
症例18
【症例】60歳代男性
不安定狭心症で1日前に経皮的冠動脈インターベンション(PCI:percutaneous coronary intervention)を受けている。
※症例10と同一症例です。
画像はこちら
前日に心臓カテーテル治療を受けている方の単純CTです。
確かに胆嚢内はびまん性に高吸収を認めています。
大きな胆石や多数の胆泥があるのでしょうか?
心臓カテーテル治療で用いられるヨード造影剤は、腎機能が正常ならば、2時間で60%、6時間で80%、24時間でほぼ全量が尿中に排泄されます(放射線科3(3):200-213(1984))。
ただし、腎機能障害、腹膜透析患者、高齢者では、これに比べて遅延するといわれています。
また、原因は明らかにはなっていませんが、ヨード造影剤は胆嚢や消化管に排泄されることがあります。
※胆道系への排泄は、造影剤の蛋白結合能(Am J Roentgenol87:338-360(1962))、分子量や浸透圧(日本医学放射線学会雑誌 52(9):1281-1286(1992))が関与していると言われています。
今回もこのケースです。
つまり、前日心臓カテーテルの際に用いたヨード造影剤が胆嚢内に排泄されているということです。
診断:ヨード造影剤の胆嚢内排泄
関連:CT造影剤(ヨード)は何時間で体外に排泄される?腎臓以外からの排泄は?
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
お世話になっています。
今回の症例はある程度高吸収なので…ヨード造影剤の排泄とわかるかもしれませんが、検査歴を知らないと、胆泥と間違えそうな場面もありそうです。
アウトプットありがとうございます。
>検査歴を知らないと、胆泥と間違えそうな場面もありそうです。
おっしゃるようにそういうケースもありますね。
これも初めて知りました!
石灰乳胆汁とはまた違うのでしょうか?
造影剤ですので、別物となります。
壁の肥厚もなく、荒れているような感じがなかったので悪いものではないのかなと思いました。
血管に入れた造影剤が胆嚢にでてくるのは初めて知ったので覚えておきたいと思います。
そうですね、急に胆石がでてきた、胆泥が出てきたと騒がないためにも豆知識として覚えておきましょう。
胆泥としてしましました(;´Д`) よく勉強しておきます。
しかし・・・・・・
コメントを見る限り、「胆泥派」はここでは多数派ではなさそうですね。
集団によっては8割以上が胆泥にしそうなものですが(^-^;
アウトプットありがとうございます。
胆泥としてはやや高吸収が目立ちます。
ん?造影剤使用歴はある人なのか?とまずは考えましょう。
久しぶりにコメントできます(汗)。
造影剤を使用した患者の1~2日後のCTなどで、結構な頻度で胆嚢内の造影剤をみた記憶があり、
ある程度の割合で胆道排泄されると思い込んでいました(汗汗).
またまた思い込みの恐ろしさを思い知りました。本当に勉強になります。
ごぶさたしております。
コメントありがとうございます。
>結構な頻度で胆嚢内の造影剤をみた記憶があり
そうですね。おっしゃるように結構な頻度であるような気もしますね。
とくに有意な所見ではないですが、胆石や胆泥などとしないようにしましょうという意図の出題です。
関連見ました。
「基本はあくまで腎排泄で、はっきりわかっているわけではないけど、胆道や消化管にも排泄される」のですね。
今まで何となく流していたところを復習できました(^▽^)/
そうですね。
外来でこられてこのような所見を認めた場合は、
最近造影剤を使った検査をしましたか?と確認することが大事ですね!
炭酸ランタン水和物の添付文書に胆汁中に排泄と記載がありますが、これによる胆嚢内高吸収との関係性はいかがでしょうか?
コメントありがとうございます。
>これによる胆嚢内高吸収との関係性はいかがでしょうか?
確かにどうなんでしょうね。
胆嚢内の高吸収との関連性は聞いたことがありません。
逆にそのような報告があれば教えてください。
いつも大変勉強になります。
ヨード造影剤が胆嚢、消化管排泄されるのは初めて知りました。その他所見として動脈硬化、萎縮腎、膵萎縮、膵頭部嚢胞、腸管内にホスレノール残存
アウトプットありがとうございます。
>ヨード造影剤が胆嚢、消化管排泄されるのは初めて知りました。
たまに胆嚢内がこんな感じで高吸収な症例がありますので覚えておいてください。
>動脈硬化、萎縮腎、膵萎縮、膵頭部嚢胞、腸管内にホスレノール残存
ありがとうございます。
以前の症例で造影剤の可能性とのことでしたが、なぜ胆のう内に造影剤が排泄されるのか分かりませんでした。
他の方のコメもとても勉強になります。
アウトプットありがとうございます。
なぜなのかは分かっていませんが、そういうこともあるということを覚えておきましょう。
安易に胆石や胆泥としないことですね。
最初は全く分かりませんでしたが、前日に心臓カテーテル治療を受けている方と解説があり、症例10と同一症例です。腎の萎縮腸管の石灰化?でやっと想像することができました。患者さんの検査歴、薬、経過をカルテなどで把握することは大切ですね。先生のヒントというかコメントがなければわからないままでした。
アウトプットありがとうございます。
>患者さんの検査歴、薬、経過をカルテなどで把握することは大切ですね。
重要ですね。
このようなケースでは、前日あたりに造影剤を用いた検査をしていないかをまずチェックします。
こちらは胆嚢排せつということでよいのでしょうか?
基本的には肝排泄されたものが胆汁と一緒に胆嚢に溜まっているだけかと考えておりました。
消化管排泄も同様に肝から胆道を経て消化管内に排泄されているのかと思っておりました。
アウトプットありがとうございます。
>基本的には肝排泄されたものが胆汁と一緒に胆嚢に溜まっている
おっしゃるように肝細胞が胆汁を産生し、その胆汁は胆嚢に貯留し、濃縮されます。
胆嚢が収縮するのは、十二指腸下行脚に食物が入ったタイミングですので、胆嚢排泄ということになりますね。
問題文のみからは濃縮胆汁という可能性もありませんか?
アウトプットありがとうございます。
濃縮胆汁としては高吸収が目立つ印象ですね。
PCIの前に胸痛を調べる意味でビリスコピンCTでも撮ったのかなと思いました。今どきあまりやらないよなーとか、それにしては薄いなとも思いつつも。
アウトプットありがとうございます。
MRCPが撮影できないケースなどではたまにやりますね。施設にもよるのでしょうけど。
冠動脈の高吸収を見た時、ステントと石灰化を区別する方法はありますか?
アウトプットありがとうございます。
ウインドウ幅/レベルを調節して観察することですかね。
腹部エコーをするとこの胆嚢はどう見えるのでしょうか?acostic shadowとかは確認されるのでしょうか?そもそも造影剤後の方に意識してエコーを当てたことがないのでどうなるのか疑問です。
アウトプットありがとうございます。
結石ではないので、acostic shadowは認めないかと思われます。
いつも勉強になります。ありがとうございます!
イメージ38辺りの食道内の高吸収物は何でしょうか?金属のようなアーチファクトの引き方に思えますが。
アウトプットありがとうございます。
症例10で問題となったものです。
今回は同じ画像を用いて別のところに着目しています。
症例10を失念しておりました。解説全て読ませていただき勉強になりました。義歯の誤飲と思いましたが薬剤でここまでアーチファクトひくのは勉強になりました。
確かにこれだけのアーチファクトを見たら頻度的には義歯などの誤飲をまずは考えるべきですね。