腹部CTや腹部MRIの検査をする際に
「撮影4時間前以降は絶食にしてください」
「午前に検査がある場合は、朝食は食べないでください」
「午後に検査がある場合は、昼食は食べないでください」
などと言われることがあります。
腹部CT、MRI検査でこのような食事制限があるのはなぜでしょうか?
今回は、腹部CTで食事制限(絶食)がある理由についてまとめました。
腹部CTで食事制限(絶食)がある理由
それはずばり、食事を摂ることによって
- 腹部臓器の一つである胆嚢(たんのう)が収縮して胆嚢を観察しにくくなる
- 胃や十二指腸など腸管に食事が残っていると腸管の観察がしにくくなる
ということです。
また、十二指腸にも食べたもの(残渣)があると膵臓(すいぞう)の評価が難しくなることもあります。
これはCTに限らず腹部のMRI検査である、肝臓MRIや膵臓MRI、MRCPなどでも同様です。
「どんな感じで胆嚢が収縮するの?」
「食事を食べて腹部CTを撮影したら、どんな感じで胃が写るの?」
という疑問をお持ちの方のために、絶食をせずに検査前に食事を摂取するとどのようなCT画像になるのかをお見せしましょう。
まず正常の胆嚢の腹部CT画像です。
胆嚢は丸く膨らんでいますね。
収縮していない状態です。
次に、絶食で腹部CTした場合の胃の画像です。
胃の中には少量の水分がある程度で、胃壁の様子もよくわかります。
では、次に、腹部CT検査の前に食事を摂ってしまった場合のCT画像です。
胃の中は食べ物でいっぱいです。
これでは、胃の評価は難しいです。
続いて、胆嚢と胃が一緒に写っているCT画像です。
胆嚢は収縮してぺしゃんこになっていますね。
これでは胆嚢の評価は厳しいです。
食事を食べてしまったけども腹部CT検査をする場合はどんなとき?
とはいえ、食事を摂取したあとに、腹部CT検査は絶対にしてはいけないのかというとそういうわけではありません。
胆嚢や胃などが見えにくくなるというデメリットよりも上回るメリットがあれば食事を摂取していても撮影することがあります。
- 腹痛があってその原因を突き止めるために撮影される腹部CT
がその代表です。
救急で来られた腹痛のある人で、CT検査の必要がある場合は、食事を摂っていても腹部CTを撮影することはあります。
あとは、胃や胆嚢などが見えにくくなっても、その他の部位を見たい場合などは撮影することもあります。
胸部CTや頭部CT検査では絶食は必要ない?
胸部や頭部のCT検査の場合は、食事を摂取していても影響はないため、絶食の必要はありません。
最後に
腹部CT検査前に絶食が必要な理由おわかりいただけましたか?
CT検査は被曝を伴うため、せっかく受けたのに見えにくいという結果は避けたいものです。
腹部CT検査前には食事制限(絶食)をしましょう。