参考症例解答

症例

【症例】60歳代 女性
【主訴】右季肋部痛
【現病歴】2日前の夜から心窩部に違和感あり。昨日朝から心窩部痛出現あり。市販の胃薬で様子を見ていた。今朝より症状増悪したため、当院受診。
【身体所見】BT 37℃、眼球結膜黄染なし、腹部:Murphy sign(±)、右季肋部圧痛あり、他圧痛なし。
【データ】WBC 11500、CRP 0.41、AST/ALT=22/14、ALP 211、LAP 47、γ-GTP 26

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胆嚢は腫大し、壁肥厚を認めています。

壁肥厚は特に漿膜下でやや目立ちます。

胆嚢が接する肝臓(胆嚢床)にはまだらな早期濃染を認めており、炎症の波及を示唆する所見です。

胆石を複数認めており、胆嚢は腫大し、緊満感があります。

この緊満感というのが急性胆嚢炎のポイントです。

胆嚢壁肥厚が目立たず緊満感のみ目立つ急性胆嚢炎もありますので、「パンパンだなあ(腫れてるなあ)」という印象が大事です。冠状断ですとそこまでパンパンというわけではないですが、くびれがないというのが重要です。

早期相で認めた胆嚢床のまだらな濃染は平衡相では確認できず、周囲肝実質と同程度になっています。

 

これらから疑うべきは、急性胆嚢炎となります。

 

診断:急性胆嚢炎

 

※同日緊急手術となりました。

~~~~手術記録より抜粋~~~~

胆嚢は腫大しており、壁は浮腫状に変化していた。20Gエラスター針で胆嚢から胆汁を吸い出した。胆嚢が把持できてから定型通り、胆嚢摘出術施行した。

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関連:急性胆嚢炎の画像診断、症状、治療、手術、ガイドライン

その他所見:

  • 脾臓に石灰化散見(old Tb疑い)
  • 子宮筋腫疑い。(ただし粘膜下に高吸収があるようにみえ、r/o 子宮体癌として念のため婦人科コンサルトとする。)
  • 少量腹水あり。
  • 動脈硬化あり。
  • 右股関節にOA変化あり。
症例5の解説動画

なぜ胆嚢炎の症例を追加したのか?

ということで純粋な胆嚢炎の症例を追加する経緯となりました。

次回開催時はこの症例を症例5として提示予定です。

お疲れ様でした。

今日は以上です。

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