
症例19
【症例】60歳代女性
S状結腸癌術後フォロー目的のCTが撮影された。
画像はこちら
脊柱管内が高吸収なのはなぜ?
脊柱管内に石灰化を多数認めています。
靱帯の骨化などでしょうか?
そうではなく、これは油性造影剤の残存を疑う所見です。
現在は用いられていませんが、かつては脊髄腔造影は油性造影剤が用いられていました。
ですので、油性造影剤(iophendylate、商品名 myosil(マイオジール))を用いたミエログラフィの既往が疑われます。
診断:油性造影剤によるミエログラフィの既往の疑い
※油性造影剤により癒着性くも膜炎(から脊髄空洞症へ進展)を生じることがあります。
※現在は脊髄腔造影には用いられていない(1980年頃まで使用されていた)ので今後目にする機会はさらに減っていきます。
関連:癒着性くも膜炎の画像診断
その他所見:腎嚢胞あり。
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
脊髄腔造影ですか〜。
パッと見で「馬尾が高吸収なのかな?」と思ってしまいましたが、逆に「馬尾以外が高吸収」だったんですね。
「馬尾 高吸収」で漁っても漁っても何も出なかったので途方に暮れていましました( ̄▽ ̄;)
>パッと見で「馬尾が高吸収なのかな?」と思ってしまいましたが、逆に「馬尾以外が高吸収」だったんですね。
馬尾も一部高吸収になってそうですね。
たまーに見る所見ですので、覚えておいてください。
お世話になっています。
以前行われていた治療や検査が、現在も残存して見られる所見はたまに経験します。(結核の治療後など)
今後、「脊髄腔造影による油性造影剤の残存」を覚えて起きます。
>現在も残存して見られる所見はたまに経験します。(結核の治療後など)
そうですね。結核の石灰化はあらゆるところで見られますね。
ぜひ覚えておいてください。
私も脊柱管内の高吸収は
馬尾神経かと思っていました。
それ以外の脊柱管内の造影剤の
残存なんですね。
黄色靭帯の石灰化…にも見えなくはない
スライスがあるような気がします。
黄色靭帯の石灰化はまた違った画像所見
をとるのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>黄色靭帯の石灰化…にも見えなくはない
スライスがあるような気がします。
もし黄色靱帯の石灰化があれば区別は難しいかもしれせんが、
今回はなさそうと思います。
後縦靱帯の解剖を確認ください。
http://medicalimagecafe.com/tool/lumbar/01.html
全くの初耳でした!
勉強になりました!
たまに見ることがありますので覚えておいてください。
滅多に見られない所見ですね.いつか出くわすでしょうか.
出くわさないかもしれません(^_^;
脊髄内ではなく神経が高吸収であったため不思議に思いましたが造影剤の影響であったことは初めて知りました。なかなか見ることが出来ない症例ありがとうございます。
そうですね。髄液内に認めるということで、頭部にも石灰化を認めることがありますので、一応覚えておいてください。
こういう所見こそ「見たことがあるか」が物を言いますね。
クイズに出されなければまず勉強しなかったと思いますのでありがたいですm(__)m
そうですね。
ただし今後は見る機会は減っていくと思いますが。
ここ10年もう見たことないですね。もう見ることはないですね。
肝臓のトロトラストも、もう見ることもないし、知らなくていいですよね
アウトプットありがとうございます。
今後新しい症例で出てくることはないでしょうね。
ただし最近の症例でも残っているものにたまに遭遇します。
少なくなるとは、解剖の見直し知っていることの大切さとても勉強になりました。
少しお伺いしたいのですが、採決結果、症状も何も無い患者様だったのでしょうか?この症例は、CTとXPだけでしか払えない症例だったんでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
>採決結果、症状も何も無い患者様だったのでしょうか?
S状結腸癌術後フォローで撮影されていますが、とくに症状や採血結果には異常はありません。
>この症例は、CTとXPだけでしか払えない症例だったんでしょうか。
払えないというのはどういう意味ですか?
今回の画像はまったく分かりませんでした。
かなり以前に咳髄腔造影に使用されていたとのことですが、うちの病院は高齢者が多いのでもしかしたら目にすることがあるかもしれません。頭の片隅に置いておくようにします。
アウトプットありがとうございます。
>うちの病院は高齢者が多いのでもしかしたら目にすることがあるかもしれません。頭の片隅に置いておくようにします。
そうですね。今後は見ることがなくなる所見かもしれませんが、頭の片隅に置いておいてください。
油性造影剤によるミエログラフィー後かな?と思ったのですが、60歳代でも油性造影剤を使用された既往があっても良いのですか?
もっと高齢の世代と言うイメージがありました。
何年ごろまで疑ったほうが良いのですか?
アウトプットありがとうございます。
すいません。何歳頃まで疑った方がいいのかまではわかりません(^_^;)
こちらによると1977年時点で最近わが国でも水性造影剤がかなり広く使用されるようになったと記載があります。
https://webview.isho.jp/journal/detail/abs/10.11477/mf.1518101440
油性造影剤が全く使われなくなるまでその後10年かかったとすると、1987年以降は使われていない。
つまり、ここ33年くらいは使われていない。
33年前に30歳の人にミエログラフィをしていたら、現在63歳ですので、60歳代でもあっても良いのかもしれません。
あくまで個人的な推測ですが(^_^;)
あまり見たことがなかった症例なので勉強になりました。
直腸に見られるのは静脈瘤でしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>直腸に見られるのは静脈瘤でしょうか?
直腸ではなくこの方、両側の卵巣静脈の拡張が目立ちますね。
いつも貴重な症例ありがとうございます。
ミエログラフィーで油性造影剤が使用されていたのは全く初耳でした。頭の片隅に置いておきます。油性造影剤=リピオドール(ヒステログラフィー)の知識しかありませんでした(笑)
因みにですか、今症例はS状結腸癌に対する内視鏡治療後ですか?局所や腹壁に外科的手術痕が認められないのですが…それとも私が見えてないだけですか??
アウトプットありがとうございます。
>因みにですか、今症例はS状結腸癌に対する内視鏡治療後ですか?局所や腹壁に外科的手術痕が認められないのですが…それとも私が見えてないだけですか??
確認したところおっしゃるように内視鏡治療後でした。
確かに手術瘢痕らしいものは認めませんね。
フィードバックありがとうございます。
わざわざ調べて頂き、すいませんでした。
気になってしまいまして(苦笑)
いつも興味深く学ばせていただいております。
スライド12-21にかけて、くも膜下腔?に高吸収域がありますが、これも油性造影剤の残存でしょうか?
不勉強ですみません。
アウトプットありがとうございます。
>スライド12-21にかけて、くも膜下腔?に高吸収域がありますが、これも油性造影剤の残存でしょうか?
おっしゃるとおりです。
今回は画像がありませんが、頭蓋内に認めることもあります。
いつも勉強させていただいております。スライド41、44、45では、椎体が滑らかな円形ではないのですが正常所見なのでしょうか。
アウトプットありがとうございます。
正常ではないですね。
椎体の骨棘形成
椎間板の変性
などいわゆる腰椎の変形性脊椎症を反映していると考えられます。
原病のフォローと脊髄啌造影はどんな関連性あるのでしょうか?手術による神経障害の有無を確認するのですか?勉強不足ですみません。。
アウトプットありがとうございます。
>原病のフォローと脊髄啌造影はどんな関連性あるのでしょうか?
特に関連はありません。油性造影剤によるミエログラフィの既往があることを示唆する偶発的な所見です。
おはようございます。
油性造影剤は粘稠度が高いから残存しやすいということなのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
おっしゃるように粘度が高いためだと考えられます。
いつもお世話になっております。
詳細は別として、一番多いのがミエロだと思いました。全ての症例でも同じように、先ずはものの考え方として、基本的な発想からすすめるのが大切だと感じました。基本が大切で、この講座はとても有意義です。ありがとうございます。
アウトプットありがとうございます。
>全ての症例でも同じように、先ずはものの考え方として、基本的な発想からすすめるのが大切だと感じました。
そうですね。
知らないことは答えられないかもしれませんが、色々想像してみて思いっきりはずしても、考えた分記憶に残りやすくなると思います。