
症例20
【症例】50歳代女性
【主訴】2日前より腹痛あり、症状軽快しないため来院
【身体所見】腹部:平坦、軟、下腹部正中ー右側に圧痛あり
【データ】WBC 9400、CRP 7.19
【既往歴】子宮腺筋症が指摘されている。
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右下腹部の盲腸周囲に脂肪織濃度上昇および周囲の筋膜の肥厚を認めています。
左右差をみれば明らかですね。
そのやや尾側のスライスにはリング状の高吸収構造を2つ認めています。
形状から憩室が疑われます。
またやや見えにくいですが、盲腸は3層構造を保った壁肥厚を認めています。
これらから、盲腸憩室炎があり、それが周囲および盲腸への炎症波及したことが疑われます。
- 穿孔・穿通
- 膿瘍形成
などを疑う所見は認めません。
診断:盲腸憩室炎疑い
※憩室炎を起こしている場合、炎症を起こしている憩室そのものは、同定できる場合とできない場合があります。
今回は2つ憩室構造を認めていますが、どちらの憩室に炎症が起こっているのかははっきりしません。
※保存的に加療されます。
この症例においても、盲腸憩室炎と診断され、絶食、セフトリアキソン(CTRX) 2g/日点滴にて保存的に加療されました。
その他所見:
- 肝嚢胞あり。
- 腎嚢胞あり。
- 子宮の腫大あり(既知の子宮腺筋症)。
症例20の解説動画
passは、20です。
え?
「憩室炎ならば、腹部画像診断TIPSというより、腹部【救急】画像診断なのでは?復習問題?どこがTIPS?」
とくにESPRESSO腹部救急画像診断【本編】参加者はそのように思われるはず。
入院となり、絶食・抗生剤で保存的に加療されました。
その1週間後のCTです。
ちょっとわかりにくいですが、憩室炎所見は軽減傾向と判断します。
今回、盲腸憩室とは全く別のところで、1週間前のCTではなかったものが出現しています。
それは何でしょうか?
またその原因は何でしょうか?
解説動画ですが、passの「20」を入力してもエラーとなってしまいます。
解決法があれば教えていただけないでしょうか。
お問い合わせありがとうございます。
申し訳ありません。
別のパスワードが設定されていました。
20に変更しました。よろしくお願いします。
完全に「虫垂ブートキャンプ」のワードに引っ張られておりました。反省します。
アウトプットありがとうございます。
虫垂炎としてしまいましたか(^_^;)
今回虫垂はちょっとわかりにくいですが、冠状断像の43 / 64あたりで内部にairを有する管腔構造として確認できますね。
かなり長く、正中よりに存在しています。
いつも勉強させてもらっています、ありがとうございます。2点です。
①憩室と思われた、リング状の高吸収構造の2つを、小さいながらも膿瘍形成?と思ってしまいました。
②冠状断では、コメントの43/64スライスをヒントに同定できたのですが、水平断ではどうしてもairを含む管状構造が見つかりません(^^;) 水平断でもヒントをお願いします。
アウトプットありがとうございます。
>①
こちらは憩室内の糞石や硬い糞便構造ですね。
>②
虫垂のことですかね。
横断像では、57−60 / 79あたりで子宮の右側に細くairを含む管状構造を認めています。
根部の同定ではかなり厳しいです(thin sliceがあればわかりやすいと思いますが)が、58 / 79あたりですね。
本日もありがとうございます!
質問なのですが、横断像で28/79あたりで左の腸管内にクルケリングひだ(?)が見えており、むくんでいるのかなと思ったのですが、有意とはとれないでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>横断像で28/79あたりで左の腸管内にクルケリングひだ(?)が見えており、むくんでいるのかなと思ったのですが、有意とはとれないでしょうか?
おっしゃるように少し見えていますが、小腸全体に液貯留や拡張像を認めているわけではなく非常に局所的なものなので、私は有意とは取らないです。あと、この部位の高吸収が目立ちますが、昔の症例であり、撮影前にガストログラフインを内服しているためですね。
局所的なものでは有意ととらないのですね。また、高吸収域がガストログラフィンと伺い納得しました。ありがとうございます!
局所的であっても目立つものや腸間膜浮腫など伴う場合は所見として取ることがありますが、今回はそれほど目立たず正常範囲と考えます。
横断像23~27/72あたりで目立つ左側小腸(?)が他に比べて高吸収なのはどう解釈すれば良いでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
こちらは古い症例で、撮影前にガストログラフインを経口投与しているためこのように見えます。