
腹痛や発熱など気になる症状があれば、主治医や医療機関に相談してください。
参考文献:
臨床画像 Vol.33, No.10,2017 P1161-1162
画像診断 Vol.36 No.12 2016 P1128-1129
臨床画像 Vol.28,No.4 増刊号, 2012 P121
- Schaad UB, Wedgwood-Krucko J, Tschaeppeler H. Reversible ceftriaxone-associated biliary pseudolithiasis in children. Lancet. 1988;2(8625):1411-1413. PubMed
- Matsumi A, Tomoda T, Terasawa H, et al. Risk factors for ceftriaxone-associated pseudolithiasis in adults. Digestion. 2023;104(4):313-319. PubMed
- Hotta K, Hashimura N, Takatsuka M, et al. Ceftriaxone-associated pseudolithiasis in elderly people: frequency and risk factors. Intern Med. 2021;60(24):3857-3864. PubMed
- Taniguchi J, Aso S, Matsui H, et al. Association Between Ceftriaxone Use and Biliary Infections in Patients With Pneumonia: A Nationwide Retrospective Cohort Study. Pharmacoepidemiol Drug Saf. 2025;34(6):e70162. PubMed
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大変勉強になりました、引き続き画像がみれるように鍛錬したいです
ありがとうございました
コメントありがとうございます。
お役に立てて良かったです(^^)