
【頭部】TIPS症例69
【症例】30歳代 男性
【主訴】痙攣発作
【現病歴】半年前から頸部前屈発作が出現するようになったが経過観察していた。2日前に頸部前屈発作後に約10分間の強直性痙攣発作が出現したため来院。
【既往歴】特記事項なし。
【身体所見】バイタル、神経学的所見に特記事項なし。顔面に皮疹あり。
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CT
MRI
異常所見と診断は?
両側側脳室沿いに粗大な石灰化が散見されます。
これは生理的石灰化の好発部位ではなく、異常な石灰化であることがわかります。
このように脳室沿いに石灰化を認めた場合、まず考えるべきは結節性硬化症で脳室沿いの石灰化は上衣下結節と呼ばれる病変です。
次にMRIを見てみましょう。
CTで上衣下結節を疑った石灰化部位はT2WIで低信号を示しています。
それだけでなく、他に脳皮質下にT1WI低信号、T2WI(およびFLAIR)高信号を呈する所見が散見されることがわかります。
これも結節性硬化症における脳病変で、皮質結節と呼ばれる病変です。
皮質下の高信号はT2WIよりもFLAIRで見つけやすく、複数の部位で認めていることがわかります。
診断:結節性硬化症疑い。
※右小脳半球の石灰化の意義は不明です。顔面の皮疹は皮膚科にて血管線維腫と診断されました。脳波で右側頭部を焦点とするspikeが疑われ、抗痙攣薬が開始となりました。
【頭部】TIPS症例69の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
異常箇所の指摘止まりでした。小脳石灰化のみ顔色が違ったのですが、そういうのはややこしいですね。まだ若いですし単純な石灰化ではない気がしますが時間が立てばカチカチになりmrで信号がなくなるのかと思いました。文献調べてあればコメントします。ありがとうございました。
アウトプットありがとうございます。
脳室周囲の石灰化と言えば、結節性硬化症を思い出すようにしてください。
生理的な石灰化の部位ではない特徴的な石灰化ですね。
脳室周囲の石灰化(結節)からというよりは、側脳室に向かって伸びる連続性の高信号域から結節性硬化症に辿り着けた感じでした。
「脳室周辺の石灰化は結節 → 結節性硬化症」覚えておきます。
アウトプットありがとうございます。
>側脳室に向かって伸びる連続性の高信号域から結節性硬化症に辿り着けた感じでした。
これは多発性硬化症におけるovoid lesionではなくてでしょうか。
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用語をしっかり理解して覚えておけば、実際に遭遇したしたときも気づけそうですね
アウトプットありがとうございます。
石灰化の分布から、生理的でないと気づけるかが第一関門ですね。