
症例62
【症例】40歳代 女性
【主訴】なし
【現病歴】検診でp53高値(5.6)を指摘され精査希望、子宮癌検診で子宮筋腫を指摘されている。
【データ】なし
今回は、急性腹症ではないのですが、急性腹症を起こしうる病態がありますので取り上げました。
画像はこちら
T2強調像の矢状断像で、子宮後壁の筋層内に子宮筋腫を疑う所見を認めています。
筋腫の辺縁には低信号の縁取り(rim)を認めています。
T1強調像の横断像では、筋腫は淡い高信号を示しており、筋腫の辺縁には高信号の縁取り(rim)を認めています。
筋腫は脂肪抑制で抑制されません。
また造影剤を用いて造影しても、周囲の正常な子宮と比較して造影不良であることがわかります。
このような特徴を示す筋腫を、子宮筋腫の赤色変性と言います。
筋腫の静脈閉塞による出血性梗塞を起こしている状態と言われ、急性腹症として発症することがあります。
が、今回は無症状でたまたま発見されました。
筋腫内部は、出血性梗塞を反映しT1WIで時間経過とともに高信号化すると言われていますので、この症例はある程度時間が経過した、赤色変性であることが推測されます。
診断:子宮筋腫の赤色変性
子宮筋腫が原因で急性腹症を起こす病態としては、今回の、赤色変性の他に、漿膜下子宮筋腫の茎捻転(症例39)が重要です。合わせて復習しておいてください。
関連:子宮筋腫赤色変性とは?画像診断のポイントは?(CT,MRI所見)
症例62の解説動画
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
「急性腹症になり得る」ということをヒントに??、
「はは〜ん、急性腹症って、捻転ね(╹◡╹)、
『漿膜下』ってことね(╹◡╹)」
と思って、
造影とか、rimとか、
全く目に入りませんでした( ̄▽ ̄;)
変性してなければ、
正常子宮に似た造影効果のはずですもんね( ̄▽ ̄;)
ちなみに、rimの機序について、
「まず静脈性梗塞を来すため、初期には筋腫辺縁を縁取るT1WI高信号(メトヘモグロビン)、T2WI低信号(デオキシヘモグロビン)を認める。血栓閉塞した静脈内の凝血した赤血球(細胞内メトヘモグロビン)を示す。
※T1WIの高信号は数日後の亜急性期より出現。T2WIの低信号は半日程度で出現。」
と、非常に分かりやすく書いている、
神様のようなサイトを発見してしまったのですが(╹◡╹)、
今回の解説ページで、
rimの機序について触れられていないのは、
自分で調べて欲しい、
という意図がありますか?
アウトプットありがとうございます。
関連リンクを貼り忘れてましたね(;゚ロ゚)
神様のようなサイトのリンクを追加しました(;゚ロ゚)
MRIの、ほうは全くわかりませんでした。
矢状断像の方に
造影腹部CTの画像が入っていたのですが、
あれは別の方のCT画像でしょうか?
ご指摘いただきありがとうございます。別症例が誤って入っていましたので差し替えました。
正直全くもってわかりませんでした。
婦人科のMRIをみる機会も少ないですからね。
しかし勉強になりました。もう少ししっかり勉強したいと思います。
アウトプットありがとうございます。
MRIは少し難しかったと思いますが、子宮筋腫で急性腹症をきたしうる・造影されない子宮筋腫ということで覚えておいてください。
見慣れないのもあって、中々難しいな、と思います(;_;) 捻転のページも見ました。
捻転との鑑別はたくさんあると思いますけど、ビークサインの有る無しとか、大体の形でも分かりますか?
あと「造影されない子宮筋腫」をみたら、捻転か変性の2種類のみで、捻転を除外すれば「緊急ではない」と考えてよいですかね( ̄▽ ̄;)
アウトプットありがとうございます。
こちらは捻転ではなく、基本は筋層内筋腫であり、今回のようなパターンを示しますので、beak signは認めないですね。
おっしゃるように造影されない筋腫を見た場合は、捻転と今回の変性を考えればよいですが、
急性期の場合は変性でも入院加療が必要となると思います。
本日もありがとうございました。
正常卵巣の同定は出来ましたが、正直自信が無かったです^^; T2WIで高信号に見えるツブツブが卵胞ですよね。。おそらく。。
右の卵巣の嚢胞は機能性嚢胞とのことですが、機能性嚢胞らしい所見を教えていただきたいです。
アウトプットありがとうございます。
機能性嚢胞らしい所見というのは特にありません。
卵胞より大きい嚢胞で、卵巣腫瘍を疑うような所見ではない嚢胞ならば機能性嚢胞を考えます。
卵巣はT2WI横断像で14/26あたりで子宮両側に認めます。
こんばんは。いつもお世話になっております!
矢状断像のT1脂肪抑制造影とT2の掲載順が逆なような気がしたのですが、間違っていたらごめんなさい!(MRI全然自信がないです…)。
子宮筋腫はその存在を記載しただけで、むしろ右の卵巣が嚢胞性?になっているのが気になってしまい異所性妊娠と全くトンチンカンな回答をしてしまいました…。
「T1で低信号、T2で高信号、拡散強調で低信号、T1脂肪抑制造影で低信号」をきたす嚢胞性病変で、かつ「T1脂肪抑制造影で嚢胞内に一部高信号をきたす部位が存在する」と判断してしまい、苦しまぎれに異所性妊娠と回答してしまいました…。
アウトプットありがとうございます。
>矢状断像のT1脂肪抑制造影とT2の掲載順が逆なような気がしたのですが、間違っていたらごめんなさい!(MRI全然自信がないです…)。
おっしゃるとおりでした。
修正しました。
>子宮筋腫はその存在を記載しただけで、むしろ右の卵巣が嚢胞性?
こちらは機能性嚢胞でよさそうですね。
いつもお世話になっております。
今回はmri,捻転の時は造影ctでしたが、急性腹症の救急対応時の単純ctにおいて、子宮筋腫があるという情報以上に捻転や赤色変性を疑う所見を見つけることはできるのでしょうか?
単純ctで巨大な筋腫を認め、他の腹痛をきたす原因を発見できなければ、筋腫が原因である可能性を考慮して造影ctを撮影という手順が望ましいのでしょうか?
アウトプットありがとうございます。
>単純ctにおいて、子宮筋腫があるという情報以上に捻転や赤色変性を疑う所見を見つけることはできるのでしょうか?
捻転ならばねじれている様子が少しは疑わしいケースもありますが、赤色変性は単純CTでは厳しいですね。
>単純ctで巨大な筋腫を認め、他の腹痛をきたす原因を発見できなければ、筋腫が原因である可能性を考慮して造影ctを撮影という手順が望ましいのでしょうか?
時と場合によると思いますが、おっしゃるとおりです。
捻転や赤色変性を考慮してということになります。
MRIは見慣れないので、わかりませんでした。子宮筋腫までが精一杯でした。
MRIのブートキャンプはありませんか。
アウトプットありがとうございます。
>子宮筋腫までが精一杯でした。
今回は筋腫があってそれが造影されないというのがポイントですね。
>MRIのブートキャンプはありませんか。
今のところその予定はありませんが、今後作成するかもしれません(^_^;)