
【症例】60歳代 男性
【主訴】発熱、右耳下腺腫脹
【現病歴】肝硬変、食道静脈瘤にて当院かかりつけ。1ヶ月前に右の耳下腺炎で抗生剤治療を受け、10日程度で症状消失した。本日、発熱および右耳下腺の腫脹があり来院。
【身体所見】右耳下腺部腫脹あり。
【データ】WBC 9600、CRP 1.72
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右耳下腺から連続する壁の厚い液貯留あり。膿瘍腔を疑う所見です。
右耳下腺自体は外側に圧排され周囲の脂肪織濃度上昇を認めています。耳下腺炎を疑う所見です。
膿瘍腔は縦方向に長く、顎下腺レベルよりも尾側まで及んでいることがわかります。
サイズが大きく左右差が著明です。
また膿瘍腔の一部にガスを認めています。
冠状断像で上下方向に長い膿瘍腔であることが確認できます。
診断:右頸部膿瘍
※右耳下腺炎が完治していないところに、再発し膿瘍を形成したと考えられます。耳鼻科入院となり、膿瘍腔の切開・排膿及び抗生剤で加療され、10日後に退院となっています。
※膿瘍腔の培養からは、Klebsiella pneumoniae ssp.pneumoniaeが検出されています(4+)。
【顔面+α】症例25の動画解説
お疲れ様でした。
今日は以上です。
今回の気づきや感想などを下のコメント欄にお願いします。
「造影された厚い壁肥厚を有する嚢胞病変」+「内部は造影されずガス像を認める」+「発熱」から、腫瘍病変より膿瘍を考えました。
アウトプットありがとうございます。
腫瘍の除外は必要ですが、膿瘍を形成していることはおっしゃった所見から推測されますね。
派手な所見ですね!
腫瘍が鑑別にあるということを意識しておく必要もありますね
アウトプットありがとうございます。
肺炎などでもそうですが、派手な炎症所見に腫瘍が隠れている可能性は常に考える必要がありますね。
こんばんは.いつもありがとうございます.
膿瘍腔内にガス産生があることが気になり,どんな起因菌か想像しながら読影しました.
腸内細菌科のKlebsiella pneumoniae(ブドウ糖発酵菌)が検出されたとのことで,ガス産生像に矛盾しない起因菌だと思いました!
アウトプットありがとうございます。
>腸内細菌科のKlebsiella pneumoniae(ブドウ糖発酵菌)が検出されたとのことで,ガス産生像に矛盾しない起因菌だと思いました!
補足ありがとうございます!!(^^)