【腹部TIPS】症例13 解答編

症例13

【症例】40歳代男性

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胆嚢がぺしゃんこになっています(収縮しています)。

なぜでしょうか?

よく見ると胃内に食物を認めており、食後であることがわかります。

つまりこの方は食後に撮影しているということです。

ここで胆嚢の役割を復習しましょう。

胆嚢は肝細胞で作られた胆汁を貯留・濃縮する働きがあります。

そして、

十二指腸下行脚に食物(とくに脂肪)が到達する
→コレシストキニンが分泌される
→胆嚢が収縮すると同時にOddi括約筋が弛緩する
→胆汁が十二指腸に排出される
→小腸での脂肪の消化・吸収を促進する

という役割があります。

つまり、この方は食後であり、胆嚢が収縮しているため、このように胆嚢がぺしゃんこになっているということです。

診断:食後であるため胆嚢が収縮している

※とくに脂質に富む食事の場合に胆嚢は収縮します。ですので、胆石がある場合に胆嚢が収縮して起こる胆石発作は、脂質に富む食事をした後20分〜2時間くらいで起こるとされます。

 

ですので、胆嚢も評価したい腹部のCTを撮影する前には絶食が必要となります。

この方は胸部の肺炎フォロー目的の胸部CTで、胆嚢は関係ありませんので、食事制限なく撮影されたため、今回胃内に残渣を認めていたということです。

関連:腹部CTで食事制限(絶食)がある理由は?

その他所見:とくになし。

ちなみに先日の胃内に麺類がたくさん見られた症例9ですが、こちらの胆嚢もちょっと全貌は見えませんが収縮している様子がわかります。

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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